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シャープの轍を踏む東芝の「BookPlace」

東芝が発売する電子書籍端末「BookPlace DB50」、この強い既視感はいかんともしがたい。
シャープが芥川賞作家の平野啓一郎を招いて、電子書籍端末「GALAPAGOS」を大々的に発表したのは2010/11/29のことだった。
『シャープ、作家の平野啓一郎氏を招き「GALAPAGOS」イベントを開催』(2010/11/29 PC Watch)
正確にはもう少し前に「GALAPAGOS」は発売されていたが、それを平野啓一郎という若手純文学作家をダシに、端末機器の性能だけでなく、配信されるコンテンツ面からも力を入れますよ、というシャープのアピールだったと思われる。
しかし、純粋な電子書籍端末としての「GALAPAGOS」が大失敗に終わったのは、周知の事実だ。
そして東芝は、あれから1年強しか経っていないのに、同じ過ちをくり返そうとしている。
『東芝、電子書籍専用端末「BookPlace DB50」リリースの理由』(2012/01/26 19:00 IT Media)
さすがに純文学作家の平野啓一郎では、「平野啓一郎。誰それ?」という一般人に訴求しないと思ったか、「キレイどころ」の東京大学卒女性タレント・三浦奈保子と、より柔らかい作風の大衆小説家・井沢元彦の二人をそろえた。
東大卒の女性タレントと大衆小説家をゲストに呼ぶ時点で、すでに「電子書籍はコンテンツ次第で端末機器はどーでもいい」ということを、東芝は完全に見誤っている。
まず、この「BookPlace DB50」が情報端末としてどこまでのことができるかは、以下のGIGAZINEの記事が詳しい。
『東芝の電子ブックリーダー「ブックプレイス(BookPlace)DB50」で何ができるかまとめ』(2012/01/26 15:46:17 GIGAZINE)
Android端末としては使えないので、せっかくのWSVGA液晶やmicroSDカードスロットが、ほぼ完全にムダなスペックであることがわかる。まさにシャープが大失敗した最初の「GALAPAGOS」と同じ考え方で作られた製品だ。
では東芝は何で差別化しようとしているのかといえば、価格であって、価格しかない。
実売価格はネットの各種記事によれば22,000円前後になり、BookPlace専用の電子書籍販売サイトの5000円分ポイントが付いてくるらしい。それでも米国Kindle Fireより高い。
しかし、そもそもシャープの「GALAPAGOS」が大失敗し、ソニーの「Reader」がヒットしない根本原因は、価格ではない。日本の書籍流通が旧態依然たる構造になっていて、電子化される書籍にろくな本がないからだ。
「GALAPAGOS」発売のときにも同じことを書いたような気がするのだが、ゴミみたいな本しか読めないことはBookPlace専用のコンテンツ販売サイトに接続して、例えば「文学」や「ビジネス・社会・IT」、「ノンフィクション・ドキュメンタリー」をクリックしてみるといい。
まず、池田信夫氏に敬意を表して池田信夫著の書籍を検索すると、4件しか出てこない。あの多作の宮台真司にいたってはたったの5件。なんじゃこれは。
しかも、例えば最近、書店で平積みになっている池田信夫氏の新刊『イノベーションとは何か』は1,600円。
Amazon.co.jpで紙の『イノベーションとは何か』を注文すれば2,100円で翌日に届き、読み終わったら同じくAmazon.co.jpで古書として売り払えば、差し引き実質500円くらいで読めるだろう。ブックオフに売っても実質1,500円くらいでは読めるはずだ。
それに対して、BookPlaceで同書を購入してしまうと1,600円かかり、古書として売りさばくことさえできないどころか、自分のPCやスマホで読むことさえできない。
同じことは、現在日本国内で販売されている全ての電子書籍端末に当てはまる。この状況で電子書籍を購入する人は、金があり余ってどうしようもない人か、経済観念のまったくない人だろう。
