月別アーカイブ: 2009年11月

シャープの940SHに携帯電話を買い替えた。それだけです。

SHARPの940SHというソフトバンクの携帯電話に、昨日、買い替えた。
940sh20091130
ソフトバンクの機種変更で、最新の連写機能付きCCD 12.1メガピクセルカメラの機種「940SH」だ。
SHARP製品サイト SoftBank 940SH
(Amazon.co.jp経由で購入されたい方はここをクリック)
別にカメラの連写機能が欲しかったわけではなく、単にディスプレーがいちばん大きく、スライド式でない機種を選んだだけ。
前の機種は2年前に購入したが、携帯電話って、2年でここまですごいことになるのか!
【良い点】
●画面を指先ですぅーっと撫でると、メールやウェブ画面がスクロールするのは、とっても気持ちいい。
●ドーナツ型の上下ボタンは、強く押すとスクロールが速くなり、弱く押すと遅くなる。(要は感圧式)。
●無線LAN(WiFi)対応。しかも、ソフトバンクのパケット定額料に、Yahoo!BBアクセスポイントの利用料が含まれている!!つまり、Yahoo!BBアクセスポイントのある場所なら、ネット動画を下り最大54Mbpsで、追加料金なしで見られる!もちろんネットサーフィンも速くなる。
(※ただしPCサイトブラウザを使うと、パケット定額の上限金額が上がる。また、パケット通信をいっさい使わなくても、パケット定額の上限金額が課金されるので、ご注意を)
【悪い点】
●液晶画面のタッチパネル機能が、いちいち敏感に反応する。携帯を開くときに、指でかるくふれただけなのに、いちいち反応する。
●どうでもいいことだけど、画像を壁紙にするとき、前の東芝の機種のように、細かく倍率を変えられない。
※以前、この記事に、940SHは、YouTube携帯版非対応だと書きましたが、ちゃんと対応しています。ただし、他の機種と同じように、動画は、20秒ずつの細切れでしか見られません。

鬼束ちひろインタビュー『BARFOUT!』2007/11号批評(1)

鬼束ちひろがどうやって復活できたのかが、いちばんよくわかる、幻冬舎の雑誌『BARFOUT!』2007年11月号(Volume 147)。第1特集『復活の日~RISE, FALL and RETURN!!!』鬼束ちひろ×岡村靖幸。

いよいよ、鬼束ちひろの単独インタビューの部分をレビューしてみたい。p.019~p.022。
インタビューは4thアルバム『LAS VEGAS』が完成した感想から始まる。

barf:アルバムができて、感想は?
鬼束:まだ、実感ないですね。
barf:どれくらいの期間で作ってたの?
鬼束:去年から結構飛び飛びでやってましたね。
barf:曲自体はいつ頃に作ったの?
鬼束:一昨年かな?集中して作って。あと昔に作った曲とか。
barf:小林武史さんとは、どんな流れで一緒にやることになったの?
鬼束:YEN TOWN BANDのイメージが強くて、ずっとやってみたいって思ってた人で。それをディレクターに言ったら、会わせてくれて、「一緒にやろう」ということになって。

この「ディレクター」とは、ユニバーサルの〈A&M〉レーベル統括ディレクター、近藤雅信氏のこと。この辺りの経緯は『BARFOUT!』同号のp.030~p.031にある、同氏のインタビューに詳しく書かれている。これも後日とりあげる。

barf:小林さんが作るサウンドは?
鬼束:まだ、びっくりすることがあるけど、ほとんど好みっていうか、的を得ているっていうか。厳しくはないけど、私は1人で怖がってる。的確ですごい作業が速い。びっくりするぐらい。
barf:休んでる間、曲って書いてた?
鬼束:書いてない。一昨年に、ディレクターから「書け」って言われて書いたって感じで。ずっと、グダグダしてた。
barf:前からそうだったっけ?
鬼束:ううん、前はどんどんできてた。
barf:じゃあ、大変だった?
鬼束:うん。曲を書くのにハードルが高くなったから。前だったら「これでOK」と思ってた曲が、「これじゃダメだ」って思うようになって。そしたら、書けなくなってなっちゃって。

