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iPhone 6行列騒動の責任はもちろんアップル社にあり

各国のアップルストアにiPhone 6を求める長蛇の列ができ、転売目的とおぼしき中国人のために警察も巻き込んだ騒動になったようだ。

ただ、数量限定の商品をオンラインでなく実体店舗で発売するとき、顧客に行列をさせなくてすむ方法は、身分証明書とひも付けた整理券を配布するなど実績のある方法は複数ある。

それでも混乱が防げそうにない場合は、通信予約販売やオンライン予約販売限定にすればいいだけの話だ。

アップル社がこれらの方法を知らないはずがない。

にもかかわらずアップル社が顧客に長蛇の列を強いる販売方法をやめないのは、明らかに広告宣伝費をかけずにマスコミに報道させる話題づくりのためだ。

自社のコスト低減のために、行列にならぶ顧客だけでなく、警察など地元政府にも事態収拾のコストを押し付けるのは、アップル社の独善以外の何ものでもない。

中国人が転売目的で大量のiPhone 6を買い占めようというのは、きわめて経済合理的で資本主義的な行動だ。iPhone 6の発売日に中国国内でのiPhone 6発売開始時期は不明だったため、国外で購入して国内で転売して利ざやを稼ぐのは合理的だ。(密輸は違法なので問題外として)

その結果、行列に転売目的の顧客が大量に動員されたとすれば、店頭でもオンライン販売同等の身分確認をしないアップルストアのオペレーションに問題がある。

宣伝目的でわざわざ長蛇の列ができるような販売形態をとるなら、それが悪用されないような対策を事前にとるのは小売業として当然だろう。

小売業として当然のことをやらなかったアップルストアを非難する声がほとんどなく、今回の騒動を中国人バッシングのネタにするのはどういう見識なんだろうか。

Android PoliceがNEC新機種Medias X 06Eをやや冷笑的にレビュー

Android関連の最新情報をとるなら、Android Policeという英語サイトがいちばんおすすめだ。
たまたま今日このサイトが、NECのNTTドコモ向け最新機種「Medias X 06E」を、かなり冷笑的に取り上げていたのを見つけた。世界初の水冷CPUスマホだ。
[WTF Japan] NEC Unveils A Water-Cooled Smartphone – With Jewelery – Especially For Women (2013/05/15 Android Police)
Android Policeの記事の文面は、いつも言葉の端々に皮肉が効いている。この記事をできるだけ原文どおりに試訳してみる。
「あなたが探していたのはたぶん水冷式のスマートフォンではないだろう、でも日本のスマートフォンメーカーNECは今日、Medias X 06Eと大まじめに名付けられたNTTドコモ向け端末を発表した。CPUをH2Oで冷却する世界初のスマートフォンだが、性能は決定的にふつうで、NECはHTCのRhymeと本質的に同じように、”女性の”電話としてマーケティングするつもりだ。」
「正直に言って、Medias X 06Eはちょっとひどい冗談のように聞こえる。必要以上に女性的なデザインと水冷システムというギミックは、望ましい機能より注目を集めるための叫び声のように見える。たぶん、女性のためのスーパーフォンというのはありだが、私は興味が無い。」
このAndroid Policeの記事の引用元は、『The Verge』の下記の記事だ。
NEC knows what women want: a water-cooled smartphone (2013/05/15 The Verge)
ちなみにこのThe Vergeは、NECの2画面折りたたみ式「Medias W N-05E」について、以下のように書いていた。
NEC says two phone screens are better than one with Medias W (2013/01/21 The Verge)
タイトルからして「NECはMedias Wについて電話の画面は1つより2つのほうがいいと言っている」と、人を食ったようなタイトルだ。
そして本文の冒頭。
「世界でもっとも奇妙なデザインの電話を提供することにかけては、いまや日本に頼れるだろう、しかしシャープや富士通のような会社はどこにでもあるようなストレートな平板のAndroidを生産することで落ち着いている。NECに感謝」
本文の末尾。
「これを日本以外で見ることができるだろうか?まずありそうにない。しかしNECは最初に2画面の試作品を発表したときこれを”グローバルモデル”だと確かに呼んだ――輸入業者はしっかり注目したいと思うかもしれない」
NECがグローバルモデルだと言い張るからには、本当に海外市場に輸出するのかどうか、海外の輸入業者は注目したくなるだろう、という意味だ。
さて、水冷CPUのNEC新機種の記事にもどろう。
「私たちは、日本の電子機器メーカーNECがワイルドなデザインの電話(訳注:上記の2画面スマホのこと)を嫌がらないことを既に知っている。しかし、同社は画期的なスマートフォンの機能を発表した。世界最初の水冷CPUだ。」
「では性能上の利点はあるのか?そうとは言い難い。内臓チップ(APQ8064T)は、今日発表されたいくつかのドコモ向け製品を含め、他の多くの電話と同じ1.7GHzだ。クアルコムは1.9GHzまでのクロックアップに対応しているにもかかわらずである。NECによれば、冷却に酔って過熱しがちにならないので、プロセッサがフルパワーでより長く稼働するという。しかしCPUがバッテリー寿命を最適化するために、電力消費を動的に低減しているのに、そういった特定の問題がどれくらいの頻度で起こるのか、興味深いところだ。」
平均的な性能のスマートフォンに、水冷システムを組み込んでいる点に、The Vergeの記者は明らかに懐疑的だ。
さて、日本の電気機器メーカーが、グローバルな観点からしてもおかしくない開発センスを取りもどすのは、いつの日のことだろうか。

