中野剛志『TPP亡国論』を今ごろ読んだ

中野剛志『TPP亡国論』(集英社新書)を今ごろ読んだ。本書のあとがきは2011/02に書かれているので東日本大震災前だ。 本書はAmazonの星1つの書評をあわせて読むとおもしろい。星1つの書評が、ほとんどまともな反論になっていないからだ。 なぜまともな反論になっていないか、その理由を一言でまとめると、そういった反論が、終戦後の日本の経済成長がすべて意図的な対米追従外交の上に作り上げられたものであることに無自覚だからだ。 東大卒で経産省のお役人である中野剛志は、戦後の官僚たちが「敢えてする対米追従」の下に国民たちを「平和ボケ」のままにしておくことでしか、日本の復興と経済成長がありえないことを見 続きを読む 中野剛志『TPP亡国論』を今ごろ読んだ

厄払いを勧められたときの完璧な反論法

忘年会で起こった、ちょっとおもしろい出来事について。 同じ職場に来年本厄をむかえる社員が複数名いることが話題になり、管理職が酒も入って半分冗談で「初詣で厄払いしておいた方がいいよ」と話した。 単なる酒の席での笑い話なので、真面目にツッコミを入れる話題ではないのだが、僕個人としてはここ数年間でもっともひどかったのは一昨年、単身赴任先で本格的なうつ病に罹ったことだ。 最新の抗うつ剤(SNRI)のおかげで、1年前の自分が信じられないほど寛解に向かっているが、酒が飲めない僕はその場で、その管理職に向かって「じゃあ僕の一昨年のうつ病は何だったんでしょうね」と意地悪なツッコミを入れたくなった。 なので僕は 続きを読む 厄払いを勧められたときの完璧な反論法

宮台真司・大塚英志『愚民社会』を読んだ

宮台真司・大塚英志『愚民社会』(太田出版)を読んだ。 普段から宮台真司の議論をフォローしている人にとっては、最近の宮台真司の議論のおさらいになるので、いつもながらとても明快な内容で、何の違和感もない。 ただ、本書が宮台真司の他の著書と違う点は、大塚英志氏がかなりしつこく宮台真司のコミュニケーション戦略を相対化し、ツッコミを入れているところだ。 特に第三章で大塚英志が宮台真司に対して、あえてする改憲の主張という戦略に、本当に不備がないと思っているのか、しつこくつっこんでいる部分が参考になる。 そのしつこいツッコミに対して、宮台真司は最後の最後では自分は楽観的であると告白し、それに対して大塚英志は 続きを読む 宮台真司・大塚英志『愚民社会』を読んだ

『輪るピングドラム』における作為の契機と愛と共同性

『輪るピングドラム』がTBSでは昨晩最終回をむかえたので、とりあえず最初のレビューを書いてみる。表現技法については置いておいて、物語についてのレビューだ。 この物語は、要約すると次のようなことだと思う。 いま自分が生きている世界は、別の姿でもありえたが、その別の世界で起こったかもしれない大きな不幸をなくすために犠牲になった誰かのおかげで、いまの自分がある。この世界は、運命が決めたものでもなく、自分一人の意思で変えられるものでもなく、みんながいっしょに作っているものだ。 でも、最終回を見て、次のように思った人もいるかもしれない。 『輪るピングドラム』は並行世界についてのお話である。こうであったか 続きを読む 『輪るピングドラム』における作為の契機と愛と共同性

福島第一原発事故による健康被害の初の査読済み論文が米医学誌に掲載

ビデオニュース・ドットコムやTBSラジオ『Dig』でお馴染みのジャーナリスト・神保哲生さんのこちらのツイートで驚くべきことを知ってしまった。こちらのサイトだ。 Medical Journal Article: 14,000 U.S. Deaths Tied to Fukushima Reactor Disaster Fallout(2011/12/22 Global Research.ca) とにかくこのページの本文を日本語に試訳してみる。 (ここから日本語試訳) 『International Journal of Health Services』の2011年12月号の主要論文によれば、米国で 続きを読む 福島第一原発事故による健康被害の初の査読済み論文が米医学誌に掲載