活動休止前までの鬼束ちひろが、湧き出るように曲を書き続けていたのは有名な話だが、それは本当にここで本人が語っているように、自己評価が厳しくなったからだけなのだろうか?なお、最後の「書けなくなってなっちゃって」は本文のまま引用している。日本語の文法として完全に誤りだが、鬼束ちひろ本人が語ったものか、誤植か?

barf:岡村(靖幸)さんも言ってた。自分内ハードルが上がってるから、詞を書くのが難しいって。
鬼束:私もそうかな? 曲はできてるかな? でも、曲だけとっといてるってことはないから。詞ができて、曲も一緒にできるって感じが、一番しっくりくるから大変。詞と曲って同時進行だから。1小節ぐらい書いて、クシャクシャポイって感じで(笑)。
barf:書けない時期が結構あって、それが「書け」って言われて、いきなりスイッチが入ったっていうのは、すごいね。
鬼束:うん。「このアルバムのために」って感じだったから。
barf:やっぱ、締め切りがあった方がいいってこと?
鬼束:(苦笑)そうですね。
barf:書いてみて「イケるじゃん」って思った?
鬼束:うん、「イケる」って今回は思った。でも、アルバムを作って以来、今は書いてないんだけど(笑)。今はプロモーションに集中してて。お父さんが今日まで来てたんだけど、「オマエは器用貧乏の真逆なんだから、同時にやるな」って言われて(笑)。

いきなり鬼束ちひろのお父さん登場。やはり『DOROTHY』のクレジットにも登場する、ナポレオンレコードの代表は鬼束ちひろのお父さんなのだろう。鬼束ちひろが決して器用ではないことは、ファンの皆さんもよくご存じのとおり。でも、宮崎県からわざわざ、活動再開した娘を心配して上京してくるお父さんって、鬼束ちひろは、やはりふつうに家族に愛されている娘でもあるのだ。

barf:でもさ、いきなり書けたっていうのが、すごいね。
鬼束:そうですよね。「everyhome」とかは、その前からあったから、アルバム用に足りない曲を書いてみて。「everyhome」はもう古いって感じがしてて。10年前みたいな感じで。大きい曲が書きたくて。『フォレスト・ガンプ』を観ながら書いてた。
barf:結構、映画観た?
鬼束:観てた。昔から好きだったし。
barf:昨日、アンジェリーナ・ジョリーの最新作の『マイティ・ハート』観てきた。
鬼束:あの人も狂ってるじゃない?「Angelina」って曲は、アンジェリーナ・ジョリーからつけたの。他にも『ガール・ネクスト・ドア』って映画も面白かった。『バベル』も良かった。

「あの人も」の「も」という助詞がいい。私も狂ってる、という意味だ。僕は基本、今のハリウッド映画は観ないので知らなかったのだが、家が貧しいアンジェリーナ・ジョリーはアクターズ・スタジオにいた思春期に、いじめに遭い、自傷行為や、男性とナイフで傷付け合いながらの性行為、遺体の死化粧をするアルバイト、同性愛など。
でも、鬼束ちひろはタトゥーはしていない(と思う)。中島美嘉でさえタトゥーをしているのに。鬼束ちひろって、自分で狂ってると言いながら、酒もタバコも飲まず、生真面目でストイックで純粋だ。多くのファンは、そういう鬼束ちひろに惹かれているのだと思う。もともと日南高校の優等生で、頭の良い人だし。
さて、いよいよ鬼束ちひろの自殺未遂の件が、さらりと出てくる。