いい加減、シャープ、東芝、ソニーなどなど、国内の電機メーカーは、日本国内の紙の書籍流通の現状を無視して、電子書籍がビジネスとして成立するという大いなる勘違いをし続けるのはやめたらどうか。

GALAPAGOSの失敗、シャープがようやく認める

この「愛と苦悩の日記」に「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」というエッセーを書いたのは、2010/09/28だ。
そのシャープがようやく、失敗を認めたらしい。
「電子書籍端末GALAPAGOSがAndroid 2.3端末に変身!」(2011/07/14 15:19 ASCII.jp)
以下、僕の単なる想像だが、シャープ社内の液晶デバイス開発陣は、液晶テレビ「AQUOS」や亀山の世界ブランド化の成功体験で、社内の政治力学において、営業部門より不当に強い発言力を持ってしまったに違いない。
ところが、液晶テレビがコモディティー化することで値崩れが進み、利益が出なくなった。
その打開策として、開発陣がプロダクト・アウトの発想で、利益率の高い小型液晶を、利益が出る価格で売り出すために開発したのが、電子書籍専用端末のGALAPAGOSだったのではないか。
たまたまアップル社のiPadの登場に合わせて、米アマゾンのキンドル、ソニーのReaderなど、電子書籍を読むためのタブレット型端末が普及し始めたので、それに便乗した。
ただ、汎用的なAndroidタブレットとして販売すると、汎用性のあるiPadとの差別化ができないので、あくまで流通経路の限定された電子書籍や動画コンテンツ専用端末の位置づけとした。
シャープの営業部門は、もしかすると次のように考えたのかもしれない。
日本では米国と異なり、書籍の流通が閉鎖的で、再販制度で書籍の価格が維持されている。そのため、コンテンツをそのまま電子化しても、米アマゾンのキンドルのように、コンテンツの価格を下げないと端末が売れない、ということは起こらないはずだ。
むしろ電子化されることによる検索性の向上や、何千冊もの本を持ち歩けるという利便性を、そのまま端末価格に付加価値として上乗せできると考えたのだろう。
というより、そういう理屈で、シャープの営業部門は、なんとか名誉挽回したい液晶デバイスの開発陣にねじ伏せられたのだろう。
結果は大失敗。iPadは日本では電子書籍端末として売れたのではなく、Twitter(ツイッター)などのソーシャルメディアや、ゲーム、さまざまなアプリを楽しむための端末として売れたのだ。
結局、日本でも米国同様、電子コンテンツが紙のコンテンツより安くなり、消費者が端末の購入代金を、電子コンテンツを購入することで「償却」できるようにならないと、本格的に電子書籍端末は普及しない。
あるいは、iPadやAndroidタブレットのような、汎用性のある端末に、たまたま電子書籍リーダーが入っている、という状態でなければ、誰も電子書籍など読まない。
成功体験に溺れたシャープの液晶デバイスの開発陣には、そういった「当たり前の理屈」が見えなくなっていたのかもしれない。
今回、GALAPAGOSが汎用的なAndroid 2.3タブレットとして使えるようになったことで、シャープはGALAPAGOSを、すでにコモディティー化したAndroidタブレットに対して価格競争力のある、相当安い価格に下げざるを得ないはずだ。
例えば、エイサーの「ICONIA TAB」は、すでにAndroidのバージョンが3.0になっており、価格は実売で35,000円からとなっている。シャープがこの価格でGALAPAGOSを売れば、生産ラインをより人件費の安い国に移さない限り、間違いなく赤字だろう。
シャープさん。ご愁傷さまでした。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。

電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?

