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SHARP、GALAPAGOS(ガラパゴス)の哀れをもよおすテレビCM

最近やたらとシャープの電子書籍端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」のテレビCMを見かける。CMを見るたびに、ますます何を売りにしたいのか分からなくなる。
ここで言っている「GALAPAGOS」は3G通信非対応、つまり携帯電話として使えない、純粋な電子書籍端末の「GALAPAGOS」のことだ。
テレビCMを見ていると、寝ているあいだに枕元に置いておけば、GALAPAGOS(ガラパゴス)に自動的に新聞や雑誌が配信される、かのように見える。
ホテルの窓際や、ダイニングの食卓に置いておけば、勝手に新聞や雑誌や書籍が入ってくる、かのように見える。
このCMを見て、これはカンタン便利だと勘違いしてしまう人は、間違いなくITに詳しくない人だ。
カンタン便利だと思って家電量販店に行き、「GALAPAGOSを下さい!」と店員に言った瞬間から、なかなか厳しい日々が始まる。
まずは、「え?いま持って帰れないんですか?」という事実につまずく。いちいちインターネット経由などで申し込みをして、製品が届くまで待たなきゃいけない。
そして、いざ製品が届いてから、初期設定をしようとして気づく。
「無線LAN?」
じつは自宅のインターネット回線を無線LAN化するという作業を、まずやっておく必要があることに気づく。ITに詳しくない人が、製品が届いてからそのことに気づく可能性は十分ある。じっさいは量販店の店員が説明しているはずだが。
仮に親切な店員が無線LANが必要だということを、ていねいに説明してくれたとしても、疑問が残る。
携帯電話みたいに電波を拾えばいいじゃないか。どうしてわざわざ無線LANの機械を購入する必要があるんだ?それに、どうやって無線LANの機械を設定すればいいんだ?
そして家電量販店の無線LANのコーナーに行ってみると、さまざまなメーカーの、さまざまな種類の機器がズラリとならんでいる。
「今まで壁の挿し込み口に、パソコンからネットワークの線を直接つないでいたのに、その口に無線LANの機械をつないでしまうと、パソコンでインターネットが見られなくなるじゃないか」などなど…。
正しくは無線LAN「ルーター」を買わなければいけないのに、間違ってただのHUBや、無線LANの子機や、USB機器を無線化するアダプタを、間違って買ってしまうかもしれない。
なんとか無線LANルーターを購入できたとしても、最低限のIPアドレスの知識がないと、無線LANルーターの管理画面にたどりつけないかもしれない。
説明書どおりに設定できたとしても、お隣さんや、道行くモバイラーにかんたんにタダ乗りされたり、最悪の場合、設定変更されるような設定にしてしまうおそれもある。
たとえば、無線LANルーターの管理者用パスワードを、初期値のままだったり、「1234」にしてしまうなど。
なんとか無線LANルーターの設定ができても、GALAPAGOS(ガラパゴス)端末をルーターに無線で接続する設定ができるかどうかが、また別の関門になる。
シャープがYouTubeで公開している動画は、AOSSの自動設定について説明しているが、AOSS非対応の無線LANを買ってしまったら、「このAOSSってのは何なんだ」ということになる。
長々と説明したが、あのテレビCMを見てGALAPAGOS(ガラパゴス)に飛びつく程度に、ITに詳しくない人たちが、果たして自宅の無線LAN構築から、GALAPAGOS(ガラパゴス)をWiFi端末として認識させるところまで、すんなりとできるだろうか。
さらに言えば、仮に家庭内の接続には成功したとしても、テレビCMにあったように、出張先の海外のホテルで日本の新聞を読むために、自宅とはまったく違う環境で、すんなりGALAPAGOS(ガラパゴス)を無線LANに接続できるだろうか。
海外のホテルの無線LANはAOSSではないかもしれない。Yahoo!BBのWiFiサービスのように、いったんウェブブラウザの認証画面から、ホテルが指定したユーザ名とパスワードでログインする必要があるかもしれない。
そもそもITに詳しい人なら、GALAPAGOS(ガラパゴス)のような汎用性のない電子書籍端末より、間違いなくiPadやGalaxy Tabなど、汎用性のあるタブレットを選ぶだろう。
百歩ゆずって、IT知識のない人が苦心してGALAPAGOS(ガラパゴス)の設定に成功したとしよう。その次に来るのは、「金がかかるじゃないか!」という不満だ。