barf:旅行とか行ってた?
鬼束:どこにも行ってない。自殺未遂とかしてた(笑)。
barf:そっちに行っちゃったんだ(笑)。
鬼束:そっちの旅行に行ってたの。1回ぐらい(笑)。
barf:時間があるから旅行に行ってたのかな?って。前、「行きたい」って言ってたじゃない?
鬼束:うん。でも、「行きたい」って言ってるだけで、旅行会社を選んだり、荷物詰めたりとかの段階が嫌なんですよ。それするぐらいだったら、行かないんで。でも、仕事とかで、PVをミラノで撮りますとかだったら「しょうがねぇなぁ」って行くんだけど(笑)。今、希望を出してるところなの。ヨーロッパ巡業を。
barf:時間があって、いろんなところへ行けて、いいなって思ってたから。
鬼束:違うところに行っちゃった。川見ちゃった(笑)。で、戻って来て、小林さんに出会って(笑)。昔は実家に帰るのが嫌でたまらなかったけど、ちょっと大人になってきて、「実家っていいな」って思うようになって。ちょこちょこ帰ったりしてたし。でも、夏は絶対帰んない。虫が多いから(笑)。

三途の川を見てきた話と、公式サイトの2008年新年ビデオメッセージでも本人が語っていた、仕事でヨーロッパに行きたい話と、実家っていいなっていう話と、虫が嫌いという話が、まったく同じレベルで語られているのが、たまらなく良い。
これは個人的な意見だが、「死」を日常として意識できない人間はダメだと思う。よく会社員が「病気で入院して初めて健康の大切さが分かりました」などとほざいているが、そういう能天気な人間とは絶対に友人にはなれない。鬼束ちひろのファンにも、そういう能天気な人間はいないと思う。
そういうのをラテン語で言えば「メメント・モリ」になるが、小林武史プロデュースのMr.Childrenの曲に『花~Memento-Mori~』というシングルがあったね。

barf:あんまり、家から出なかったとか?
鬼束:出なかった。
barf:ショッピングは?
鬼束:してた。人とは会わなかったですね。でも、すごく仲良くしてた人がいて、今も仲良いんだけど、その人が、私が何かあるたびに助けてくれてましたね。
barf:活動的なことをやろうとは?
鬼束:んー、落ち込んでた。
barf:ファンの人達から、求められてる的な感触は?
鬼束:うん。「『待ってる』って人がいっぱいいるよ」とは、いろんな人から聴いてたんだけど、全然耳に入んなくて。実感がないから。
barf:でも、そのまま消えていくってパターンって、なかなかないじゃん?
鬼束:いや、あるよ。引退説ささやかれてたもん。
barf:でも、大変だったから、ゆっくり休んで良かったんじゃない?欧米だとリリース・タームとか長いし。
鬼束:うん。休みをとったことは良かったと思いますね。

このあたり、やはり鬼束ちひろが「うつ病」だったのではないかと思わせる。行動が規制される抑うつ状態が見られるのと、休養が良かったという言葉が、鬼束ちひろ自身ではなく、医者から言われた言葉のような気がするからだ。別の根拠は、もう少し後に登場する。

barf:今年いくつ?デビューっていくつだったっけ?
鬼束:今年27。デビューは19。
barf:何気にキャリア長いね。
鬼束:うん。全然歳とったイメージが感じられない。
barf:休み中って、何してたの?
鬼束:マンガ読んでた。本屋よく通って。音楽も聴いてた。トーリ・エイモスとか。それくらいかな。あと、嵐を聴いてましたね(笑)。

正直、Tori Amosは知らなかったのだが、YouTubeで何曲か聴いた結果、僕が今まで読んだインタビューの中で、鬼束ちひろの口から一度も、Kate Bushの名前が出ないのが不思議なのだ。単なる世代の違いなのか?