しつこいようだが、シャープのGALAPAGOSを始めとする電子書籍端末が、どうしたって日本では売れそうにないという話を、こりずに書いてみる。
今朝、通勤電車で何気なく上を見上げると、auの「biblio leaf」という3G/WiFi通信機能付きの電子ペーパー型電子書籍端末の広告があった。
これなら面倒なWiFi設定なしに、書籍コンテンツをダウンロードできるが、見た目はAmazonのKindle(キンドル)やソニーのリーダー(Reader)のような、モノクロの電子ペーパー端末である。
なるほどこれで、日本国内には「差別化」された電子書籍端末がそろっているというわけだ。
電子ペーパー型で通信機能のないソニーのリーダー(Reader)。電子ペーパー型で3G/WiFi通信機能つきのau(下請けメーカーはFoxconnらしい)のbiblio leaf。カラー液晶でWiFi通信機能だけがついたシャープのGALAPAGOS。
今日考えたいのは、電子書籍の利用シーンだ。
まず自動車を運転しながら、電子書籍を読むのはムリだ。地方都市で車が主な移動手段である人たちにとって、電子書籍は自宅でしか使えない。
では都市圏で電車・バスが主な移動手段である人たちはどうだろう。
まず割合の多い正規雇用者、非正規雇用者。
通勤電車の中で、紙の本や雑誌を呼んでいる会社員は、毎日観察すればすぐわかるが、かなりの少数派だ。大人でも携帯電話のゲーム、携帯ゲーム機で息ぬきしている人が多い。
女性の雇用者は、男性の雇用者より、電車で読書している人が多い気がするが、どうだろうか。
座席にすわっている雇用者らしきたちは、ほとんど眠っていると言っていい。
出張中の会社員が、仕事と、アフター5の飲み会の後、帰りついたビジネスホテルで、読書にふけるとは考えづらい。ほとんどはすぐに眠るだろう。
しいて言えば、海外出張のために、長時間飛行機に乗るときは、電子書籍端末は一つのヒマつぶしかもしれない。
電車通学をしている生徒や学生さんたちは、友だちとしゃべっているか、携帯電話でメールやSNSをしているか、本を読んでいても、週刊マンガか、教科書や参考書で勉強しているかで、一般書・雑誌を読んでいる人は少ない。
次に割合が多いのは、一日のほとんどの時間を家庭で過ごす、小さな子供、主婦、年金生活者だろうか。
これらの人は用事があって出かけるときは、電車、自動車、自転車、徒歩などだが、このうち電子書籍端末が使えるのは、電車に乗ったときだけだ。
ただ、お子さんを連れて電車に乗った主婦は、お子さんの相手がメインであって、電子書籍を読みふけるとは考えづらい。
年金生活者のうち、電子書籍端末を使いこなせるほどのIT知識のない方々は除外される。
以上のことから、日本全体を見まわしてみたとき、電子書籍端末が使われるシーンはとても限られることがわかる。
しかもそのうち、まとまった時間を電子書籍端末での読書にさけるのは、結局は自宅だけのような気がする。(頻繁に海外出張する会社員が多数派だとは思えない)
ただ、自宅で落ち着いて電子書籍を読むなら、わざわざ電子書籍端末を買い足さなくても、パソコンでいいわけだ。
しかし、すでに日本の一般家庭にかなり普及しているパソコンで、電子書籍がよく読まれているという話はまったく聞かない。僕個人もパソコンで電子書籍を読んだことはない。
パソコンを含む電子媒体は、長くても10ページくらいの読み物を読むためだけに使い、100ページ以上の本を読むのに、パソコンを使おうという気にならない。
なお、米国でKindleが売れているのは、電子書籍コンテンツが、紙の本よりかなり安く、すぐにKindle本体の購入費用を回収できるからと言われている。
他方、日本人の上述のような読書スタイルが単なる「習慣」であって、合理的な根拠がないなら、日本人が自宅で電子書籍を使いはじめるためには、いったいどんな啓蒙が必要だろうか。
というより、果たして日本人の読書習慣を変えられるような啓蒙など存在するのだろうか。
そんな啓蒙が成功するなら、そもそも出版業界は単行本の売上がどんどん減っていると嘆く必要などなかったのではないか。
ますます不可解な電子書籍端末ブーム(?)である。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/09/28)
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/12/14)
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」(2010/12/31)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「SHARP、GALAPAGOS(ガラパゴス)の哀れをもよおすテレビCM」(2011/02/01)
>>「著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う」(2011/02/02)

著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う

電子書籍について、Apple社がソニーのiOS用Readerアプリを、App Storeに登録すすることを拒否したらしい。
I heard that Apple rejected the registration of Sony’s Reader to App Store.
「アップルが iPhone版 ソニー Reader アプリを却下、独自ストアを締め出し?」(『エンガジェット・ジャパン』2011/02/01 07:45)
“Apple rejects Sony Reader app, really doesn’t want you buying content from others (update: Apple says it needs official in-app purchases)” (ENGADGET Feb 1st, 2011 12:39PM)
個人的な推測だが、AppleはAmazonなど、他社の独自ストアまで締めだすつもりはなく、ソニーが自社レーベルの楽曲をiTunes Storeに提供していないことを、根に持っているだけじゃないかと思うのだが。
I personally suppose Apple has no intention to reject other stores such as Amazon’s digital book store for Kindle. Apple simply doesn’t like Sony because Sony doesn’t sell their music on iTunes.
