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alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(6)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(6)。前回からのつづき。
最後のレビュー(6)は、初めてalanのコンサートに参加しての雑感で、本当にどうでもいい与太話なので、特にコアな「alanファン」の皆さんは、精神衛生上も読み飛ばすことを強くお勧めする。
NHK大阪ホールでの開場前、エイベックスのスタッフが1階で入場者を整列させていたのだが、最初にも書いたように、やはり若い女性ファンが圧倒的に少ない。驚くほど年齢の高い男性・女性の観客も散見された。
口コミによるファン層の水平拡大が期待できるのは、中年男性ファンではなく、フツーの若い女性ファンだ。フツーの若い女性ファンを獲得しなければ、ファン層の拡大は確実に頭打ちになる。
alanのような美貌の女性歌手の男性ファンは、無意識に独占欲がはたらき、既にファンである者どうしの妙な連帯感は生まれるが、友人にその女性歌手を聴くようにすすめる可能性は、女性歌手の若い女性ファンがそうする可能性より、確実に低い。
しかも中年男性の場合、そもそも交友関係が限定されていたり、好きな歌手のようなプライベートの会話ができるような親友が非常に限られている場合がかなりある。
それに対して、フツーの若い女性はおおむね中年男性より社交的なので、口コミによるマーケティングが有効に機能しやすい。
今回のライブの客層を見て、改めてalanのファン層の拡大が『レッド・クリフ』以降、いったん頭打ちになっている原因がよく分かった気がした。
結局、フツーの若い女性ファン層を獲得するには、テレビのバラエティー系音楽番組やバラエティー番組への露出を増やすしかないのだ。
たとえ『AneCan』でモデルをやっていて美人だと分かっていても、フツーの若い女性ファンの獲得にはつながらない。
若い女性が、同じく若い女性タレントやモデル、歌手のファンになる最大の要因は、おしゃべりから垣間見える性格がすべてだ。バラエティー系のテレビ番組に出演して、司会者と少し話す様子を見るだけで、若い女性はそのタレントが好きか嫌いか、はっきり白黒をつける。
ところがalanは日本語が不自由なので、それ以前の問題なのだ。少なくともローラ・チャンと同等の日本語力がつかない限り、フツーの若い女性(いわゆるF1層)のファンは広がらない。つまり、ファン層の拡大は頭打ちのままになる。
あと、開場前に気になったのが、関西弁でない、明らかに関西圏以外からの遠征組の中年男性ファンが、見ず知らずの中年男性の入場客に、大声で無遠慮に話しかけるのを見たことだ。
これこそ、「alan家族」の悪い面である。
僕はalanファンだが、alanだけを聴いて生活しているわけではない。また、alanをアイドルとして好きになっているわけでもない。僕のような男性alanファンが増えないことには、やはりalanのファン層の拡大は期待できない。
ところが「alan家族」を先述のような日本的文脈で誤解しているファンは、なれ合いが許されると思い込んでいる。
その結果、見ず知らずの、たまたま4階のNHKホールへ向かうエスカレーターの同じ段に乗ったというだけの観客に、不躾にも「今日の一曲目はなんでしょうねぇ?」などと、相手を困らせるだけの行為に出る。その観客がどれほど熱心なalanファンであるかどうかを完全に無視して。
このような「alan家族」という概念についての誤解が行き着く先は、「alan家族」が排他的になってしまうことだ。
僕はビクター所蔵の某中堅女性歌手ファンクラブに入ったことで、排他的なファン集団が、ファン層の拡大をいかに妨げるかを実感した。
排他的なファン集団は、その集団へ入るための敷居を高くすることに、自己満足を感じ、歌手に対する独占欲が満たされる喜びをおぼえる。
最終的には、アーティスト自身が、その居心地の良い排他的なファン集団の中に安住し、それ以上のファン層の拡大を望まなくなってしまう。(そして時間を持てあまして運転免許などを取りに行ったりする(笑))
仮にalanの主なファン層である中年男性が、「alan家族」を排他的な、つまり、alanに対する批判を許さない集団ととらえ、その基準に合わないファンを排除し始めたら最後だ。日本でalanがブレイクすることは永遠にない。
すでに、その傾向は見えているけれど。
くり返しになるが、alanが日本人なら、レコード会社を移籍して、細々とアーティスト活動を続けていく道もあるが、中国人のalanの場合、日本での発展が阻害されれば、大切な両親のいる四川に戻ることを選ぶだろう。
alanを不幸にさせたくないのであれば、alanを過保護にする親衛隊のような「alan家族」を形成すべきでない。
alanは『レッド・クリフ』世界主題歌を歌ったにもかかわらず、a-nationでは3年連続で依然として「シューティングアクト」、といえば聞こえはいいが、要するに「つなぎの歌手」なのだ。
「alan家族」という表現が、逆にalanのファン層の拡大を妨げることにならないよう、祈っている。(いくら祈っても、今後ますますそういう方向に進みそうな気がするのだが)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(2)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(3)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(4)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(5)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(6)」

alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(5)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(5)。前回からのつづき。
【18曲目】『Swear』(11thシングル。2009/11/04発売)

次の『Swear』もアップチューン。会場全体が右手を左右にふってノリノリの状態。『symphony』のというライブのタイトルにふさわしい、アンコール前の部分の、じっくり聴かせる演出と、アンコール後のアゲアゲ感満載のメリハリの効かせ方。
alanのように日本デビューまだ3年の新人でも、しっかりとエンターテインメント性のあるライブを作れるのは、さすがエイベックス!といった感じ。
某レコード会社の、ファンの組織票だけでオリコン音楽DVDデイリーチャートが2位になった中堅女性歌手のライブのグダグダ感とは大きな違いだ。
『Swear』の後、再びalanの日本語MC。「頭のときは緊張あったけど、だんだんなくなってきた」。日本語の「頭」という単語の用法がややおかしいが、alanの日本語を訂正し始めるとキリがないので、次。
アンコールでのサプライズは、何と14thシングル(?)にあたる新曲の初披露だった。
【19曲目】『名もなき種』(14thシングル(?)初披露)
これを公式サイトの発表に先んじて、生で聴けるだけでも、今回の2ndライブに行った意味があったというものだ。
この曲はバラードだが、もし菊池一仁氏の作曲なら、菊池作品としては初めての8分の6拍子ではないか。しかも最後のリフレインには2段階の転調があり、否応なしに盛り上がる壮大なスケール。
歌詞のテーマも、地球の生きとし生けるものへの愛を体現した素晴らしい曲になっていた。既存のalanファンには、間違いなく愛される名作になるに違いない。
ただ、新しいファン層の開拓には、全くつながらないだろう。
つづいて、再びalanの日本語によるMC。言いたい思いがたくさんあることは分かるが、何しろ日本語力が不足しているので、辛うじて理解できたのは次のような内容。
「私たちはalan家族。皆さんが辛いことがあれば、alan家族がよりどころになるし、私も辛いことがあれば、alan家族がよりどころになります」
ただし個人的には、最近この「alan家族」という表現に辟易している。
日本社会の文脈では、「家族」は馴れ合い、甘やかし合いの場だからだ。そのせいで、例えば「alan家族」がalanの下手な日本語を「alan語」として許容し、彼女が日本で長く活躍する可能性を逆に阻害するおそれがある。
また話が脱線した。とにかく「alan家族」を主旨とするMCの後、いよいよライブの最後の曲となる。
【20曲目】『懐かしい未来~longing future~』(3rdシングル。2008/07/02発売)
作曲は菊池一仁氏だが、坂本龍一がプロデュースをしており、NHKのエコ番組『SAVE THE FUTURE』のテーマになっている。
同番組は今秋にも放送予定があるので、最近もNHKを朝からずっと見ていると、毎定時前に「エコ・チャンネル」キャンペーンでalanがこの曲をBGMに登場する。ほんの2秒ほど。

