月別アーカイブ: 2004年9月

歯科医師連盟1億献金陰謀の臭い

■日本歯科医師連盟の1億円裏献金事件で、村岡氏が政治資金規正法違反で起訴されたようだが、派閥内のほんとうに醜悪なつぶしあいという感じで、ニュースを聞くだけでも不愉快な感じがする。この献金を政治資金規正法にもとづいて申請する期限だった2002年3月前後、橋本氏はちょうど入院していたというから出来すぎた話だ。
もうその時点で、橋本氏が「私は知りませんでした」と言えるような環境をうまくととのえていたとしか考えられない。そして、すでに第一線を引退しており、派閥として切り落としてもいちばん影響の少ない村岡氏をスケープゴートにすることで、今回の問題を乗り切ろうという意図が見え見えだ。
この際、仲間に裏切られた村岡氏が検察の取調べに対して、裏工作のすべてを暴露することを期待するしかない。が、おそらく彼らは村岡氏が取調べで口を割らないように、有罪になった後のフォローも考えているに違いない。フォローなしに村岡氏を検察送りにして、みすみす口を割らせてしまうほど、橋本氏はバカではないはずだから。そう考えるとますます不愉快になってくる。ああやだやだ。

日経新聞の意図的な忘却

■小学生時代は『月刊タイガース』を定期購読するくらい熱心な阪神ファンだったけれど、今は野球にまったく興味がない。ただ、最近の球界再編劇は、イヤでも毎日の報道で耳にする。日本経済新聞の記事を追っていると、オーナーたちと選手会の交渉が進むにつれて、大切な論点がいつの間にか見過ごされるようになったことに気づく。
それは、ライブドアが近鉄の買収を申し出たとき、オーナー会議がその提案を完全に無視したという事実だ。たぶん日本経済新聞はこの事実を、時がたつにつれて意図的に無視するようになっている。それどころか選手会がストを行ったことについて、批判的な社説まで書く始末だ。オーナーたちがあの買収提案を真剣に検討していれば、ストにつながってしまうほどの騒動にはならなかったはずだ。
そう考えればやはり日本経済新聞はプロ野球の閉鎖性を完全には批判できていない。むしろオーナーの立場をとっているために、世間がライブドアの近鉄買収提案を少しずつ忘れていくのに乗じて、まるでそんな事実がなかったかのように、今進行しつつある再編劇を伝えている。意図的な隠蔽があまりに見え透いているだけに、球界再編についての日経の報道にはイヤな気分にさせられる。

完成したばかりの丸ノ内オアゾ

■国鉄本社跡地に完成したばかりの丸の内オアゾに行って来た。主な目的は新しい丸善本店だ。洋書の品揃えは新宿南口の紀伊國屋や八重洲ブックセンターにも及ばないが、和書の専門書はかなりいい線をいっている。トマス・アキナスの『神学大全』とヘーゲル全集が全巻ずらりと並んでいる書店を見たのは生まれて初めてだ。
ただ、各階の床面積の広さは期待したほどではなく、通路もテレビで紹介されているのを見て想像していたよりも随分狭くてがっかりした。丸善以外の店舗には興味がなかったのでじっくり見て回ることはしなかったが、丸ビルと大して違いがないのではないか。同じ三菱地所の建物だから当然と言えば当然なのかもしれないが。

続「これあげます」と銀のペアウォッチ

■先日の不思議な出来事について、驚いたことに半年ほど前、同じ手口で声をかけられたという読者の方からメールを頂いた。どうやらあの銀色の時計を、いろんな嘘でいかにも高価なように見せかけて、「1万円でいいですから」と言って売りつけるということだったらしい。思ったより随分せこい詐欺だ。いったいどれくらいの成功率があるというのだろうか。ちょっとがっかりした。できればもっと壮大な陰謀があって欲しかったのだが。英国の諜報部員みたいなね。

「これあげます」と銀のペアウォッチ

■先日、駅から自宅へ歩いて帰る夜道、背後から車高の低い旧型の真っ白なグロリアに追い越されたかと思うと、目の前ですうっと停車した。
ちょうど僕が通り過ぎようとしたときに、運転席側の窓がするすると開いて、ふっくらした顔に銀縁のメガネをかけた人の良さそうな笑顔であるにもかかわらず、ぴっちりと油の効いたオールバックという運転手が、「ちょっとすみません。道をたずねるってわけじゃないんですけど」と話し始めながら、助手席に座っている黒ずくめの人物から受け取った、青いベルベット生地の小箱を僕に差し出すように開いた。
「これ、もったいないんであげますよ」と、銀色に輝いたペアウォッチを視線で示しながら、セールスマンのように押し付けがましくもなく、その筋の自由業の方々のようにぞんざいにでもなく、凡庸な会社員のような口調で話す。ただ、助手席に座っていて、僕の目線からはその胸から上がまったく見えない黒いスーツの人物が、無言のままなだけに怪しげな空気をただよわせていたので、僕は半笑いで「いや、結構です」と自然さを無理に装いながらその場を立ち去った。
走り去るグロリアをあらためて眺めると、後部座席の左右のガラスも、リアガラスも黒い目隠しになっていて、やっぱりあやしすぎる。もし僕が「ありがとうございます」とでも言ってあのペアウォッチを受け取ろうとしたら、一体何が起こっていたのだろうか。
手を差し出した瞬間に助手席の人物がその僕の手首を握るなり車内に無理やり引きずり込んで、身代金目的の誘拐事件の被害者になっただろうか。それとももっとスマートな方法で、手を差し出した瞬間に音もなく銃口が差し出され、「殺されたくなかったら後ろに乗れ」と言われたか。誘拐でなければ何だろうか。
強盗にしては、しがないサラリーマンが獲物になるはずなどないし、もしかするとあの腕時計には超小型の発信機が埋め込まれていて、僕の会話をすべて盗聴され、それをネタに後から脅迫されることになっていたのだろうか。いまだによくわからない不可思議な体験だ。