まあ、それはどうでもいいとして…。
Anywhere, that’s none of my business…
電子書籍について、シャープがGALAPAGOS(ガラパゴス)みたいなものに、開発費や広告宣伝費を投じるなんてバカげていると考えるうちに、次のような疑問が浮かんだ。
When I was thinking why Sharp learns too slowly to stop spending shareholders’ money on advertising and improving their proprietary digital book reader ‘GALAPAGOS’, an idea came to me.
電子書籍図書館というものができたら、著作権法違反になるのではないか?
digital book libraries might be involved in a lawsuit because of copyright infringement.
電子書籍には「古本」市場がないのではないか?
There might be no used book stores for digital books.
読み終わった電子書籍は、寄付することができないのではないか?
After I finish reading digital books, I might not be able to donate them.
極端な話、世の中のすべての本や雑誌が、クレジットカード決裁のオンライン・ストアでしか買えない電子書籍になると、クレジットカードを持てない「貧しい」人たちは本を読めなくなる。
In an extreme case, if all books in the world go electronic which can be bought only with credit card, the poor who can’t hold credit card will no be able to read any books.
そこまで行かなくても、いったい図書館というものはどうなるのか。
Even not in an extreme case, what will the future of library look like?
自分で決済手段を持てない子どもたちや、貧しい人たちは、紙の本であれば、たとえ一冊1万円近い専門書でも、図書館から無料で借り出して学ぶことができる。
Children and poor people who don’t have their own way of online payment can borrow even expensive books from libraries in the real world.
読み終わった本を図書館などに寄付することで、図書館は図書購入費をわずかでも節約できるかもしれない。
If people donate the books they finish reading, the libraries can reduce purchase cost a little.
本や雑誌が電子化された後も、図書館という無料貸し出しモデルを維持しようと思えば、端末ごと無料で貸し出す必要があるだろう。
If libraries want to continue lending out books for free even after many books go digital, they also have to lend e-book readers for free.
でも、よほど端末の価格が下がらない限り、端末も無料で貸し出すのは、図書館にとって運営リスクが高すぎるだろう。
However, lending digital devices for free is too risky for the libraries from the viewpoint of operational cost, unless such devices get cheaper enough.
例えば、今や性能の低いノートパソコンは1万円以下で手に入るが、館外持ち出し可のノートパソコンを準備している図書館なんてあるだろうか。
For example, low-spec laptop PCs already cost only 100 dollars or so, but we can’t find libraries which lend laptop PCs for free, at least in Japan.
それに、「まねきTV」の判例などを見ると、図書館が大量の電子書籍端末を、任意の電子書籍を読める状態で保管し、任意の利用者に貸し出せるようにすれば、著作権法違反になるのではないか。
In addition, there was a surprising subrime court decision in Japan. It says a company called Maneki TV infringes the copyright of television stations because this copany helps customers to watch Japanese domestic television programs in another country by using Sony’s device called ‘Location Free’.
善意の図書館と、悪意の「図書館」を技術的に分類するには、日本だけでなく、世界で統一された著作権管理の規格が必要になるだろう。ネット上の図書館には国境などない。
We will need global standard for managing copyrights in order to distinguish ‘good’ libraries from ‘bad’ libraries because the online libraries is borderless.
だが、電子書籍の販売がビジネスである以上、規格どうしの競争がつづき、世界統一規格など望むべくもない。
As long as selling digital books is a pure business, the competition among different technologies for managing copyrights will go on. Why can we expect the one and the only standard technology for managing copyrights?
また、古本の流通がなくなってしまうと、やはり経済的な弱者が読書の機会を奪われることになる。
Another problem is the vanishment of used book market. This also deprives poor people of opportunities of reading expensive books.
今までなら、値段の高い本でも、古本なら何とか買えるということで、手に入ったかもしれない。
Even poor people can buy expensive books for the time being because there are used book markets.