この曲はメロディーが簡単で歌いやすい。今回ライブでは、みんなで歌いましょうという演出で、サビのリフレインはCDより1回余分に、しかも、観客に斉唱してもらおうという親切心から、わざわざ会場にガイド・ボーカルまで流れた。
狙いとしては、ここで観客が全員サビを斉唱して、大盛況のうちに終了。だったのだろうが、少なくとも1階後方で歌っている観客はほぼゼロだった。
当然、初めてalanのライブに来た観客もいるわけだ。それに『懐かしい未来』の歌詞を暗記していないファンもいる。
ガイドボーカルを会場に流すより、舞台下手の先ほどのスクリーンに歌詞を映し出す方が、斉唱してくれる観客はもっと増えたはず。
「alan家族」に対するalanスタッフの「甘え」が出たのかもしれない。「alan家族」なら『懐かしい未来』のサビの歌詞くらい、一字一句間違えずに覚えているはずだという「甘え」が。
アンコール直後のアップチューンと、この『懐かしい未来』では、観客は全員立ち上がった。1階席前方の観客がぽつぽつと立ち上がると、それにしたがって後方の席の観客も立ち上がるといった感じ。
アンコール直後のアップチューンが終わったあと、alanがMCで「皆さんお疲れですから、座って下さい」と言ってくれたのは、alanの素の優しさがにじみ出ていて良かった。客席には、alanの両親くらいの年齢の観客も、ぽつぽつと見うけられたからだ。
alan自身は、まだ自分がアンコールが始まってから終演まで、観客が立ち上がったまま聴くような歌手ではないことを、謙虚にわきまえている。
終演時に、コアなファンが、そうでない観客にスタンディング・オベーションを強制するほど、排他的なファン集団ができてしまっている、ビクターの某中堅女性歌手とは大きな違いだ。
alanはその謙虚さを忘れず、コアな「alan家族」の優しさに甘えることなく、日本語の勉強も、ダンスの勉強も続けてほしい。そうすれば、上述の某女性歌手のように、排他的なファン集団に甘え続けた結果、鳴かず飛ばずのまま活動を続けることはないだろう。
alanがブレイクするのに必要なのは、既存のコアな「alan家族」の甘やかしと溺愛から、距離を置くことである。そうしないとファン層もこれ以上、決して広がらない。
ラストの『懐かしい未来』の後は、alanが改めてバンドメンバーを紹介し、紹介されたメンバーが順に、舞台からはけていく。
最後はalanが一人で舞台に残り、上手から、中央、下手と順に、1階、2階それぞれの観客にていねいにあいさつをし、下手へ退場してライブは終了。終了時間は21:20で、およそ2時間10分のライブだった。
最後、alanが舞台からはけるとき、何となく歯切れが悪かったのは、たぶん伝えたい気持ちはあるのに、日本語できれいにシメられなかったからだろう。くり返しになるが、次回のライブのときは、スタッフはMCの最小限の台本は準備しておくべきだ。
(つづく)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(2)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(3)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(4)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(5)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(6)」

alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(4)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(4)。前回からのつづき。
【14曲目】『風に向かう花』(13thシングル)

次は、映画『必死剣鳥刺し』主題歌の最新シングル。この曲のときは、先ほど『my life』の歌詞が投影されたスクリーンに、『風に向かう花』のプロモーションビデオが映し出された。
CDのクオリティがライブの歌唱でもそのまま再現され、alanの歌唱力にはやはり安定感がある。
【15曲目】『恵みの雨』(7thシングル。2008/11/12発売)
先ほどのスクリーンに、地面を打つ雨の映像が流れた後、この曲のイントロが始まった。この曲もalanはCDのクオリティを正確に再現し、ていねいに聴かせてくれる。
この曲でライブ本編は終わり。NHK大阪ホールの舞台にはいったん臙脂色の幕が引かれた。
今回の大阪公演の開演は、19:10と少し遅れ、この15曲目までで20:43。当然1時間半で終わるはずがないので、観客から最初は手拍子、やがて1階席前方に陣取っている熱心なalanファンから「alan、alan」のコールが起こり始めた。
このアンコールの時間がかなり長かった。alanの衣装替えに時間がかかっていたのだろうか。
臙脂色の幕が開き、ふたたび舞台に登場したalanは、丈の短い白のドレス、白い花の髪飾り、白のショートブーツに着替えていた。
ここからのアンコール・タイムでは、一つ大きなサプライズがあったのだが、その話は後ほど書くとして、まずはアップチューンから。
【16曲目】(不明)
申し訳ない。はっきり言って個人的にalanのアップチューンには全く興味がないので、16曲目の曲名は分からない。
今回のライブで初のアップチューンということで、1階席前方から、ぱらぱらと観客が立ち上がり始め、最終的にはほぼ全員がスタンディングの状態になった。
どうでもいいことなのだが、となりの席の50代らしきメタボ体型の中年男性が、観客全員がウラ打ちの手拍子をしているのに、最後までオモテ打ちの手拍子をしつづけたことが、気になって気になって、alanの歌唱に全く集中できなかった。
【17曲目】『Diamond』(12thシングル)

