見当違いの「大企業病」批判

■米Amazon.comに注文していたジャック・デリダ『フッサール哲学における生成の問題』がようやく届いた。フランス語ではなく弱気になって英訳を注文してしまった。今から50年前、最初に本のかたちでまとめられたデリダの著作なので、後期の著作のようにまったくわけが分からないということはないだろうと期待しつつ、じっくり読むことにしたい。 ■同じように決まり文句や世の中でよく言われていること、通説をそのまま信じこんで、意見を聞かれるとそれらの通説をオウム返しにすることしかできない人というのが、案外たくさんいる。たとえば業績の悪い大企業を見ると必ず「大企業病だ」と批判し、「その証拠に意思決定の速度が遅い 続きを読む 見当違いの「大企業病」批判

high context/low context論の決定的な間違い

■国民性と企業文化の差異が議論されるとき、日本人の組織は多くを語らず「あ・うん」の呼吸に代表されるように暗黙の意思疎通が基盤となっているのに対して、欧米の組織はできるだけすべてを言語化し書き下すという意思疎通が基盤となっている、ということが通説になっている。 コミュニケーションを研究する人々の間では、前者をhigh context、後者をlow contextと呼ぶようだが、確かに現象面だけ見れば日本人はhigh contextに違いないが、だからと言ってhigh contextが今後もずっと日本人には最適な意思疎通の方法だということにはならない。 実際、組織が処理すべき環境変動の数が増えて、 続きを読む high context/low context論の決定的な間違い

動物をスチルカメラで撮影する意味

■最近動物園の話ばかりで申し訳ないが、今日も井の頭公園の動物園で写真をとりながら動物たちの愛らしいしぐさに癒されていた。 井の頭公園でいちばん良かったのはアライグマと「リスの小径」だ。後者では数十頭のリスが飼われている大きな檻の中を歩いていくので、足元を胡桃をくわえた俊足のリスが何匹も駆け抜けていく。穴を掘って餌を隠す習性があるらしく、男性客のナップサックまで上って来た一匹が、そのポケットを穴と勘違いして掘り返そうとしていた。僕の構えたカメラのレンズフードを木の枝と思って上ろうとしたリスもいた。「ふれあい広場」で膝の上にテンジクネズミを載せると存外温かかったのも印象に残った。 動物は動きが愛ら 続きを読む 動物をスチルカメラで撮影する意味

公共事業失敗の典型例:大阪フェスティバルゲート

■天王寺動物園からJR環状線新今宮駅への途中にフェスティバルゲートというという官製事業の典型的な失敗作があり、日曜日の昼間だというのに店舗にテナントがほとんど入っておらず閑散としていた。ビルの中をジェットコースターが縫うように走り、商業施設と娯楽施設を兼ねた建造物なのだが、東京で言えば新宿西口の思い出横町のような飲み屋街「ジャンジャン横町」がある典型的な下町で、天王寺動物園の集客力もなく、高速道路の高架下に広がる町並みも全体にくすんだ色合い。こんな環境に文字通り場違いなあのような施設を作ってなぜ成功すると考えたのかは定かでないが、官僚出身者を経営トップに頂いて問題を起こしたユニバーサルスタジオ 続きを読む 公共事業失敗の典型例:大阪フェスティバルゲート

僕の存在理由は「会社員」にはない

■う~ん、違うな。JR東日本の高架化工事トラブルは不適切な人員配置が原因ではなく、「プロフェッショナル意識」や「職業上の使命感」とでもいうものが会社員から失われつつあることが原因ではないか。ここで僕が職業上の使命感と言っているのは、自らの従事する職業について経済的な報酬や公の場での栄誉など、定量的で目に見える評価があろうがなかろうが、その職業における能力や技術の向上そのものに自分の存在理由を見出すという考え方のことだ。 ところが僕らよりも若い世代が、職業その他どんな手段であれ「自分の存在理由を見出す」という行為が一定の成果を生む、つまり最終的に何らかの存在理由を見出せると信じることなどできなく 続きを読む 僕の存在理由は「会社員」にはない