barf:外出して「鬼束だ」とか騒がれたりは?
鬼束:だんだん、言われなくなっていった(笑)。だから、変装もしなくなって。最近になって、ちょっとバレるけど。でも、変装しない癖が続いてて、よく怒られる。
barf:夜型?
鬼束:うん。
barf:部屋にキーボードは?
鬼束:うん。あるけど、全然触ってない。
barf:「復活」の実感ってある?
鬼束:それがなくて。
barf:ライヴは?
鬼束:来年はやりたいですね。
barf:未遂っていつ頃だったの?
鬼束:3年前ぐらいかな?
barf:「もういいや!」的な感じで?
鬼束:うん、「いいや」的な感じ。死に損ねた感じですね。薬で。
barf:『育つ雑草』のジャケのポスターのまんまじゃん。今は大丈夫?
鬼束:うん。今はもう全然大丈夫。
barf:それを経てなんか変わった?
鬼束:ないんです。
barf:何か見たとか?
鬼束:それが見てないの。1日でヒョイと起き上っちゃって。自分で。「効かねぇじゃん」って(笑)。結構な量を飲んだんだけど。病院に連れていかれたけど、胃の洗浄もされずに。
barf:そんな話を聞いても、あまり驚かないんだけど。
鬼束:おかしいよね。

僕が、鬼束ちひろが神経症で医者にかかっていたのではと思ったのは、まず、活動休止期間もどこかしらの事務所に所属していて、ゴシップにならずに安全に医者にかかれたこと、そして、ここに書いてあるように、大量服薬したのに胃洗浄されなかったことだ。
市販薬を大量服薬した場合、医者は無数にある市販薬に含まれる成分を、いちいち全て把握していないので、とにかく胃洗浄するはずである。一方、処方薬の場合、医者は成分を完全に把握できるので、胃洗浄の必要性を判断できる。
また、「結構な量」を飲んだのに未遂に終わったのも、処方薬っぽい感じがする。処方薬を大量服薬したら、高い確率で死ぬか、絶対に死なないかのどちらかだからだ。
おそらく鬼束ちひろの抑うつ状態は、マンガを買いに本屋に出かけていたとあるように、それほどひどくなく、自殺に使えるような強い薬は処方されていなかったに違いない。
効き目が穏やかな処方薬の安定剤なら、本人としては大量服薬したつもりでも、一時的に血中濃度が上がって眠ったとしても、一時的に肝臓や腎臓に負担がかかるくらいで、代謝されて、排出されてしまえば、おそらく胃洗浄の必要はない。
やはり鬼束ちひろという人は、中学生の頃と変わらない、まじめな優等生で、活動休止期間中も、グダグダしながらも、家族や所属事務所に良い意味で管理された生活を送っていて、それに逆らうような愚かなことをすることもなかったのだと思う。
そろそろ長くなってきたので、つづきはまた次回。
※なお、鬼束ちひろについてツイッターでつぶやくときのハッシュタグは #onitsuka に決まりました。

気が向いたので、歌詞を書いてみました

唐突だが、歌詞を思いついたので書き留めておく。
いつも理屈っぽい文章ばかりなので、たまにはいいでしょ。
タイトルはまだ未定。
明日が今日を 恨むなら
わたしは途方に 暮れるだけ
昨日が今日を うらやむなら
わたしは何でも やれるのに
曲がりくねった 川辺の路は
古い町へと 導くけれど
夕げの匂いに 迷い込み
なぜ「いま」「ここ」しか
残ってないの
小さな声で 叫んでみても
わたしの耳には とどかない
大きな声で つぶやけば
空の高さに 呑み込まれ
どうか どうか すべての 輝く
雫が 何の報いもなく
どうか どうか すべての 輝く
雫が 何の犠牲もなく
あなたが小石を 捨てたなら
わたしは鼓動を やめるだけ
わたしが裸足で 駆けたなら
あなたも歩みを とめるのに
朽ちて歪んだ 橋のたもとで
いつかの想いを 背にするけれど
花咲く庭に 迷い込み
なぜ「いま」「ここ」しか
残ってないの
かすかな力で 殴ってみても
わたしの胸には ひびかない
力の限り あやしてみれば
涙の深さに 溶け込んで
どうか どうか すべての 輝く
雫が 何のためらいもなく
どうか どうか すべての 輝く
雫が 何の過ちもなく
言葉がだれに さらわれても
想いがどこへ 盗まれても
「いま」と「ここ」さえ 残っていれば
残ってさえいれば
どうか どうか すべての 輝く
雫が 何の怖れもなく
どうか どうか すべての 輝く
雫が 何の悲しみもなく
明日が今日を 恨むなら
わたしは昨日に 微笑もう
昨日が今日を うらやむなら
わたしは明日に ふり向ける
以上。ヒマができたら、メロディーをつけようっと。