このアップチューンもやはり客席はほぼ全員立ち上がった状態。そしてやはり、となりの中年男性がオモテ打ちの手拍子をし続け、曲に集中できなかった。
世の中には一定数、ウラ打ち手拍子のできない人間がいるようだが、1・3拍で打つのを2・4拍に変える程度のことが何故できないのか、僕は昔から全く理解できない。
『Diamond』が終わった後、alanがアップチューンで気分がハイになった状態で、日本語のおしゃべりを始めたものだから、なおさら何を言っているのか分からなかった。
聞き取れたのは「おおきに」という大阪弁だけ。最初にも書いたが、大阪公演だから「おおきに」などの関西弁をしゃべっておけば、観客は乗ってくれるだろうという安易な発想は、申し訳ないが、大阪人としては逆に、少々バカにされたような気分になる。
それさえ「かわいい」と感じるほどalanを盲目的に溺愛するファンとは友達になれない。
alanには、大阪弁を話す前に、標準日本語のMCをきちんと話せるようになってほしい。何度も書いて申し訳ないが、日本語の勉強は、長く日本で歌い続けるためには必須だ。
中国人のalanには、レコード会社を移籍して細々と歌い続けるという選択肢はない。日本人男性と結婚しない限り…。
MCに続いて、初めてバンドメンバーの紹介。ここでストリングスが梶谷ストリングスだということが分かった。ドラムスも僕の知っている、あのベテランだったかもしれないのだが、メモを取り忘れた。
というより、バンドメンバーが書かれているコンサートのパンフレットくらいは販売してほしい。alanの日本語の発音では、残念だが名前がはっきり聞き取れないメンバーもいたからだ。
alanファンとは言え、alanだけを聴いて生きているわけではない。後学のためにもバック・バンドのメンバーはおさえておきたいのだ。
(つづく)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(2)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(3)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(4)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(5)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(6)」

alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(3)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(3)。前回からのつづき。
9曲目の『いい日旅立ち』が終わると、再びalanによるMC(曲間のおしゃべり)。つたない日本語でも、四川大地震の後も私の故郷は美しいままだという主旨は、何とか理解できた。日本語の説明内容が中国語のチャリティーソング『四川依然美麗』に引っ張られているのは、alanの日本語の語彙が不足しているからだろう。
そして、alanファンにはおなじみのチベット民謡。
【10曲目】『青蔵高原』(チベット民謡)
この曲では、alanはいつも天までとどくチベット・フェイクを聴かせてくれるのだが、今回のライブでは、重厚なストリングス・アレンジとピアノ伴奏で歌われたので、本当にクラシック・コンサートのような極上の歌唱だった。ライブ中盤でalanの声が完全に安定していたこともあり、完璧な歌唱だ。
【11曲目】『My Heart Will Go On』(セリーヌ・ディオンのカバー)
『青蔵高原』に続いてMC無しで歌われたのは、意外にも映画『タイタニック』の主題歌。alan自身、セリーヌ・ディオンがお気に入りのアーティストだと語っているので、選曲に不思議はない。
やはりストリングス伴奏にのせた歌唱だったが、この曲が特にボーカルの音量が足りず、せっかくの歌声が伴奏に埋もれてしまっていたのが残念。
そして、正直に言うと、alanにはまだR&Bフェイクは難しいのではないかと感じた。
R&Bを米国のR&B歌手のように歌えているかどうかは、経過音としてのブルーノートの音程で、はっきり聴き分けることができる。残念ながらalanはR&Bフェイクをまだちゃんと歌えていない。alanのフェイクはどうしてもチベット民謡の音階に引きずられている。
さて、ここでalanは衣装替えのために、いったん舞台を降りる。

