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警察庁長官銃撃事件でわかる時効廃止の危険性

警察庁長官銃撃事件が時効をむかえた件、オウムの犯行とする警察幹部に現場の捜査官が逆らえず、見当違いな捜査がくり返されてきた実態が明らかになった。
詳細が今日のNHK『クローズアップ現代』で放送されていた。
同じ目撃者が、ある調書では「実行犯はオウム幹部に似ていた」と証言したと書かれているのに、数年後の調書では「オウム信者だった元警察官に似ていた」と証言したと書かれていたのだ。
しかもNHKが目撃者男性に直接取材すると、どちらも自分が証言ではないと断言した。
恐ろしいことに警察は、自分たちが考えた事件の構図ありきで、目撃者が話していもいないことを証言としてでっち上げて調書を作っていたのだ。それも二回も。
こんな話を聞かされると、ますます「時効廃止」が不安になってくる。
警察がその気になれば、架空の目撃証言で、容疑者をでっち上げられるということだ。
もし時効がなくなれば、捜査が長期化し、目撃者が亡くなり、警察による目撃証言の「でっち上げ」をくつがえすことが非常に難しくなる。
「えん罪」は確実に増えるだろう。
だからこそ、全国犯罪被害者の会NAVS【あすの会】の皆さんは、もう一度考え直された方がいい。
「えん罪」は、真犯人がのうのうと社会で生活し続けることを意味する。それが全国犯罪被害者の会の皆さんの望んでいることなのか。警察を信じすぎだろう。
ただ、どうやら全国犯罪被害者の会も、警察と同じように、強引なトップダウン組織で、決して民主的ではないようだ。
そんな圧力団体によって時効が廃止され、「えん罪」が増えるのでは、他の国民はたまったものではない。
国民は被害者感情に安易に同情せず、警察の捜査能力に限界がある現実を、もっと冷静に見るべきだ。
それが今回の警視庁長官銃撃事件の最大の教訓だと思う。

時効廃止と、日本が戦争犯罪の時効を廃止しないことの矛盾

時効廃止が、戦争中の「人道に対する罪」の追及につながるかもしれないという、興味深いブログ記事を見つけた。下記のリンクの記事だ。
天才たぬき教授の生活「公訴時効の廃止と遡及適用?」
日本が殺人事件の公訴時効を廃止すると、戦争中の「人道に対する罪」の訴追をしろ!という、国際的なプレッシャーが強くなるおそれがあるということだ。

日本は、国連で1968/11/26に採択され、1970/11/11発効した「戦争及び人道に対する罪に対する時効不適用条約」を批准していない。つまり、戦争犯罪はもう時効になっているので裁かない、と決めているのだ。
今回、もしも日本が殺人事件の時効を廃止すると、日本に対する国際的な非難が高まるおそれが出てくる。
「日本は、戦争中に自国が犯した罪は、時効だから裁きませんと言っておきながら、国内の殺人罪の時効はなくすというのは、明らかに矛盾しているだろ!」という具合だ。
「戦争及び人道に対する罪に対する時効不適用条約」を批准している国々からすると、日本はズルい国に見えることになるだろう。
全国犯罪被害者の会「NAVS あすの会」の方々は、こういった国際的な観点もふまえて、殺人事件の時効を廃止するロビイング活動を行っているのだろうかと、疑問に思った。

時効廃止は犯罪被害者の皆さんに損になる

時効の廃止は、犯罪被害者の方々にとって、かえって損になるというお話。
(※この記事は「時効廃止の恐ろしさを知らない全国犯罪被害者の会の皆さん」の続きである)
全国犯罪被害者の会「NAVS あすの会」の方々は、警察・検察のエリート官僚のワナにかからないために、いまいちど冷静に考えていただきたい。
時効が廃止されると、一つ一つの事件について、警察は半永久的に捜査をつづけなければならない。
しかし、警察の捜査能力には限りがあり、有能な人材は急に増やせるものではない。
その結果、事件どうしで、警察の捜査能力の取り合いになる。しかも時効が廃止されるので、事件が起こるたびに、その取り合いはどんどん激しくなる。
事件どうしが捜査能力の取り合いをするというのは、つまり、犯罪被害者どうしが操作能力の取り合いをするということだ。
「私の妻が殺された事件の捜査は進まないのに、なぜあの人の娘さんが暴行された事件の捜査は着々と進んでいるんだ」
犯罪被害者の方々の間に、少しずつ感情的な「しこり」が生まれていく。それと同時に、一つの事件あたりにかける捜査能力が少なくなるので、検挙率は必然的に下がる。
(※下がっていく検挙率を無理やり上げるために、現場の刑事や警察官たちが無理な捜査を行い、えん罪が増えるおそれもある)
要するに、時効を廃止すると、全国犯罪被害者の会「NAVS あすの会」の皆さんが期待していることと、まったく逆のことが起こるのである。
これは、典型的な「合成の誤謬」だ。
犯罪被害者一人ひとりの思いは正しくても、それが集まって時効廃止が実現してしまうと、当初の期待と正反対の結果になってしまう。
時効廃止の副作用は、実は、これだけではない。
時効廃止によって、検察・警察官僚たちは、捜査能力を拡充しなければいけないという口実のもと、より多くの予算、つまり国民の税金を獲得しようとする。
検察・警察のエリート官僚たちにとって、時効廃止というのは、より多くの予算を得るための、かっこうの口実になるのだ。
しかし、より多くの予算が配分されたとしても、それが本当に捜査能力の強化のために使われる保証はない。
以上をまとめると、時効の廃止によって、
(1)犯罪の検挙率が下がる。
(2)犯罪被害者どうしが、いがみ合う。
(3)検察・警察のエリート官僚が、おいしい思いをする。
さて、これが全国犯罪被害者の会「NAVS あすの会」の方々の望んでいる結果だろうか。
失礼ながら、全国犯罪被害者の会の方々よりも、検察・警察のエリート官僚たちの方が、はるかに頭がいい。法務大臣が、時効廃止に前向きな発言をするのは、時効廃止によって、より多くの予算を獲得できるからなのだ。
全国犯罪被害者の会の方々は、重ねがさね失礼ながら、考え方が素朴すぎる。検察や警察を信用しすぎている。
では、全国犯罪被害者の会の方々は、本来どのようなロビイング活動をすべきだったのか。
それは、時効制度は残したまま、とにかく検挙率を上げる努力をせよと、警察に地道に要求し続けること。
そして、長期的に捜査能力を増強するために、検察・警察への予算配分を増やすことを、支持する政党の議員を通じて地道に要求し続けること。
また、管轄区域を越えた広域捜査の拡充など、現行の捜査制度の欠点を、地道に改善するよう要求していくことである。
くり返しになるが、時効廃止は、全国犯罪被害者の会「NAVS あすの会」の皆さんにとって、何の利益ももたらさない。逆に不利益をもたらす結果にしかならない。
全国犯罪被害者の会「NAVS あすの会」の皆さんは、もう一度、よく考えて欲しい。そして検察・警察のエリート官僚の、善意を装った口車に乗せられないように注意して頂きたい。