新藤兼人『縮図』
■新藤兼人監督『縮図』(1953年)を観た。溝口健二監督の薫陶を受けているにもかかわらず今まで一本も観たことがなかったので、レンタルビデオ屋にずらりと並んでいた新藤監督作品のDVDから、初期の作品を適当に選んだのがこの作品だった。 監督第四作で、原作は貧しい靴屋の娘が身売りされ芸者として身も心もズタズタになりながら家族を支えるために力強く生きぬくという徳田秋声の自然主義小説、主演は靴屋の娘・銀子役で乙羽信子、その父親役が宇野重吉、銀子を身請けする役で山村聡、山田五十鈴も出演している。 こんなにカメラがよく動く映画は久しぶりに観た。前半、芸者になったばかりの銀子が客とじゃんけん遊びをするシーケン 続きを読む 新藤兼人『縮図』