鬼束ちひろ×岡村靖幸対談『BARFOUT!』2007/11号レビュー

鬼束ちひろがどうやって復活をとげたのか。いちばんよくわかる雑誌のバックナンバーを、ついに手に入れた。
幻冬舎の雑誌『BARFOUT!』2007年11月号(Volume 147)。第1特集『復活の日~RISE, FALL and RETURN!!!』鬼束ちひろ×岡村靖幸。

幻冬舎の公式サイトを確認しても、この号は絶版で重版未定となっている。ネットで購入すると中間業者が儲かるだけで、今回、僕も定価の4倍の値段で買わされた。もちろんこの中間マージンは、幻冬舎にも、インタビューの執筆者にも、鬼束ちひろにも、一銭も入らない。
鬼束ちひろファンの皆さんが、これ以上、中間利益を搾取されないように、数回にわたって鬼束ちひろのインタビュー部分をレビューしてみたい。
(もし重版が決まったら幻冬舎の方、ご連絡下さい。ただちにこのブログの記事は削除します)
岡村靖幸の方は、残念ながらこのインタビューの数ヵ月後に、三度目の逮捕で実刑判決を受け、復帰は早くても来年以降になる。『BARFOUT!』の表紙と見開きの、鬼束ちひろとのツーショットは皮肉だ。
鬼束ファンにとってこの『BARFOUT!』2007年11月号が重要な理由は、鬼束ちひろが大量服薬による自殺未遂をしたことを、正直に告白しているからだ。
そのことが書いてある単独インタビューの前に、p.016~p.017が岡村靖幸と記者との鼎談があるので、まずはそこから。
ちなみに、どうでもいいことを先に片づけておく。僕はもちろん岡村靖幸の名前は知っているが曲は聴いたこともないし、聴く気にもならなかった。

理由は、1曲だけ聴いたことのある曲がヒドすぎたことと、あまりに自意識過剰だからだ。自意識過剰な人間は、自意識過剰な人間が大嫌いなのだと思う。洋楽でもPrinceはあまり好きではなかったし。『Raspberry Beret』は大好きだけど。
「Face to Face 鬼束ちひろ×岡村靖幸」p.016~p.017
でも鬼束ちひろは岡村靖幸の大ファンらしい。以下、その部分を引用してみる。

鬼束:『AP BANG!東京環境会議』で、リハを観ました。すごく、感動しました。
岡村:ホントすか?(笑)
鬼束:いつも、カラオケで歌ってるんです。「聖書(バイブル)」とか死んじゃう(笑)。
岡村:本当ですか?話かけてくれれば……。
鬼束:友達がすごいファンで。それで聴かせてもらったら、すごく惹かれて。だから、遅いファンなんですけど。それで色々知って、アルバム、ライヴDVDも買って。昨日も、『Peach Show ’89』ライヴを観ました。
岡村:あれは『LIVE 家庭教師 ’91』の前ですかね。
鬼束:もう、すごくて(笑)。
岡村:ありがとうございます(照)。
鬼束:岡村さんの存在が、唯一無二なんです。
岡村:困った状況になってますよね(照)。