しかし、電子書籍は物理的に劣化しないので、「古本」という概念そのものがなくなる。値段を下げて売る根拠がなく、すべての電子書籍は「新品」だ。
However, digital books will never deteriorate. There can’t be any “used digital books”. There is no reason for discounting digital books even if read thousands of times. Every digital book is “new”.
このように電子書籍は、経済弱者から教育の機会を奪い、経済格差による教育の格差をいま以上に拡大させるおそれがある。
As you can see, digital books might deprive the poor people of educational opportunity and produce the widening disparity of education caused by economic inequality.
書籍の権利者が、電子書籍の著作権管理を厳しくすればするほど、経済弱者から学習の機会を奪うことになる。
The more strictly the copyright holders manage their copyrights, the less opportunities the poor people will have.
もちろん、逆にインターネットを通じてタダで手に入る知識や情報も増えているが、それにしてもインターネットをいつでも使えることが前提だ。
Of course, the Internet provides more and more knowledge and information for free on the asumption that the users can access the Internet anytime.
著作権管理のシステムや、クレジットカード決裁、特定のウェブサイトへの登録など、電子書籍を使うためのしきいを上げれば上げるほど、そもそも活版印刷が人間に何をもたらしたのか、という話になる。
If the prerequisites for using digital books continue increasing, e.g. copyright management systems, credit card payment and registration to the vendor’s website, why did the human-being invent movable types?
活版印刷によって、それまで一部のエリートしか手に入れられなかった知識を、より多くの人たちに伝えることができるようになった。
Movable type has made it possible that more and more people can access to the knowledge and information which only elites was able to access before.
ところが、電子書籍の普及によって、逆に電子書籍化された知識が、経済的に豊かだったり、IT知識のある人たちだけのものになるなら、いったい何のために活版印刷で情報を大量に印刷できるようにしたのか。
If the digital books encourage the monopoly of digital knowledge, why did we facilitate information exchange by inventing the movable type?
経済弱者やIT弱者は、電子書籍が自分たちの手に落ちてくるまで、指をくわえて見ていろ、ということなのだろうか。
Do the poor and IT illiterate people have to wait with envy until cheap digital books and e-book readers drop into their hands?
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/09/28)
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/12/14)
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」(2010/12/31)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「SHARP、GALAPAGOS(ガラパゴス)の哀れをもよおすテレビCM」(2011/02/01)
>>「電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?」(2011/02/04)

SHARP、GALAPAGOS(ガラパゴス)の哀れをもよおすテレビCM

最近やたらとシャープの電子書籍端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」のテレビCMを見かける。CMを見るたびに、ますます何を売りにしたいのか分からなくなる。
ここで言っている「GALAPAGOS」は3G通信非対応、つまり携帯電話として使えない、純粋な電子書籍端末の「GALAPAGOS」のことだ。
テレビCMを見ていると、寝ているあいだに枕元に置いておけば、GALAPAGOS(ガラパゴス)に自動的に新聞や雑誌が配信される、かのように見える。
ホテルの窓際や、ダイニングの食卓に置いておけば、勝手に新聞や雑誌や書籍が入ってくる、かのように見える。
このCMを見て、これはカンタン便利だと勘違いしてしまう人は、間違いなくITに詳しくない人だ。
カンタン便利だと思って家電量販店に行き、「GALAPAGOSを下さい!」と店員に言った瞬間から、なかなか厳しい日々が始まる。
まずは、「え?いま持って帰れないんですか?」という事実につまずく。いちいちインターネット経由などで申し込みをして、製品が届くまで待たなきゃいけない。
そして、いざ製品が届いてから、初期設定をしようとして気づく。
「無線LAN?」
じつは自宅のインターネット回線を無線LAN化するという作業を、まずやっておく必要があることに気づく。ITに詳しくない人が、製品が届いてからそのことに気づく可能性は十分ある。じっさいは量販店の店員が説明しているはずだが。
仮に親切な店員が無線LANが必要だということを、ていねいに説明してくれたとしても、疑問が残る。
携帯電話みたいに電波を拾えばいいじゃないか。どうしてわざわざ無線LANの機械を購入する必要があるんだ?それに、どうやって無線LANの機械を設定すればいいんだ?
