月別アーカイブ: 2005年7月

玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安』

玄田有史著『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在』(中公文庫)を読んだ。ひとことで要約すると、NEETの発生は中高年会社員の雇用確保のために企業が新卒採用を抑制したことが最大の原因で、定年延長が法制化されると若者の雇用環境はさらに厳しくなる、ということが書いてある本だ。
しかし、おそらく中高年の会社員たちは、NEETは自立心を欠いた若者が親に甘えているだけだという考え方をそう簡単に改めないだろう。四十代、五十代のおじさん世代が、プライドや男らしさや家族の養育など、さまざまな口実をつかって、もっとも既得権益をうばわれることに敏感であることは確かだからだ。
若い頃に実務を通じて仕事のスキルを身につけられなかった若者が増えることは、日本経済にとって将来、致命的な損失になる。しかし、だからこそ四十代、五十代のおじさんたちは、NEETを心ひそかに歓迎するに違いない。若者に追い越される恐怖から晴れて自由になるからだ。おじさん世代は永遠であり、若者は労働者としてのスキルを欠いたまま、一生、低所得に甘んじる。玄田氏の提言を実行に移さない限り、そうなることは確実である。

エルモに何が起こったか?

■セサミストリートがNHK教育テレビから、テレビ東京系放映に変わって、いったい何が変わったか。それはとてもはっきりしていて、テレビコマーシャルや駅の広告ポスターに、エルモやアーニーたちの姿を見かけるようになったということだ。セサミワークショップの狙いは、やはりマペットたちを「儲かる」キャラクターにすることだった。もちろん儲けたお金は、世界中の子供たちの教育のために使われる。人間の善意を実現するにも、お金が必要なのだ。セサミワークショップはとても正しい選択をした。そう言わざるを得ないのが、30年前とは違う、今という時代である。

70年代のRCサクセションと松本零士『INTERSTELLA 5555』

■どうしてそんなものを選んだのか、自分でもよく分からないのだが、三連休のひまつぶしに近所のTSUTAYAでRCサクセションの1970年代のライブ集DVDと、daft punkのミュージックビデオ『INTERSTELLA 5555』を借りて観た。
少し前、FMラジオで初めてRCサクセションの1970年代の名曲「甲州街道はもう秋なのさ」を聴いて以来、ロックバンドになる前の彼らの曲をまとめて聴きたいと思っていた。そこへ『ライブ帝国 RCサクセション 70’s』を見つけたわけだが、アコースティックギター二本とウッドベースという特異な編成の、超前衛的ハードフォークのコード進行は、僕らの世代にとって聴いたこともない音であることに違いない。ただ美しいだけの最近のフォークデュオの体験しかない人たちはすべて、本DVD収録の『三番目に大事なもの』『キミかわいいね』を聴くべきである。
そしてdaft punkの『INTERSTELLA 5555』はご承知のとおり、松本零士とフランスのハウスミュージシャンdaft punkのコラボレーションによる約1時間のアニメーション作品だ。久しぶりに松本零士のアニメ作品を画面で観て、涙が止まらなくなってしまった。僕の心に最も訴えかける松本作品のエッセンスは、その女性像だ。
あのつねに憂いを帯びた不自然に長いまつげの切れ長の瞳と、十二頭身の超人的なスタイルの良さ、あまりに非現実的な美しさが、首から提げたお手製のロケットに切り抜いたメーテルの絵をつねに忍ばせていた9~10歳の頃の僕自身を甘い胸苦しさとともに思い出させる。
『INTERSTELLA 5555』ではThe Crescendollsのベーシストが、メーテルであり、クレアであり、千年女王である。松本零士の「最新作」を観たいという望みがかなえられずにいた人たちは、このミュージックDVDに心酔できる。もちろん四畳半シリーズ以来の、星野鉄郎的キャラクターも、ドラマーとして登場し、キャプテンハーロックや『宇宙戦艦ヤマト』の古代進的な正統派ヒーローは、地球に拉致されたThe Crescendollsを救い出す英雄役で登場する。『銀河鉄道999』のあの機関室のイメージや『宇宙戦艦ヤマト』の「ワープ」のイメージなど、松本零士世代にとって涙なくして観れない懐かしいイメージがちりばめられた小品で、前編daft punkの音楽が流れるが、できればアフレコつきでも観たかった佳作である。

SE転職市場は堅調!

■僕が正社員として中途入社したものの、働きづらさから退職した某企業が、社内SEの求人広告を出しているのを偶然見つけた。僕が三十歳以降に転職した企業で、入社一年以内に退職したのは二社だけで、その二社ともが「半年と間をおかずに社内SEの求人広告を再び出し」ている。そのうち一社は、僕が退職した理由を改善しないまま後任の社内SEを中途採用し、その後任者も同じ理由で退職したと見られる。もう一社はもともと社内SEをかなり増員する計画だったので、計画どおりの求人のようだ。いずれにせよ、社内SEの求人は日本経済全体の動向と同じく堅調だ。数字を追いかけるより、モノづくりに専念したいITプロフェッショナルにとって、ますます転職のチャンスは広がってきていると言えるだろう。(何だか転職情報誌のコラムみたいな文体だ)