今までパソコンや携帯電話で、タダでYahoo!ニュースや、各大手新聞社のニュースを読めていたのに、どうして電子機器でニュースを読むのに購読料を払わなければいけないのか。
書籍や雑誌にしても、紙の本より大幅に安いならまだしも、値段があまり変わらない上に、一覧性の悪い小さな画面で読むことになる。
電子版の雑誌で、写真は固定されて本文だけスクロールする、なんていう小技をつかわれても、紙の一覧性にくらべれははるかに劣る。
また、女性の利用者が、ファッション雑誌を買うとき、印刷版より電子版を好んで買うなどいうことがあるだろうか。
光沢紙に印刷された紙面の美しさや、ページを切り取って保管できること、そして最近のファッション誌のように、手にとれるオマケがあってこそのファッション誌だろう。
いくらテレビCMに、GALAPAGOS(ガラパゴス)を会議室で自慢気に見せる女子社員を登場させても、汎用性のないGALAPAGOS(ガラパゴス)を買う顧客層はきわめて限られるだろう。
iPadでさえ、購入して数週間は外へ持ち出し、友だちに自慢したりしていたが、そのうち使い道がなくなって、ホコリをかぶる例が多いらしい。
iPadのように自由にアプリを選んで、追加インストールできないGALAPAGOS(ガラパゴス)は、なおさらそういった例が多くなるに違いない。
しばらくテレビでGALAPAGOS(ガラパゴス)のCMを目にすることになるだろうが、他のシャープ製品のCMと違って、哀れをもよおすCMになることは間違いない。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/09/28)
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/12/14)
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」(2010/12/31)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う」(2011/02/02)
>>「電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?」(2011/02/04)

SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?

シャープの電子書籍端末「GALAPAGOS」だが、年末にこんな記事を見つけていた。ここまで来るとお笑いネタの領域だ。いくら関西地盤の企業といっても、冗談が過ぎるという感じがする。
『ガラパゴス、インドの電子教科書に シャープが実用化へ』(朝日新聞 2010/12/31)
日本でGALAPAGOS(ガラパゴス)が売れるわけがないということを、発売してから学習されたのだろうか。インドで電子教科書の閲覧用端末として実用化する方針を固めたらしい。
それだけでなく、将来的にはアフリカで教育環境の整備されていない遠隔地に、ネット中継で授業を配信する端末としても事業展開を狙っているという。
まず言えるのは、日本で販売されているような、コンテンツ配信元を限定した囲い込み型のビジネスモデルのままで、グローバルにIT人材を供給しているインドの高等教育機関に通用するのか、ということ。
さすがにシャープも日本仕様そのままでインドで展開するはずはない。クローズドなコンテンツ配信機能を解除した、オープンな電子書籍端末として売りだすだろう。
仮にそうだとすると、次の問題が出てくる。それは、インドの高等教育機関に売り込むほどGALAPAGOS(ガラパゴス)に価格競争力があるのか、ということ。
シャープはGALAPAGOS(ガラパゴス)ともっともらしい製品名を付けているが、所詮は、静電容量式タッチパネルと、大容量バッテリー、省電力型CPUを搭載した、Android OSタブレットに過ぎない。
中国で品質の悪いAndroid OSタブレットが大量に出回っているように、Android OSタブレットという製品そのものが、あっという間に陳腐化し、コモディティー化するのは目に見えている。
中国や台湾のメーカーが、GALAPAGOS(ガラパゴス)同等の性能を持つ端末を、さらに安く供給するようになるのは時間の問題だ。
そのとき、インドでGALAPAGOS(ガラパゴス)に価格競争力以外のどんな競争力があるのか。SHARPというブランド自体に、サムソンやLGに負けないグローバルな競争力があるということだろうか。よく分からない。
さらに、アフリカで教育環境の整備されていない遠隔地のための、情報端末として展開するという計画にいたっては、全く成功を見込める根拠が分からない。
