月別アーカイブ: 2006年3月

品格を欠く藤原正彦のエッセー

■近所の小さな本屋に立ち寄ったら、今ベストセラーになっている『国家の品格』の著者、藤原正彦の『祖国とは国語』(新潮文庫)が平積みになっていた。どれだけつまらない本かを確かめるためにぱらぱらめくってみると、案の定、国家が折り目正しくなるためには、国民一人ひとりが折り目正しくならなければならない。そのためには小学生の国語教育が最重要である。などと当たり前のことが延々と書かれている。
きっと『国家の品格』という本にも同じようなことが書かれているに違いない。この種の本を読む人たちは、自分の考えで自分自身を洗脳したい人か、当たり前のことがいかに当たり前に書かれているかを確認して、著者の考えていることの凡庸さを嘲笑したい人くらいだろう。
しかしこの藤原正彦という人物は決して凡庸ではない。自分自身が「品格」を欠いていることに全く気付いていないという点で、きわめて非凡な数学者である。『祖国とは国語』の後半部分に、自宅と別に書庫専用の家を持ちたいという短いエッセーがある。その中で藤原氏は、どうせ書庫を作るなら愛人を一人囲えるくらいの小さな部屋が欲しいと書いている。下品である。
また、そのすぐ前のエッセーでは、旅行に出かけるときにはいつも自分の妻に、旅先できっと美しい踊り子を見つけてくる(つまり浮気してくる)と宣言して出かけるが、自分はどうしてももてない運命にあるようだ、などと書いている。下らなすぎる。
さて、この藤原という人のどこに「品格」があるのだろうか。小学生にはきっちり国語を教え込むべきだとか、国家の品格が大事だとか言う前に、自分に品格がないことを一日も早く自覚して欲しいものだ。繰り返し書くが、自分の書いていることの品格のなさに全く無自覚であるという点で、藤原正彦氏はきわめて非凡な数学者である。

メルキオール『現代フランス思想とは何か』読書中

■最近書評がないとお思いの読者もいらっしゃるだろうが、いまJ.G.メルキオール著『現代フランス思想とは何か―レヴィ=ストロース、バルト、デリダへの批判的アプローチ』を図書館で借りて読んでいるところだ。邦題のとおり、現代フランス思想家3人に対する啓蒙主義の観点からの批判で、4年前の出版当時、たしか日本経済新聞の書評に取り上げられていたはずである。
それまでジャック・デリダの『エクリチュールと差異(上)』を面白く読んでいたのだが、比較的堅実なルソー読解の書『グラマトロジーについて』に比べると、いかにもデリダらしい言葉の戯れの側面が強くなっていて、かなり読みづらいことは否めない。
いっそのことデリダをバッサリ斬って捨てている本でも読んでみようかということで『現代フランス思想とは何か』を読み始めたというわけだ。メルキオールの「構造主義者レヴィ=ストロース」に対する評価は良い面、悪い面の両方にわたっているが、バルトについてはほぼ完全に斬り捨てている。辛うじて後期のセンチメンタルなバルトだけをプラス評価するにとどまっている。
その斬り捨て方が痛快で、この『現代フランス思想とは何か』は非常に面白い本である。肝心のデリダについてはこれからなので、読み終わったらまた書きたいと思う。

短命ドラマ『西遊記』に見る薄れゆく中国の影

■今朝の日本経済新聞に「上海の事業拡大見通しやや陰り」という記事があり、森ビルが外資系企業347社に調査したところ、今後三年間、上海で事業拡大が続くという見方が、一年前に比べ縮小しているとのことだ。その理由の一つに「反日」デモも含まれているという。
小泉首相が頑固に靖国参拝を続けていることと、麻生外相が外相でありながら露骨な中国脅威論をことあるごとに傍白してくれているおかげで、すっかり中国と日本の関係は改善のきざしが見えない。それに比べると、台湾や韓国との関係の良好さが際立つ。
中国と日本の関係が改善しようがしまいが、僕個人にはどうでもいいことで、米国政府が中国脅威論を捨てない限り、日本が単独で中国との関係改善にのりだせるはずもない。
フジテレビが並々ならぬ力を入れて1月から放送を始めた『西遊記』も、あっさり1クールで放送終了になったようだ。この外交的な雰囲気では、誰も中国の昔話など観たくもない。草なぎ剛が韓国なら、香取信吾は中国てなぐあいで、フジテレビが広告会社と組んで、妙な使命感を抱いて「こんなときこそ」という思いで『西遊記』を復活させたのかもしれないが、完全にあてがはずれたということか。
NHKで放送されている『宮廷女官チャングムの誓い』がアニメ化までされてしまう(『少女チャングムの夢』)ほどの、相変わらずの韓流ブームとは天と地ほどの差がある。
僕自身、中国語の勉強を再開するか、韓国語/朝鮮語の勉強をやり直すか考えた末、韓国語の文法入門書を購入してしまった。年齢や結婚生活のせいもあるかもしれないが、フェイ・ウォンの新譜はここ2年くらい出ていない。女子十二楽坊の他に日本で目立って人気のある中国出身アーティストもいない。
女子フィギアスケートで日本の良きライバルになるのも韓国人の少女。国際野球やサッカーで韓国と日本の試合は話題になるが、中国の話題はまったくない。卓球選手・福永愛の中国での活躍も、他のスポーツに比べるとまったくと言っていいほど報道されない。
一般の日本人が日常的に触れる文化領域から、中国の影が確実に退いていっている。

富士通のココログは全然ダメ

■今日、2006/03/28に富士通が勝手にココログのシステムをバージョンアップした。当初、バージョンアップのためのシステム停止は07:00~13:00と予告されていたが、直前になって突然17:00まで延期する有様。
しかもバージョンアップ後のココログの動作が何と遅いことか。まったくお話にならない。今晩、バージョンアップ後のココログでこの記事を投稿するまでに何分待たされたか。また、とある過去記事から外部のブログへトラックバックを1個送信するだけの処理に10分以上もかかった。
バージョンアップによって、これだけココログの性能が悪化しているのに、ココログのトップページにはお詫びのお知らせが一言もない。バージョンアップによる追加機能が宣伝されているだけだ。
富士通の技術力はこの程度のものなのだ。ブログごとき「お遊び」システムでさえまともに能力増強やバージョンアップができないのだから、東京証券取引所のシステムで失敗するのは当然といえば当然である。

オール電化住宅の流行

■最近オール電化住宅が流行だけれど、10年後もガス代より電気代が安いという保証はどこにもない。一生の買い物でガスコンロやガスのアウトレットが一つもない住宅を選ぶことに、疑問を感じる人はあまり多くないのだろうか。
たとえば日本近海で大きなガス田が見つかって、ガス代が大幅に安くなったとき、一戸建てならまだガスの配管工事もやりやすいだろうが、マンションで建物の中にガスの配管を新設するというようなことが簡単にできるのだろうか。
ついに美輪明宏までが登場した東京電力のテレビCMを目にすると、ふと、そんなことを考える。