中国式QRコード決済について(4):「QRガー」のみなさんには絶望が足りない

ネット上の「中国のQRコード決済すごい!日本でも普及させるべき!」という人々は、日本のQRコード決済利用実態や現金決済主義の現実から目をそむけ、QRコード決済をまだ使っていない人々への訴求力がほぼゼロである点で、完全に空回りしており、見ものとしては面白い。 以下、このような人々を「QRガー」と呼ぶことにする。この名称はすでに5ちゃんねるで使われている。 いかに「QRガー」のみなさんの努力が空回りしているか、下記リンク先の日本でのQRコード決済の実態調査で確認してみたい。IT系でおなじみ、MMD研究所のアンケート調査だ。 PayPayユーザは日本のスマホ所有者の約8.6% 「みんなが一番使ってい 続きを読む 中国式QRコード決済について(4):「QRガー」のみなさんには絶望が足りない

中国式QRコード決済について(3):ネオリベラリズムと思想的独裁は相性がいい

最近気づいたのは、中国のイノベーションを肯定的に評価する論者が、ネオリベラリズムを肯定的に評価する傾向があることだ。 中国に限らずどの国の政府も、現実の政策実行では政府の介入が大きい部分と小さな部分を相互補完的に機能させる。 経済の基盤となっている経済の外部、つまり共同体、個人の思想信条・宗教、社会の慣習など、貨幣に換算しづらい会資源を把握してしまうと、安定した正常な経済自体が成り立たなくなるためだ。 こうした経済の外部にある必ずしも合理的でない社会資源の存在意義を軽視して、ネオリベラリズムに沿って議論を展開すると、意図せずして現実のどこにも存在しないユートピアを記述するはめになる。 ごく普通 続きを読む 中国式QRコード決済について(3):ネオリベラリズムと思想的独裁は相性がいい

中国式QRコード決済について(2):QRコードの快適さと出来たての料理のどちらを取るか

中国のQRコード決済に関する書物についてのツッコミ第2弾はこちら。 『体験の出口を争う日本のキャッシュレス、体験の入口から作る中国のキャッシュレス』(2019/04/04) この記事に書かれているのは中国の二維火という会社の飲食店向け業務システム(ERP)のことで、QRコードが主な機能の業務パッケージではない。 同社は2017年、すでに日本に進出し、記事にあるのと全く同じ業務パッケージを飲食店向けに販売している。 QRFood (2Dファイヤー・ジャパン株式会社) 公式サイトは情報が少なすぎるので社長のインタビュー記事を参照しようと思ったら、リンク切れでGoogleキャッシュしか残っていない。 続きを読む 中国式QRコード決済について(2):QRコードの快適さと出来たての料理のどちらを取るか

中国式QRコード決済について(1):不便さこそが取引を安定させる

たまたま中国のQRコード決済にかんする書き物にTwitterでツッコミを入れる機会があったので、筆者の考えをまとめておく。 送金は「決済スキーム」と「送金スキーム」の部品にすぎない ツッコミを入れたのはこちらの記事。 『QRコード”送金”が推進した中国のキャッシュレス事情』(2019/04/02) 決済と送金、「この両者はスキームがまったく異なります」としている。 「取引の当事者以外に債権を引き受ける人(会社)が必要になる」ことで、「決済事業者の理解をとりつけることが商売の壁になってはいけません」としている。 しかし送金のスキームに取引の当事者以外に債権を引き受ける人は 続きを読む 中国式QRコード決済について(1):不便さこそが取引を安定させる

日本のGDPR十分性認定、個人情報保護委員会が誤解を招く発表

2018/12/26になって日本の個人情報保護委員会が欧州議会(EP)によりGDPRに関する日本の十分性認定が可決されなかった旨、発表があった。 欧州議会の十分性認定否決の決議がなされた2018/12/12からすでに2週間たっており、個人情報保護委員会の情報公開は遅すぎると言わざるを得ない。 日欧の個人データ移転に係る相互認証の時期について しかしこの発表は欧州側の発表と完全に食い違っている。 まず、最終決定が1月中にずれ込んだ原因は、EDPB(欧州データ保護会議)の事務的な手続きのためではなく、EDPBが採択した日本の十分性認定に関する意見書を、欧州議会(EP)が採択しなかったことだ。 また 続きを読む 日本のGDPR十分性認定、個人情報保護委員会が誤解を招く発表