この計画を実現するには、まず通信インフラの整備が必要だが、商社を介さずに、アフリカの携帯電話事業者と直接合弁でもするつもりなのだろうか。
また、遠隔地の学校での利用ということは、現地での事業展開はアフリカ諸国の政府と共同で行う公共事業になるはずだ。
しかし、温暖化ガス削減や生物多様性のグローバルな会議でも見られたように、アフリカ諸国の政府の支持を取り付けることに成功しているのは、今や中国である。
日本のマスメディアは中国のアフリカ諸国に対する支援を、現地住民の意向を無視し、資源の既得権益だけを目的とした非民主的なやり方だと非難している。
ただ、民主的な支援というキレイごとを実現するには、まずアフリカ諸国が民主化されるのを待つしかなくなる。
中国が日本をしのぐ影響力をすでに持っているアフリカ諸国に対して、シャープが民間レベルの努力だけで、GALAPAGOSの事業展開をするつもりだとすれば、かなりの平和ボケとしか言いようがない。
将来への投資ということで、赤字覚悟でボランティア的に事業展開するならまだ理解できるが、そうなると、そこまでしてGALAPAGOSをアフリカに展開することに対して、株主が理解を示すかという話になってくる。
とにかくシャープのGALAPAGOS(ガラパゴス)については、出てくる報道がことごとく夢物語のような内容ばかりだ。
思えばSHARPは、1980年代前半に、IBMのPC/ATに先行して、オールRAMの「クリーン設計」というパソコンを家庭用に販売していた。しかしそれを世界規格にするだけのグローバルな戦略と実行力はなく、今では単なる「語り草」にしかなっていない。
今回のGALAPAGOSはパソコンの事例よりもひどい。なぜなら、Androidタブレットは、すでにGoogleが国際標準を作り、ハードウェアとしてもほぼ陳腐化しているからだ。
いってみれば、すでにPC/AT機が普及しつつある中で、クリーン設計のMZシリーズのパソコンを売り出すようなもので、新たな国際標準を創出できないことは初めから分かっている。
ますます理解に苦しむSHARPのGALAPAGOS(ガラパゴス)販売戦略からは、当分、目が離せそうにない。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」

SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ

GALAPAGOS、SHARPの電子書籍端末だが、海外展開などというバカげたことを、また言い出している。
『シャープ:「ガラパゴス」海外展開へ…米、中、印などで』(2010/12/30 02:30毎日新聞)
シャープのガラパゴスのマーケティング担当部署には、一体どれだけ状況分析力の欠如した人間ばかりそろっているんだろうか。
米国で発売するものには、海外で主流のEPUB形式を追加採用し、米国の消費者にアピールするというが、アマゾン(Amazon)のキンドル(Kindle)がそこそこ普及している米国では何の差別化にもなりゃしない。
それにキンドル(Kindle)は、すでにPC用やiPhone用、Android端末用のソフトウェア製品も提供されている。つまり、どんな端末でも使える、普遍的な電子書籍の閲覧環境になっているのだ。
そんなキンドル(Kindle)が普及しているところへ、機器に依存した閲覧ソフト搭載のGALAPAGOSを持って行っても、売れるわけがなかろう。
シャープのGALAPAGOSのマーケティング部隊は、そんな簡単なことさえ事前に予測できないほど無能なのだろうか。
最低限、GALAPAGOS端末のAndroid OSを、機器依存の仕様ではなく、通常のオープンな仕様に変更してから海外販売すべきではないか。
Androidマーケットで自由にアプリを追加することさえできず、かつ、端末依存の書籍閲覧アプリしか搭載されていないGALAPAGOSが、海外で売れるという「妄想」は一体どこから出てきたのか。
これだけ日本国内で大々的に発表してしまった手前、メンツがあってもう後には引けないので、あと先考えずに海外市場へ捨て身の特攻をするしかないということか。
つくづく海外の第一線でGALAPAGOS端末を売らされるシャープの営業部隊の皆さんには、ご同情申し上げる。
技術力はあるのに販売戦略がムチャクチャ。シャープ(SHARP)の電子書籍端末GALAPAGOS(ガラパゴス)の迷走ぶりは、日本のデバイスが韓国や台湾勢に勝てない理由が、典型的に見て取れる事例だろう。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/09/28)