その間、梶谷ストリングスとピアノが、間奏曲を演奏した。このインストゥルメンタルの曲名が分からなかった。
間奏曲が終わり、衣装替えに時間がかかっているせいか少し間があり、静まりかえった客席に、1階客席後方にあるコントロール・ブースから発せられたキューが丸聞こえ。
そのキューをきっかけに、梶谷ストリングスとピアノが演奏を始め、alanが淡いピンク(だと思う)の、タイトなロングドレスで現れる。
【12曲目】『明日への讃歌』(1stシングル。2007/11/21発売)
alanのデビューシングル『明日への讃歌』だが、今回のライブはCDと全く違うアレンジだった。記憶が不正確だが、ヴァースとAメロが入れ替わっていたはずだ。
聴きなれたはずの曲が、重厚なストリングスと新しいアレンジで、全く別の曲かと思うほど新鮮に聴こえ、正直、驚いた。途中からはバンドも伴奏に加わり、ドラムスも入ったポップスへ。最後は再びストリングスとピアノだけの伴奏に。
曲中で次々とアレンジが変わり、もちろんalanのチベット・フェイクも、一筋の光のようにどこまでも透明に延びていく。やはりこの『明日への讃歌』は、alanにとっての古典(クラシック)だ。

【13曲目】『my life』(2ndアルバム『my life』より)
次の曲『my life』では、舞台下手の天上からスクリーンが降りてきて、そこに日本語歌詞が映し出されながら、alanが歌うという演出。
残念ながらこの演出のせいで、ワンコーラスめの「忘れないで私の声」を「忘れないで私のこと」と間違えたのがバレてしまったが(苦笑)。
この曲の歌詞は、alanの思いを古内東子が日本語に作詞したものなので、alanにとって特別なものだから、わざわざスクリーンに投影する演出になったのだろうか。
ただ、この『my life』は中国語の歌詞で歌ってこそ、alanの本当の感情が入った鳥肌ものの歌唱になる。なぜなら日本語詞では「母親」の優しさがテーマになっているが、中国語詞では、alanが本来書きたかった「父親」の大きな愛がテーマになっているからだ。
今回のライブでは、日本語詞で歌われたにもかかわらず、alanは中国語版にしか録音されていない最後のR&Bフェイクを歌った。曲の末尾の歌詞、「言おう」の直前に、今回のライブでalanが入れたR&Bフェイクは、中国語2ndアルバム『蘭色』収録の中国語版『my life』にしか録音されていないものなのだ。
『蘭色』を購入されたい方は、左の画像をクリックしてHMVのオンライン・ショップからどうぞ。
また、今回のライブで初めて知って驚いたのは、この曲『my life』の間奏で聞こえてくるロングトーンのメロディーが、alan自身がファルセットで歌っていたものだったのだという事だ。僕はてっきりシンセサイザーだと思っていた。
alanのファルセットは、地声のチベット・フェイクと全く違い、倍音成分の少ない澄んだ声だということが、ライブでよく分かった。alanの表現力の幅ははかり知れない。
(つづく)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(2)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(3)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(4)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(5)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(6)」

alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(2)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(2)。前回からのつづき。
レビュー(2)以降はセットリストを追いながら、個人的な感想を書いていきたい。あくまで個人的な感想なので、当然違う見方もあると思う。その点はご容赦いただきたい。
【1曲目】『ひとつ』(2ndシングル、2008/03/05発売)
今回は『alan symphony 2010』と題しただけあって、いずれの曲もとにかくストリングス・アレンジが秀逸だった。
室内楽コンサートを聴きにきた気分にさせてくれるほど、舞台下手の、グランドピアノ、梶谷ストリングス組の演奏と、alanのよく通る力強く透明感のある歌声のアンサンブルが素晴らしかった。
今回の2ndライブでは、アンコールまでの部分は、一貫してストリングス・アレンジを中心としたバラード曲ばかりの構成だったが、それでもまったく飽きさせないほど、alanの歌唱力と声量、そして厚みのあるストリングス・アレンジに聴きほれた。