「Life is beautiful」のAppleとAndroidに関する記事

AppleとAndroidについて興味深いブログ記事を見つけた。
「なぜ横並びで展示されるAndroidタブレットを作ってもだめなのか」(ブログ『Life is beautiful』2011/01/17の記事)
ターゲットや付加価値や差別化要素がはっきりしないAndroid携帯やAndroidタブレットを、各社横並びで作ってもだめで、iPhoneやiPadの優位性は変わらない、という主旨の記事だと理解した。
ハードウェアメーカーとしてのAppleの付加価値の優位性は、売上高より利益の絶対値を見れば分かる、というわけだ。
まったくその通りだと思う。
しかし、この『Life is beautiful』の記事の筆者は、ではなぜApple社がそれだけの付加価値の創出や差別化に成功したのかについて、適切に論じていない。
ヒットチャートに例えて言えば、このブログ『Life is beautiful』の筆者は、チャートで10位より下の曲には付加価値がないので、リリースする意味がないと言っているに等しい。
しかし、ヒットチャートが成立するのは、無数の失敗曲があるからこそだ。10位より下の曲がなければ、ヒットチャートのトップ10入りが「すばらしい」という世間的評価そのものが成り立たない。
PC事業で言えば、収益性で成功する企業があるのは、収益性で失敗した企業が無数に存在するからこそだ。仮に成功企業しか存在しない状態を是とするなら、世の中のすべての製品は独占状態におちいることになる。
なぜ、Apple社が付加価値の創出や差別化に成功したのか?
それは、他の一部のPCハードウェアメーカー(HPやDELL)が、Appleのマネをして、付加価値の創出や差別化を目指していてはAppleに対抗できないと判断し、オペレーションの効率性を目指すという、別の目標を採用したからだ。
さらに、その他すべてのPCメーカー、たとえば、すでにPC生産から撤退したIBMや、PC事業単体で利益を挙げられない日本メーカーが、そのような対抗戦略をとれず、ただ単に失敗したからだ。
当たり前のことだが、PC事業を全体として見たとき、成功した企業がいれば、必ず失敗した企業がいる。誰かの失敗がなければ、誰かの成功はありえない。
したがって、横並びのAndroidタブレットを作るべきではないと論じるのは、端的に間違っている。
逆に、各社は横並びのAndroidタブレットをどんどん作って、Androidタブレット市場の内側で、いったい何が勝敗を決める基準になるかをあぶり出すべきなのだ。
たとえば、僕はこの「愛と苦悩の日記」で、シャープの電子書籍端末「GALAPAGOS」や、NECの「Smartia」というAndroidタブレットを、けちょんけちょんに批判している。
これら製品のように、各社がさまざまなとんでもないAndroidタブレットを発売すればするほど、どうすれば成功し、どうすれば失敗するかが明らかになる。
結果として、何をやってはいけないかが分かり、Androidタブレット市場の内部で、何が優位性や高収益性につながるか、集団的な学習が進む。
そうすれば、PC市場で、最終的にDELLがオペレーションの効率性という一つの成功パターンを見出したように、Androidタブレット市場で、Apple製品に対抗できるビジネスモデルが見つかる。
それが競争による淘汰というものだ。
なので僕らは、上述のブログ『Life is beautiful』の筆者の言う「逃げ切りメンタリティ」に犯された日本のメーカーの経営陣が、ヘボい横並びAndroidタブレットをつぎつぎ発売するのを、大歓迎すべきなのだ。
と同時に、それらのタブレットを、具体的に、けちょんけちょんに批判することで、Androidタブレット市場の議論を活性化すべきなのだ。
もう一つ言えるのは、生産者側の理屈と、購買者側の理屈は違うという点を、上述のブログ『Life is beautiful』の筆者は見逃している。
確かに生産者側の立場で、Apple的価値観から見れば、Windowsパソコンなんてハードウェア的には横並びで陳腐な製品群かもしれない。
しかし、その陳腐さや個性のなさのおかげで、企業の購買担当者からすれば、納入業者をたがいに競争させて買い叩き、業務用パソコンの調達コストを抑えることができたわけだ。
もしこれが、横並びで比較できない、個性的なパソコンしか市場にないとなれば、どのパソコンを選択するかが、社内の業務プロセスや、取引先との情報のやりとりにまで影響をおよぼすことになる。
差別化要素がなく没個性的であることは、購入する側の企業にとっては、Apple製のパソコンに対する、まったく別の意味での「差別化要素」になっているのだ。
ブログ『Life is beautiful』の筆者は、ここまで深く考えていないのか、あえて浅薄な考えを披露することで議論を呼びこもうとしているのか。
いずれにせよ、ブログ『Life is beautiful』の筆者のAndroidタブレットに対する考え方は、個性を伸ばす教育を無条件に称賛し、そのような教育を成立させている環境的な条件を見ない、ナイーブな教育論を思い出させる。