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/12/14)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う」(2011/02/02)
>>「電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?」(2011/02/04)

続・シャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は完全にバカげている

GALAPAGOS、シャープのメディアタブレットだが、下記のCNET Japanの記事に担当本部長・岡田圭子氏の製品戦略が紹介されている。
「解説:「GALAPAGOS」タブレットの完全直販に踏み切ったシャープの思惑」(CNET Japan 2010/12/08)
シャープのオンリーワン商品・デザイン本部長兼ブランド戦略推進本部長の岡田圭子氏曰く、GALAPAGOSには3つの特徴があるらしい。
(1)新聞、雑誌の定期購読ができること。
(2)縦書き、横書き、ルビなど日本語特有の表現機能に優れていること。
(3)コンテンツ配信を映像、ゲーム、音楽にも拡大することでデバイス自体が進化すること。
これらの特徴が既存のサービスの二番煎じでしかなく、シャープのガラパゴスが失敗するしかないことを、一つひとつ見てみよう。
■電子媒体の読者は新聞社・出版社より自分の好みを優先する
まず(1)の新聞、雑誌の定期購読ができること。
PCをふくむ情報端末で、いつも新聞や雑誌のニュースを読んでいる人たちは、ニュースを毎日新聞、朝日新聞などの新聞社ごとや雑誌ごとでは読まない。
たとえばみなさんがYahoo!ニュースを読むとき、一つひとつの記事が毎日新聞か、朝日新聞かをより分けながら読むだろうか。
国内、海外、経済、スポーツ、ITなどのトピック別に読み、たまたまそれが産経新聞の記事だったり、CNET Japanの記事だったりするだけのはずだ。
インターネットで各種ニュースを読む利用者にとって、新聞社や雑誌社という情報発信のくくりは、すでにほぼ無意味になっている。自分の見たいニュースを拾い読みしているだけだ。
シャープ開発者の認識は、この点で完全に時代に遅れだ。
個人の好みだけにもとづいて、複数の新聞や雑誌を横断で、ニュースをひろい読みする仕組みはすでに存在する。各種ニュースサイトのRSSフィードだ。
例えばAndroid端末を持っていれば、RSSフィードを自動でダウンロードし、オフラインでも読めるアプリを使って、個人の好みにあったニュース配信を体験している利用者がすでに存在する。しかもニュース購読は無料だ。
すでにこの仕組があるのに、誰が好きこのんで電子書籍端末をつかって有料で新聞や雑誌を購読するだろうか。
シャープは新聞・雑誌の購読ができるのがGALAPAGOSの特徴だと語るが、みごとに進化から取り残された現状認識で、まさにガラパゴスだ。
■日本語特有の表現を訴えた電子書籍端末は過去ことごとく失敗
次に(2)の縦書き、横書き、ルビなど日本語特有の表現機能に優れていること。
むかしから紙の書籍を愛読している方はご存知のように、単行本、新書、文庫、雑誌などの出版形態を問わず、ルビはどんどん無くなってきている。
難読漢字はひらがなに置きかえられ、編集者は執筆者のむずかしい表現をやさしく書きかえさせるなど、文芸書をのぞいて、紙の書籍は読みやすさを追求してきた。その過程で、ルビというものはほぼ絶滅している。
最近、ルビを復活させる動きはあるものの、ルビがなくても読める本で書物離れを食い止めようという大きな動きは変わらない。
なので、紙の出版物で絶滅しつつあるルビを、電子書籍端末の特徴として語るのは、やはり出版界の現状について、シャープの認識がガラパゴス状態であることを示している。
そして、横書き、縦書きについてだが、横書きは日本語特有ではないので論外として、縦書きが日本語特有の表現であることを仮に認めたとしよう。
しかし、縦書きを日本語特有の表現だと認めるほど、日本語の特殊性にこだわる読者なら、間違いなく電子書籍端末ではなく、紙の書籍を購入するはずだ。
そもそも日本で過去に発売され、みごとに商業的に失敗した電子書籍端末は、すべて縦書きを実現し、縦書きを実現していることをウリの一つにしていたではないか。
縦書きやルビをふくめて、日本語特有とされる表現は、電子書籍端末の普及のキーポイントでも何でもないことは、すでに歴史が証明している。
いまさらAmazonのキンドルに対抗して、縦書きの表現力がすぐれているなどと言っても、現実にはまったく差別化要素にならない。ここでもシャープの現状認識はガラパゴス状態なのである。
■コンテンツ有料配信のビジネスモデル自体に限界あり