めったに他の歌手を褒めない岡村靖幸のスタッフが、鬼束ちひろの歌唱を絶賛したことがある、というのは、鬼束ファンの間では有名な話だが、その部分を引用してみる。

barf:岡村さんは、鬼束さんの曲を聴いて、どんな感想をお持ちになりましたか?
岡村:僕のマネージャーが、鬼束さんの『AP BANG!東京環境会議』でのパフォーマンスが「すごく良い」って言ってたんですよ。「もしかしたら、ベスト・アクトじゃないか?というくらい、良いアクトだったんじゃないか?」って言うので、映像を見せてもらったんですけど、確かにすごい迫力がありましたし、鬼気迫る感じで、すごい良かったんですね。うちのスタッフは、あまり人を褒めたりしないんですけど、珍しく褒めてて。あと、小林武史さんが、バックでピアノを弾いてらっしゃるんですけど、そのピアノもすごい良かったですね。歌にすごい合ってて、すごい良かったです。

そして、二人とも映画好きという話題になる。


barf:2人共、すごく映画をチェックしてますね。
岡村:『死ぬまでにしたい10のこと』の監督の、次の作品は、すごかったですよ。

(※筆者註:ペドロ・アルモドバル監督のこと。僕は『私の秘密の花』『オール・アバウト・マイ・マザー』を観て、過去にちゃんと感想を書いている)

鬼束:『死ぬまでにしたい10のこと』は主人公の女の子が印象的でしたね。サラ・ポーリーでしたっけ?洋楽ではどんなものを聴くんですか?
岡村:いろんなのを聴きますよ。ロックンロールも聴きますし、ダンス・ミュージックも聴きますし。
鬼束:失礼かもしれないですが、やっぱり、プリンスとかもお好きなんですか?
岡村:好き好き、すごい好きですね。最近はあまり聴いてないですけど。でも10代の頃とか、すごい影響を受けました。好きですか?
鬼束:私はあまりブラック・ミュージックとか聴かないんですけど。カントリーが好きなんですね。

いつの間にか話題は音楽に変わっているが、やはり鬼束ちひろは黒人系の音楽は聴かず、カントリーが好きだと明言している。

岡村:kd・ラングみたいなのとか好きですか?

鬼束:好きですね。
岡村:モロ、カントリーというより、カントリーの味があるポップ、みたいな?
鬼束:そうです。
岡村:最近だと、ノラ・ジョーンズとかも、ちょっとカントリーのようなものですね。あと、ダン・ヒックスとか。
鬼束:すみません。知らないです。
岡村:ダン・ヒックス、いいですよ。カントリーの味があるんだけど、ただのカントリーじゃなくて、かなり凝ってて面白いですね。kd・ラングって、映画に出たじゃないですか?『バグダッド・カフェ』の監督の作品で。氷の上を裸足で歩くレズビアンの役で。かなり暗かったですね。

僕はkd・ラングを知らなかったが、カナダの女性カントリー歌手で同性愛者であることをカミングアウトしている。でも鬼束ちひろ、2007年時点でノラ・ジョーンズを知らないとは、そうとう引きこもっていたんだなぁ。

barf:「この俳優が出てる作品は観よう」というのは、ありますか?
岡村:あんま、ないですね。思い出せないだけかもしれないけど。
鬼束:私は、意外かもしれないですが、ベン・スティラーとか好きですね。モロ、コメディーとか好きなんです。『ズーランダー』とかすっごい面白くて(笑)。アンジェリーナ・ジョリーも好きです。ゴシップ誌まで買ってるくらいで(笑)。
岡村:俳優では選ばないですが、傾向としては、精神的に余裕のある時は、大作とかドキュメンタリーとかの重いヤツをバンバン借りて観るんですけど、精神的に余裕がなかったり、忙しかったりする時は、軽いものにしますね。コメディも借ります。だから、戦争ものは余裕がないと観れないですね。『戦場のピアニスト』とか、みんな「面白い」っていうから観たいんですけど。
barf:僕も、ついコメディーとかドキュメンタリーに流れちゃいます。鬼束さんは?
鬼束:サクセス・ストーリーが好きです。『天使にラヴ・ソングを』とか。
岡村:あれ、いいですよね。

