「集団圧力」と「同調行動」

■「うちの会社の常識は、世間の非常識」と自嘲的に語るサラリーマンは多い。今朝の日経新聞三面の「働くということ2005」というコラムは、「集団心理の落とし穴」と題して、次々と発覚する企業不祥事の背景に、米国の心理学者ソロモン・アッシュが実証した「集団圧力」と「同調行動」を見ている。 このコラムによれば同教授は「一人でも違う意見を述べれば同調の圧力は一気に弱まる」と言っているらしく、だからこそ「新鮮な視点を持つ外部からの人材導入はその有力な手段となりうる」とこのコラムは書いている。2004年は全産業で中途採用を実施した企業が50%を超え、10年前に比べて「16~18ポイント高まって」いるらしい。し 続きを読む 「集団圧力」と「同調行動」

ベテラン社員の文書化・標準化軽視

■科学的プロジェクト管理が日本企業の情報システム開発になかなか根付かないのは、ベテラン社員が標準的なプロジェクト管理業務に慣れすぎてしまい、そこからはみ出した事態に対処することにしか仕事としてのやりがいがを見出せなくなっているからではないか。 日本企業の中間管理職は仕事を複雑化し、自分にしかできない仕事に変えていくことで自己保身している。そのためプロジェクト管理においても、日程遅れや要件定義の甘さなどといった問題が、まるでこれから必ず起こるかのように想定し、当たり前の管理手順をちゃんと踏むことを後回しにして、起こるかもしれない問題に対処することを優先してしまう誤りを犯している。 ベテラン社員た 続きを読む ベテラン社員の文書化・標準化軽視

楽器店のバッハ少年

■先週の週末、暇つぶしに近所の楽器店に入ると、バッハのオルガン曲の旋律が聞こえてきたので、その上手さに思わず音のする方を振り返った。電子ピアノの音色をパイプオルガンに変えて、その短調の旋律を弾いていたのは10歳くらいの少年だった。バッハのオルガン曲といっても誰もが知っている『トッカータとフーガ ニ短調 BWV565』の例の冒頭のフレーズだけではなく、僕が持っている『トッカータとフーガ ジルバーマンの傑作オルガンによるバッハ・コンサート』というCD-ROMに収録されている、それほど有名ではない曲のフレーズも弾いていた。たしかに内向的な感じはあるが、まだ幼い顔立ちと、バッハの重厚な短調の旋律があま 続きを読む 楽器店のバッハ少年

「日勤教育」という名の組織保身

■失敗原因には階層性があり、会社組織の失敗は往々にして現場担当者一人の責任にされがちだが、その背後には組織運営上の原因が潜んでいることが多い。企業が事故や不祥事を起こしたとき、当該企業や管轄する役所が原因究明のための特別チームを作ることはよくあるが、世間に与える影響を考慮して、当たり障りのない結論を出してお茶を濁すこともある。 以上はちょうど昨日から読み始めた東京大学名誉教授・畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』(講談社文庫)から自由に引用したものだ。 先日の大阪での脱線事故について、その後の報道でこの鉄道会社では、駅からの発車時間が数十秒遅れたり、ホームをオーバーランした場合、その運転手に「日勤教 続きを読む 「日勤教育」という名の組織保身

組織の統治における力の拮抗

■今朝の日本経済新聞「春秋」には先日のJR脱線事故について、JR西日本にはいまだに「国鉄一家」としての閉鎖性が残っているのではないかと書かれていた。事故原因として当初置石の可能性を強調し、身内である運転手をかばおうとしたためだ。 ただし日本で身内をかばう発想が弱い企業がどれだけあるか。中途採用者を次々受け入れて組織が拡大途上の企業でもない限り、社員の大部分が新卒採用の生え抜きといった日本企業なら、身内をかばう発想はむしろ避けられない。身内をかばう内向きの考え方があること自体が問題なのではなく、それに対抗して組織としてバランスをとる反対向きの力、客観的に自分の組織をチェックする力が存在しないこと 続きを読む 組織の統治における力の拮抗