そして家電量販店の無線LANのコーナーに行ってみると、さまざまなメーカーの、さまざまな種類の機器がズラリとならんでいる。
「今まで壁の挿し込み口に、パソコンからネットワークの線を直接つないでいたのに、その口に無線LANの機械をつないでしまうと、パソコンでインターネットが見られなくなるじゃないか」などなど…。
正しくは無線LAN「ルーター」を買わなければいけないのに、間違ってただのHUBや、無線LANの子機や、USB機器を無線化するアダプタを、間違って買ってしまうかもしれない。
なんとか無線LANルーターを購入できたとしても、最低限のIPアドレスの知識がないと、無線LANルーターの管理画面にたどりつけないかもしれない。
説明書どおりに設定できたとしても、お隣さんや、道行くモバイラーにかんたんにタダ乗りされたり、最悪の場合、設定変更されるような設定にしてしまうおそれもある。
たとえば、無線LANルーターの管理者用パスワードを、初期値のままだったり、「1234」にしてしまうなど。
なんとか無線LANルーターの設定ができても、GALAPAGOS(ガラパゴス)端末をルーターに無線で接続する設定ができるかどうかが、また別の関門になる。
シャープがYouTubeで公開している動画は、AOSSの自動設定について説明しているが、AOSS非対応の無線LANを買ってしまったら、「このAOSSってのは何なんだ」ということになる。
長々と説明したが、あのテレビCMを見てGALAPAGOS(ガラパゴス)に飛びつく程度に、ITに詳しくない人たちが、果たして自宅の無線LAN構築から、GALAPAGOS(ガラパゴス)をWiFi端末として認識させるところまで、すんなりとできるだろうか。
さらに言えば、仮に家庭内の接続には成功したとしても、テレビCMにあったように、出張先の海外のホテルで日本の新聞を読むために、自宅とはまったく違う環境で、すんなりGALAPAGOS(ガラパゴス)を無線LANに接続できるだろうか。
海外のホテルの無線LANはAOSSではないかもしれない。Yahoo!BBのWiFiサービスのように、いったんウェブブラウザの認証画面から、ホテルが指定したユーザ名とパスワードでログインする必要があるかもしれない。
そもそもITに詳しい人なら、GALAPAGOS(ガラパゴス)のような汎用性のない電子書籍端末より、間違いなくiPadやGalaxy Tabなど、汎用性のあるタブレットを選ぶだろう。
百歩ゆずって、IT知識のない人が苦心してGALAPAGOS(ガラパゴス)の設定に成功したとしよう。その次に来るのは、「金がかかるじゃないか!」という不満だ。
今までパソコンや携帯電話で、タダでYahoo!ニュースや、各大手新聞社のニュースを読めていたのに、どうして電子機器でニュースを読むのに購読料を払わなければいけないのか。
書籍や雑誌にしても、紙の本より大幅に安いならまだしも、値段があまり変わらない上に、一覧性の悪い小さな画面で読むことになる。
電子版の雑誌で、写真は固定されて本文だけスクロールする、なんていう小技をつかわれても、紙の一覧性にくらべれははるかに劣る。
また、女性の利用者が、ファッション雑誌を買うとき、印刷版より電子版を好んで買うなどいうことがあるだろうか。
光沢紙に印刷された紙面の美しさや、ページを切り取って保管できること、そして最近のファッション誌のように、手にとれるオマケがあってこそのファッション誌だろう。
いくらテレビCMに、GALAPAGOS(ガラパゴス)を会議室で自慢気に見せる女子社員を登場させても、汎用性のないGALAPAGOS(ガラパゴス)を買う顧客層はきわめて限られるだろう。
iPadでさえ、購入して数週間は外へ持ち出し、友だちに自慢したりしていたが、そのうち使い道がなくなって、ホコリをかぶる例が多いらしい。
iPadのように自由にアプリを選んで、追加インストールできないGALAPAGOS(ガラパゴス)は、なおさらそういった例が多くなるに違いない。
しばらくテレビでGALAPAGOS(ガラパゴス)のCMを目にすることになるだろうが、他のシャープ製品のCMと違って、哀れをもよおすCMになることは間違いない。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/09/28)
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/12/14)
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」(2010/12/31)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う」(2011/02/02)
>>「電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?」(2011/02/04)