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サイボウズkintoneよりはるかにコスパが良いZOHO Creatorが日本企業で検討されない理由

英語が苦手で海外製品の調査ができない日本企業のIT部門社員は、いろいろとダメというお話し。

kintoneといえば、日本でデスクネッツと並ぶトップシェアのグループウェア開発会社サイボウズのクラウド型ウェブデータベース製品だ。

サイボウズ社「kintone」公式サイト

クラウド型なので社内にシステムを所有する必要がなく、パソコンさえあればウェブブラウザから使える。

ウェブブラウザ上で、面倒なプログラミング不要で、入力画面を作ってデータを蓄積するようなシステムを、それこそあっという間に開発できる。

中小企業向けのクラウド型システムと思いきや、三菱ふそうトラック・バスがkintoneを使って営業支援システムを開発していたりする。

ところが、kintoneには大きな弱点がある。

それは価格体系だ。

ふつうの企業なら、いくらプログラミング不要でウェブ型データベースシステムを開発できると言っても、やはり総務担当者やシステム担当者が、現場の意見を聞いて開発し、運用するという役割分担になる。

なので、開発作業をするのは限られた人数で、大多数の社員はシステムを使う側だ。

ところが、kintoneはシステムを開発する側にも、ただ使うだけの側にも、同じだけの月額使用料がかかる。

2015/01現在、「ライトコース」なら1ユーザー月額780円、「スタンダードコース」なら1,500円かかる。

kintone 料金ページ

ところが、kintoneの競合製品で、世界で見るとkintoneより導入実績も売上高も上回る製品がある。

ZOHOクリエイターという、同じくクラウド型の製品だ。

ZOHOクリエイター公式ページ

こちらの製品はアプリ開発者、つまりIT部門担当者側しかライセンス費用がかからず、利用者側はアプリをいくつでも無料で使える。

しかもアプリ開発者1人あたりのライセンス料はこちらの価格体系ページによると、年額8,400~25,200円/ユーザ。

kintoneが年額にして9,360~18,000円で、開発者だけでなくただアプリを使うだけのユーザにも課金されるのに対し、ZOHOクリエイターの方が圧倒的にコスト面で有利だ。

例えば社員300名、情シスのアプリ開発者が5名の企業の場合。

kintone:18,000×300=540万円/年
ZOHO:25,200×5=12.6万円/年

kintone_vs_zohocreator201501

これだけZOHOクリエイターの方が有利なのに、多くの日本企業ではおそらくZOHOクリエイターは検討の選択肢にも上がらないだろう。

これはZOHO社の安定性に不安があるということだろうか?

筆者はガートナー社の信者ではないが、IT製品の全世界の販売実績を調べるためにいつも同社の製品評価「マジック・クアドラント」を参考にしている。

ガートナー社が各製品を4つの象限のどこに位置づけているかは二の次で、重要なのは「マジック・クアドラント」に入選しているかどうかだ。

なぜなら、ガートナー社が「マジック・クアドラント」で評価するかを決めるとき、製品分野ごとに足切りラインが定められており、その中にはグローバルでの売上高や顧客企業の規模などがある。

ZOHO社製品は「ZOHO CRM」と「ManageEngine」というITサポートデスク向けITIL準拠パッケージの2製品が「マジック・クアドラント」に入っている。

どちらも「マジック・クアドラント」では左下の「ニッチ・プレーヤー」という低めの位置づけだ。

しかし例えばITサポートデスク向けパッケージの「マジック・クアドラント」の足切りラインは以下の様なもの。

・当該製品の年間売上高が1,200万ドル(約14.4億円)以上。
・ユーザ数5,000以上の導入事例が1社以上。 などなど。

つまりZOHO社の「ManageEngine」は少なくともこの足切りライン以上の売上実績があることになる。

サイボウズ社の製品はどちらにも入選していない。これは単に販売実績地域がアジア太平洋(つまり日本)に限定されているためだろう。

また、サイボウズ社の2013/12期年間連結売上高は51.97億円。

一方、ZOHO社は株式非公開のため正確な数字は不明だが、創業地インド・チェンナイ事務所単体の売上高をこちらで確認すると、年間約9,200万ドル(約110億円)だ。

結局、日本企業がウェブデータベース製品を選定するとき、kintoneが選択肢に入ってもZOHOクリエイターがまず入らないのは、日本企業がまだまだ「ガラパゴス状態だから」としか言いようがない。

このkintone対ZOHOクリエイターは単なる一例で、他の分野のIT製品選定においても、日本企業は主に言葉の壁(英語ができないこと)のために、日本国内のベンダーが売り込んでくる製品を導入するという受け身の姿勢。

この状態で、日本企業のIT部門に、より戦略的に、とか、本業のグローバル化に追随せよ、などのハッパをかけてみても、ムダというものだろう。

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