Appleの競争力と商業音楽の関係について

今さらながら、ふとしたことから、Apple製品の競争力の源泉について考えさせられた。
ご承知のように、MacintoshやiPhoneなどのApple製品は、ふつうの会社員よりも、クリエイティブな仕事をしている人たち、ミュージシャン、イラストレーター、ディレクターなどに圧倒的に人気がある。
それは、単にApple製品のデザインが、たとえばWindowsパソコンの大多数が無骨なのに比べて、洗練されているからだと思っていたが、もっと本質的な理由があるんじゃないかと気づいた。
それは、競争がないことだ。
最近、スマートフォンの分野でグーグルのアンドロイドOSが、急速にシェアを伸ばしているが、WindowsパソコンとMacintosh、そして、Android端末とiPhoneを比較すると、Apple製品はつねに競争がないところで一定のシェアを確保していることがわかる。
Windowsパソコンはハードウェアの規格が、Android端末はOS(基本ソフト)と対応ハードウェアの規格が公開されているので、世界中の無数のメーカーが参入して製品を発売し、価格面や性能面など、いろいろな点の優位性を競う激しい競争が起きる。
一方、Macintoshは少なくともハードウェアの規格は、OSがUnixベースになり、インテル製CPUに対応するまでは、非公開だったし、iPhoneはOSもハードウェアも規格は非公開だ。(もちろんアプリケーション開発の規格は公開されているが)
なので、Appleが独占的に製造でき、同じ規格の中での競争にさらされることがない。
競争がないので、製品コンセプトやデザインを、Apple社の思うままにできるのは、ある意味、当然だ。
iPhoneのヒットは、iPodのヒットがあってこそで、さらにそれはMacintoshのヒットがあってこそだが、MacintoshがWindowsパソコンに完全に淘汰されることがなかった点は、たしかにApple社のマーケティングの勝利だろう。
そしてそのマーケティングの根っこにある思想は、「同じ規格内での競争をしなくてよい創造性」というようなものだったに違いない。
この「同じ土俵で競争しなくていい創造性」という思想は、創造性より効率性が求められるふつうの会社員にはまったく無縁だが、創造性や個性そのものを売りにして生活しているクリエイターたちには、ぴったり来るものだったはず。
だからApple製品はクリエイターたちの根強い支持を得て、その思想がiPod、iPhoneと受け継がれ、市場全体で見ても確実に一定のシェアを確保しつづけることができたのだろう。
どうしてこんなことを今さら考えさせられたのかと言うと、商業音楽(ポップスも演歌も含む)のクリエイターは、クラシック音楽の担い手たちと比べたとき、「競争のない創造性」という思想が当てはまるだろうかと、ふと疑問に思ったからだ。
商業音楽に競争がない、なんてことはない。CDやコンサートのチケットが、少なくとも創り手の再生産を支えるだけの売上をあげなければ、商業音楽は成り立たない。
それだけの売上をあげるためには、他の商業音楽との競争で勝たなければいけない。