次に(3)のコンテンツ配信を映像、ゲーム、音楽にも拡大することでデバイス自体が進化すること。
個人的には、まず、この言い方が誇大広告だと考える。コンテンツを受信することでデバイスが進化するなら、僕らのパソコンは毎日「進化」していることになる。こんな修辞法はデタラメだ。
次に、携帯端末への音楽コンテンツ配信に、まったく新しさがないことは言うまでもない。iPhoneやiPadが、iPodからの流れでとっくに実現しており、すでにサービスとして定着している。
もともと音楽のネット配信は、ナップスターが著作権者との対立という危険を冒して実現したものだが、シャープが権利者との係争リスクをとるはずがないことは言うまでもない。
したがって、音楽配信がGALAPAGOSのキラーコンテンツになりえないのは当然で、特徴ですらない。
ゲーム配信については、任天堂やソニーなど、ゲーム機としての性能や使いやすさを追求した携帯端末に明らかに優位性がある。
シャープがいまさら携帯ゲーム機事業に参入して、ゲーム開発会社と連携した魅力的なゲーム開発で、任天堂やソニーに対抗できるとは考えられない。
また、グリーやDeNAのように大量の広告宣伝費を投入して、顧客を囲い込むような戦略をとることも考えられない。
携帯ゲーム機の事業者に対しても、携帯電話用ゲームの事業者に対しても、シャープは決定的な優位性をもたないので、ゲーム配信もGALAPAGOSの特徴になりえない。
最後に映像配信については、PCにおけるGyaoや、携帯電話におけるドコモ動画やbeeTVが、とても成功と言えないマイナーな存在にとどまっている現実を見れば、多くを語るまでもない。
結局、映像コンテンツを有料配信する場合、テレビ局や大手映画製作者など、既存のパッケージ・コンテンツ制作で実績のある企業に依存するか、ニコニコ動画、YouTube、UStreamのように無料配信モデルをとるか、どちらかでなければ、十万単位の視聴者を獲得できない。これもすでに実証済みだ。
以上のように、音楽、ゲーム、映像のどの方面でも、GALAPAGOSが一般消費者に優位性を示すのは、どう考えてもムリがある。やはりシャープの現状認識は時代に追随できていないガラパゴス状態である。
■結論:シャープのGALAPAGOS発売意図は依然不明
さらにGALAPAGOSは、量販店での店頭販売を意図的に避けて、直販のみという奇妙な販売形態をとっている。
シャープによれば、個々の利用者のニーズを直接把握するためだという。
「最大の理由は、シャープがサービス事業へ進出するにあたり、端末の販売はユーザーとの関係を密にできる直販が最適と判断したからだ。直販の仕組みによって、シャープはGALAPAGOSタブレットの購入者を完全に把握でき、それらのユーザーに対して密接なコミュニケーションを取ることができるわけだ。」CNET Japan 2010/12/08 09:30配信『解説:「GALAPAGOS」タブレットの完全直販に踏み切ったシャープの思惑』
上述のように、既存の電子媒体の利用者の需要や、既存のコンテンツ配信の需要を、マクロレベルでとらえていないシャープに、ミクロレベルできめ細かく利用者の需要を拾う能力があるはずがない。
マクロレベルで需要をとらえるより、個々の契約者を追いかけて、ミクロレベルの需要を継続的にとらえ、そこから電子書籍事業としての戦略を演繹する方が、はるかに費用と能力が必要とされるのは言うまでもない。
仮にシャープに個々の利用者のミクロレベルの需要を継続的にとらえて分析する能力があれば、量販店での小売でも十分対応できたはずだ。
というのは、利用者自身にiTunes StoreやAndroidマーケットのようなコンテンツ提供サイトにサインアップさせ、個々の利用者がどんなコンテンツを購入しているかを追跡すれば事がすむからだ。
直販によってシャープが直接、契約者を完全に把握できるというのは分かるが、はたして契約者の個人情報と、コンテンツ購入の傾向を結びつけることに、どこまで意味があるのか。
例えば、40代で福岡県在住の男性が、コンテンツA、B、Cを購入したからと言って、その購入履歴データを、同じ属性をもつ、別の40代で福岡県在住の男性のコンテンツ提供に活かせるだろうか。
むしろネットのコンテンツ提供では、個々の利用者が一意に特定されさえすればよく、利用者の現住所や実年齢は重要ではない。これもネット社会の常識だろう。
最近、何かとネット社会の匿名性が非難されるが、ネット社会における利用者の人格とは、その利用者がAmazonや楽天で購入したものの集合であって、ネット事業をいとなむ限りはそれさえ一意に特定できれば十分だ。