そうか。鬼束ちひろは『天使にラヴ・ソングを』みたいなサクセス・ストーリーが好きなのか。意外に純粋だな。

鬼束:質問してもいいですか?
岡村:どうぞ。
鬼束:いっぱい、いろんな方に曲を提供してらっしゃいますが、そういうのが好きなんですか?それとも、頼まれて作るって感じなんですか?
岡村:頼まれて、ですね。
鬼束:嫌々ですか?
岡村:嫌々な時もあるんでしょうけど、でも、楽しくやってます。「この人はやる、やらない」とか、選ばないですよ。
鬼束:私。岡村さんがプロデュースしたMEGちゃんと友達なんです。
岡村:へぇー。僕のところでマニュピレーターをやってた方が、「鬼束さんと仕事してた」って聞きました。
barf:鬼束さんが岡村さんの曲を歌うとしたら、どの曲でしょう?
鬼束:「聖書(バイブル)」と「ターザン・ボーイ」。
岡村:ありがとうございます……。あー、でも聴いてみたいですね。ものすごいはっちゃけてるのを。バリッバリに踊りながら。でもライヴだと、結構ガッてやってる曲もあるんですか?
鬼束:はい、結構動いてます。
岡村:僕は『AP BANG!東京環境会議』のライヴしか観たことないから。じゃあ、はじけてガーッと行ってる曲もある?
barf:でも、激しいのはあるけど、リズムに乗って踊りながら歌うっていうのはないですよね?
鬼束:それは、ないです。
barf:踊って歌う願望ってありますでしょ?
鬼束:(笑)ありますね。
岡村:(笑)あーいいですね。ぜひ、行ってください。
鬼束:岡村さんの踊りは自己流ですか?
岡村:自己流です。
鬼束:すごいですね。
岡村:絶対やってくださいよ、今年。
鬼束:(笑)。
barf:ブリトニー・スピアーズとか、マイケル・ジャクソンとか好きですもんね。
鬼束:ええ、大好きです。
岡村:そういうのやってくださいよ。絶対似合いますよ。
鬼束:マイケルも好きですか?
岡村:すごい好きです。