1曲目の『ひとつ』はワンコーラスめはストリングス中心のアレンジで、ツーコーラスめからは、舞台上手のバンド中心の伴奏に切り替わる。アクセントをきかせた聴き飽きないアレンジが絶妙。
しいて言えば、僕の席の位置が悪かったせいだと思われるが、全体を通してボーカルの音量を少し上げてほしかった。
【2曲目】『久遠の河』(9thシングル、2009/04/08発売)
【3曲目】『BALLAD~名もなき恋のうた~』(10thシングル、2009/09/02発売)
この2曲とも映画主題歌ということもあり、まさにストリングス中心のアレンジにぴったりの壮大なスケール感の歌唱だった。ただ緊張のせいか、前半、alanのロングトーンのピッチがやや安定しなかったように感じた。
それでも、伸びのある声と豊かな声量でしっかり聴かせてくれる、alanの安定した歌唱力はさすが。
ここでalanの最初のMC(おしゃべり)が入る。レビュー(1)でふれた、日本語の時制を無視した「皆さん会いたいですか!」の呼びかけである。
語学の基礎はあくまで文法。20歳を過ぎたalanが日本人との日常会話の中で、日本語文法の複雑な文法を習得することは絶対に不可能だ。日本語の問題はしつこく書かせて頂く。
次の曲の前に、舞台下手の梶谷ストリングスとピアノは退場。続く5曲は舞台上手のポップス・バンドの伴奏で歌われた。
【4曲目】『白いつばさ』(2ndアルバム『my life』より)
【5曲目】『月がわたし』(1stアルバム『Voice Of Earth』より)
【6曲目】『東京未明』(2ndシングル『ひとつ』C/W)
【7曲目】『ココニイル』(13thシングル『風に向かう花』C/W)
『ココニイル』の後、再びalanによる日本語のMC。主旨は、今回のライブは、alanの心と聴衆の心をつなぐ音楽を届けたいというもの。先ほど書いたように、日本語の文法は全くなっていないが、言いたいことは理解できた。
くり返しになるが、言いたいことを理解してくれるのは既存のalanファンだけであって、その日本語でこれから日本の芸能界でやっていけるという楽観は完全に誤りだ。
【8曲目】『我的月光』(中国語2ndアルバム『蘭色』より)

まさか中国語アルバム曲を歌うとは思わかったので、鳥肌が立った。何の問題もなくCDと同じクオリティの歌声を聴かせる歌唱力は、やはり素晴らしい。
この曲が収録されているalanの中国語2ndアルバムを聴きたい方は、左の画像をクリックして、HMVオンライン・ショップでどうぞ。
この曲の後、梶谷ストリングスと生ピアノが舞台下手にもどり、同時にalanが舞台中央で椅子に座って、二胡の演奏のセッティングを始めた。
セッティングが終わったところで、alanの日本語MC。主旨は、30年前の曲でも音楽は時を越えて素晴らしいというもの。
何を演奏するのかと思えば、ストリングスの伴奏にのせてalanが弾き始めた二胡は、『いい日旅立ち』のメロディーだった。
【9曲目】『いい日旅立ち』(13thシングル『風に向かう花』C/W)

ライブを通じてalanが二胡を演奏したのは、この『いい日旅立ち』一曲だけだったが、イントロ、間奏、アウトロすべて、alanの二胡演奏。彼女の歌声だけでなく二胡の繊細な音色まで堪能できる贅沢な一曲だった。
『いい日旅立ち』が収録されている『風に向かう花』は右のアマゾン・リンクのバージョンになる。
ただし、alanには大変申し訳ないが、個人的には鬼束ちひろ『いい日旅立ち・西へ』に勝る、この曲のカバーは存在しないと思う。
『いい日旅立ち』という曲の歌詞は、希望と絶望がないまぜになっている。
「日本のどこかに私を待っている人がいる」という歌詞は、夢や希望はかなうと信じる気持ちの比喩だ。文字どおりラブソングだと解釈するのは考えが浅い。信じるからこそ、旅立つ。その意味では希望がある。
しかし、旅立ったからといって、夢や希望がかなう保証はない。山口百恵のオリジナルの歌唱からは、かなわないかもしれないという諦めと希望の混じった複雑な感情が伝わってくる。
この希望と絶望のないまぜになった『いい日旅立ち』は、あえて感情を抑制して歌う必要がある。
ところがalanは歌唱技術でメロディーを美しく歌い切ってしまうので、alanの『いい日旅立ち』は、夢や希望がかなってしまうのだ。alanは山口百恵や鬼束ちひろのように、諦めや絶望を知らないので、仕方ないと言えば仕方ないのだが、鬼束ちひろが『いい日旅立ち・西へ』を歌ったのは、alanと同じ23歳のときだ。
いずれにせよ、alanの二胡と梶谷ストリングスのアンサンブルは、実に美しかった。今回のライブ『alan symphony 2010』が「一粒で何度でもおいしい」ライブであることに間違いない。
(つづく)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(2)」
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「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(4)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(5)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(6)」