一体なぜシャープが、ネット社会ではなく、利用者の現実社会での属性の把握にこだわって、直販という販売形態を取るのかが理解できない。
シャープがコンテンツ配信に必要ないと分かった上で、契約者の個人情報を把握したいのだとすれば、何か別の意図があるのではないかと考えたくなる。
しかし、実態はGALAPAGOSを企画したシャープの社員たちの考えが浅く、そこまで思いが至らなかっただけのことだろう。
以上、シャープのGALAPAGOS(ガラパゴス)が、いかに誤った現状認識にもとづいて作り出された製品であるかを論証してみた。
売れもしない製品を第一線で売らされる営業担当者には、心からご同情申し上げる。
シャープの強みはデバイスの開発・製造能力であって、飛び抜けた独創性の求められるコンテンツ事業では決してない。たぶんシャープは液晶の成功に酔って、何か勘違いをしてしまっているのだろう。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/09/28)
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」(2010/12/31)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う」(2011/02/02)
>>「電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?」(2011/02/04)

シャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は完全にバカげている

シャープの電子書籍端末「ガラパゴス(GALAPAGOS)」は完全にバカげている。
シャープが電子書籍端末「ガラパゴス」を2010/12に発売するとして、製品発表会を行ったらしい。テレビのニュースを見ていたら、2011年の早い時期に累計販売台数100万契約突破を目指すという。しかし、この販売目標には、「正気か?」という感想しか持てない。
Android OSをベースとしているものの、Android Market非対応、Googleの各種サービスにも非対応、UIはシャープが独自に作りこみ、電子書籍のデータ形式はシャープが提唱する独自フォーマットの「XMDF」。
これだけハードウェアに依存した特殊仕様のタブレット型情報端末では、とてもクラウド・サービス対応端末とは呼べない。単に便宜上、インターネットに無線接続しているだけの電子書籍端末だ。
こんな閉鎖的な情報端末が、日本で累計100万契約売れるという販売予測は、狂気の沙汰だろう。日本国内のiPad販売台数でさえ100万台突破していないのだから。
書籍内の任意の文字列を選択して、辞書を引ける辞書連携機能は、電子書籍としては当たり前の機能だろうが、シャープの「ガラパゴス」で最初から搭載されているのは、明鏡国語辞典と英和・和英辞典のみ。
中日・日中辞典さえないのでは、国内向け携帯電話端末製品と同じ発想で仕様を決めたとした思えない。Android OSの多言語対応という利点を、わざわざ殺しているのだから。
既発のiPadや、近いうちにDELLや東芝から日本国内向けに発売されるAndroid OSタブレット型端末と比べて、これほどまでに魅力のない情報端末を、日本国内だけで100万契約売るとは、シャープのマーケティング部門は何を血迷ったのだろうか。
シャープは、日本国内のデジタルデバイドの変化を認識していないのかもしれない。
日本国内のデジタルデバイドは、もはや10年前のように、「ITに詳しい人」と「IT音痴」という、ITの知識による線引きではなくなっている。
いまや「趣味でiPadを買えるお金持ち」と「携帯電話しか持てない貧乏」という、経済格差による線引きになっている。
シャープが「ガラパゴス」の最低価格帯を、例えば1万円台にするならまだ話はわかるが、iPadと大して変わらない価格帯で販売するなら、過去の国内メーカーの電子書籍端末の大失敗をくり返すだけだろう。
シャープの「ガラパゴス」の発売意図が全く理解できないのは、たぶん僕だけではないはずだ。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/12/14)
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」(2010/12/31)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う」(2011/02/02)
>>「電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?」(2011/02/04)