で、『X』のプロモーション・ビデオの、あの踊りになりましたとか、そういうこと?まさか。

barf:プロデュースなんだけど、相手に合わせるというより、仕上がりが岡村さんテイストになってるのがすごいなと思うんです。
岡村:発注が「岡村さんらしいのにしてください」なんですよ。例えば川本真琴さんの時とか反対したんです。「彼女も曲を書けるし、あまり僕の色が強い曲でデビューにしない方がいいんじゃないですか?」って言ったんですけど、「これで行きたい」っておっしゃったんで。
鬼束:歌詞って、すごく考えて書くんですか?
岡本:考えますねぇ。すぐ出てきますか?
鬼束:いえ、全然。
岡本:全然、時間がかかりますね。
barf:デビュー時は、自分で作詞するつもりではなかったと聞いて驚きました。
鬼束:絶対、自分で書かれた方がいいと思います。
barf:鬼束さんの場合は、詞が先にできるんですよね?
岡本:あ、そうなんですか。すごい。そういう人って、多分少ないですよね。僕は詞が難産ですから。
barf:ライヴでフリースタイルで歌っているので、つい詞もすーっとできるのかと思いがちですが。
鬼束:そうですよね。
岡村:この前、他の人に詞を書いたんですけど、他人のだと早いんですよ。発注に「こういうのにしてほしい」というニーズがあるんで。でも、自分の曲だと、自分の中から搾り出す、向き合いながら出さないといけないじゃないですか?鬼束さんもそうだと思いますけど。そうなると、自分にかなり向き合って……。楽勝ではないですよね。多分、バンバン、楽勝の人もいると思うんですけど、そういう人はすごく羨ましいですね。
鬼束:詞から先に作るんですが、もう、どうしようもない時は曲と一緒に作ります。
岡村:僕は、それはないですね。
鬼束:曲からですか?
岡村:はい。たまに詞からできる時もあるんですけど、使いものにならない。女言葉になってたりして。
鬼束:(笑)
岡村:僕の周りに、どの人と付き合っても、どうしても不倫に向かっちゃって、いつも悲しい思いをしてる子がいて。不倫とかしてると、どうしても周りの人を傷つけてしまう過程があると分かってるので、「止められないの?」みたいな話をしたんです。でも、「不倫でも恋は恋で、打算ではなくやってる」って聞いて、「あー、そうなんだ。あんなオッサンとでも、ピュアにやってるんだ。ふうん」って思って、その女の子の視点で、不倫の歌詞を書いたことがありますけど。
鬼束:ライヴの設定とかも、岡村さんが考えるんですか?バスケット・ゴールがいつもあるとか。
岡村:そうです。
鬼束:本当にバスケット・ボール部だったんですか?
岡村:そうです。ライヴの設定とか、ご自分で考えないですか?
鬼束:あんまり考えないですね。舞台監督にお任せして。
岡村:任せられるのは、信頼できる人がいるからでしょう。それはいいですよね。僕はそういう人と出会ってないから、自分でやってしまうんですね。

ここで岡村靖幸、さりげなく非常に寂しいことを語っている。単に自意識過剰なアーティストだと思っていたが、自分の才能と個性ゆえに、信頼して任せられる仲間を見つけられない孤独さが、薬物に走らせたのかもしれないなぁ。

barf:恋愛話ですが。相手が岡村さんだと知ってて、来られると引いてしまうと。
鬼束:私みたいに、岡村さんを知ってると全然ダメですか?
岡村:(照)いやいや、全然ダメじゃないですよ。
鬼束:可能性はありですか?
岡村:そんな……(笑)
鬼束:(笑)。
岡村:まぁ、ドギマギしちゃいますね。
barf:岡村さんの新曲、聴きました?
鬼束:はい、すごく良かったです、すごく。
岡村:ありがとうございます。今度ギターとかで呼んでくれないですかね?
barf:同じステージで観たいですね。
岡村:いいですよ。
鬼束:お願いします。
barf:リズムが強い曲で。
岡村:それは、面白いかもしれない。
鬼束:がんばります(笑)。今日は、もう、会えただけで光栄です。
岡村:こちらこそ。
(2009/09/18 代官山にて)

というわけで、鬼束ちひろが本気で岡村靖幸を逆ナンしかねない対談はここでおしまい。残念ながら岡村靖幸の服役と、2008年の鬼束ちひろのツアーの中止で、二人の共演は実現しなかった。悲しいことだ。
で、いよいよ鬼束ちひろの単独インタビューだが、それは回を改めて。

鬼束ちひろオフィシャルグッズが吾妻ひでおとのコラボ!

鬼束ちひろの公式サイトに、やっと動きがあった。オフィシャルグッズの発売。しかも伝説の不条理漫画家・吾妻ひでおとのコラボ。
Onitsuka_azuma20091127
もちろん注文しましたとも。
大判バスタオルとマグカップ。これを逃す手がありますか。
このキャラクターは、吾妻ひでおが鬼束ちひろを、なぞの一角宇宙人にしてしまったものらしい。吾妻ひでおらしく超グラマーだが、胸の部分だけは偽りなしってことで。
ご興味のある方は(いないと思いますが)こちらから。
http://www.onitsuka-chihiro.jp/goods/
注文受付期間は、2009年12月07日(月)18:00まで。