だから商業音楽にはヒットチャートというものが存在する。ふつうの産業製品と同じように、商業音楽は音楽としての良し悪しとは無関係に、商品として、数量や金銭という一つのモノサシで比較される。
なので、いくら音楽の聴き手の耳がヒドくても、聴き手の音楽に対する考え方がお話にならなくても、商業音楽の創り手は聴き手に「媚び」を売らなければならない。
一定数の聴き手を獲得できなければ、商業音楽は成り立たないからだ。
逆に言えば、聴き手に媚びず、送り手側の妥協のない創造性だけで商業音楽は成り立つと勘違いしたが最後、それは商業音楽にとって自殺行為になってしまう。
ただ、一つだけ可能性があって、商業音楽の世界にもApple社のようなスタンスが安定して存在するかもしれない、ということだ。つまり、「競争のない創造性」を体現できる立ち位置が。
しかし、Apple社のスタンスが安定して成立するには、「規格の非公開」という大前提が必須だった。果たして商業音楽を作るときに、規格を非公開にすることなどできるだろうか。
このテーマについては、まだいろいろと考えることができると思うが、この記事はこの辺でおしまい。

Androidに無知なライターが書いたIT Mediaの「GALAXY S」評価記事

Android OSの認知度はまだまだらしい。IT Media +D mobileのサイトに、とんでもない「GALAXY S」ロードテスト記事を見つけてしまった。
「第1回 iPhoneとは似て非なる?――「GALAXY S」のホーム/メニュー画面を試す」(2010/12/28)
NTTドコモのAndroid端末「GALAXY S」のホーム画面とメニュー画面を、iPhoneと比較するという記事なのだが、書いている人間のAndroid知識不足が、とんでもないレベルの低さなのだ。
たとえば、ホーム画面で利用できる画面数は最大7ページ、「DELL Steak 001DL」には各ページアイコンに触れながら指をスライドさせるとページが移動する機能があるが、「GALAXY S」にはない、アプリのアイコンが4かけるで表示されるのはiPhoneと全く同じ、などなど。
そもそも、Android端末って、初期状態でインストールされているメニュー画面を、自分の好きなメニュー画面(いわゆるローンチャー・アプリ)に入れ替えられるところが便利なのだ。
このロードテスト記事の筆者は、そのことに全く触れないまま、DELL SteakやGALAPAGOS 003SH、GALAXY Tabなど、他のAndroid端末と、GALAXY Sを比較している。
4×4よりもっとたくさんアイコンを表示したければ、Zeam Launcherなどをインストールして、Preferencesから、タテ、ヨコそれぞれに表示したい列数、行数を任意に設定すればいい。それだけの話だ。
自分の好みのローンチャー・アプリをインストールしさえすれば、どんなAndroid端末でも共通したホーム画面/メニュー画面の操作感が得られる。
そんな知識さえない状態で、Android端末のロードテスト記事など書かないでほしいのだけれど。まったく。