月別アーカイブ: 2003年4月

電車の中で思わぬドイツ人

■会社から帰る電車の中でいつものようにMP3プレーヤを使ってドイツ語の勉強をしていたら、なんということかイヤフォンでないあらぬ方向からもドイツ語が聞こえてきた。プレーヤの音を止めて聞き耳を立てると「ganz」や「aber」、「alles」といった単語が辛うじて聞き取れる。たしかにドイツ語だ。
気づかれぬようそちらを見ると、若いドイツ人女性が二人、つり革につかまって雑談をしている。一人は典型的な赤毛でストレートのショートカット。もう一人は大きなウエーブのかかった真っ黒のロングヘア。ロングヘアの彼女はフランス語版『マリ・クレール』に登場してもおかしくないスーパーモデル風のシャープな顔立ちだったが、二人とも背はせいぜい160cmくらいだった。
郊外へ向かう電車で都心からすでに1時間離れているようなところに住んでいるドイツ人女性とは一体なにを仕事にしているのか。手にはカレンダーのような厚手の紙でできたA3サイズくらいの大きさの、まったく同じ薄い冊子を二人ともビニール袋に入れて下げている。二人はすでに埼玉県に入った同じ駅で下車した。電車の中でドイツ人に出くわしたのは初めてのことだ。

ドイツ語学習に「午後のこ~だ」活躍

■最近会社のドイツ語研修に参加し始めた。教材はHueber社のテキスト『Themen neu 1 Lehwerk fuer Deutsch als Fremdsprache Kursbuch』なのだが、配布された音声教材がCDではなくカセットだったので、仕方なく自宅のノートPCでライン入力からMP3に変換しようと、有楽町ビックカメラで一番良さそうなMP3録音ソフト『Audio Magic』(TDK株式会社製)を購入した。
自動で曲分割できれば随分手間が省けるだろうと思い、40曲まで自動分割できる『Audio Magic Studio』を購入したのだが、これが大失敗。語学教材なので曲間の自動識別が全く用をなさない。やむなくネット上であれこれ探し回ったら、フリーウェアでライン入力からMP3ファイルの切り刻みまでできるんじゃないか。
入手したのは『午後のこ~だ for Windows』『spwave』
『Audio Magic』は録音しながら他の処理をしないで下さいという注意書きがマニュアルにあったので、一旦録音を始めると何も出来ないし、出力ビットレートが96bpsまでしか下げられないし、自動曲分割で40曲を超えるとこともあろうに配列の引数制限を超えましたというプログラミング経験のある人間にしか分からないようなエラーメッセージを表示して落ちるし、いったん中間ファイルを作成してからMP3にエンコードするし、作成されたファイルの音質も悪いし、こんなものに6,000円払った私が馬鹿でしたと言いたくなるほど出来の悪いソフトウェアなので皆さんはゆめゆめ購入なさるな。
『午後のこ~だ』は録音しながら作業しても問題なし、音質も自由に選択でき、ビットレートも64kpsまで下げられ、言うことなし。MP3のフリーウェアがこれほど充実しているという情報を事前に仕入れておけば6,000円もの大金を無駄にすることはなかったのだ。

ホラー映画のせこい広告手法

■今朝あたりからホラー映画に本物の幽霊が映っているというニュースが、朝の芸能情報でも、Yahoo!Japanのニュースでも報道されているが、宣伝のためのデマ決まってるだろうが。朝食を取りながら見るテレ朝『やじうまプラス』でも素直そうな某男性アナウンサーが毎度ながら薄っぺらな説明で、このデマをまことしやかに解説していたが、聞いたことを鵜呑みにして伝えるだけなら誰でもできる。
件の映画が香港・タイ合作で、ハリウッド映画ほど広告宣伝費をかけられないために、「劇場では恐怖のあまり途中退場する観客が続出している」といったデマを思いついたと考えるのが合理的だ。こんなデマが功を奏して観客動員数が上がったとしたら、日本の大人たちは「内容がバカらしいから」という理由で「クレヨンしんちゃん」を小学生に見せたくない番組の筆頭に上げても、その言葉に何の説得力もない。

t.A.T.uと林明日香

■やっぱりロシア人女子高生レズビアン・コンビのt.A.T.uでしょう。公式サイトで”All the things she said”と”Not gonna get us”の2曲のPVが見られますが、こういうミーハー路線の洋楽は大好き(ウソぴょん)。そして何と言っても林明日香『母』。2003/04/14オンエアのHEY!HEY!HEY!でトークがあんなに短かった理由は、しゃべらせるとあまりに普通のチュー坊だからかも。せっかくインパクトのあるルックスしてるんだから、もうちょっと衣装とかシャベリまで演出してあげればいいのに。

矢野龍渓『経国美談』

■矢野龍渓『経国美談』(岩波文庫)の上巻をほぼ読み終えた。解説によればこの漢文書き下し文体の小説は、龍渓が英国の正史文献を参考にしつつ、古代ギリシアの歴史を『太平記』風の小説にして民権伸張、憲政擁護を鼓吹することを狙ったとのこと。坪内逍遥の『小説神髄』が出る前、明治十六年の作である。
物語は、スパルタの侵攻により寡頭政治に堕したセーベ(テーバイ)を、アゼン(アテナイ)に難を逃れた有志者たちが数年間機の熟するを待って一計を案じ、民政に復帰させるという勧善懲悪の筋で、全くつまらないが、漢文脈のスピード感は読み進めるうち癖になる。
「斯クト見ルヨリ、奸党等ハ絶驚狼狽シナガラモ、兼テ坐辺ニ備ヘ置キタル短剣ヲ抜キ合セ、早ヤ組付カント、飛ビ入リタル有志者ニ、渡リ合イ、刺シ傷ケント、揉合フタリ。十二名ノ有志者等ハ、国ノ為メ、又世ノ為メニ、積モリ積モリシ、多年ノ鬱憤幾ソ干ゾ、ソノ艱難モ、皆是レ奸党ノ為ス業ニテ、今其仇ニ、面リ近ク、出逢フコトナレバ、春待チ得タル優曇華ノ花、咲キ出ル心地シテ、勇気日頃ニ、百倍スレバ、何カハ以テ堪ルベキ、ペロピダス、セヲポンプスノ両人ハ、難ナクポーリアルチ、クリチアースヲ組伏セテ、直チニ縄ヲカケタリケリ」(202-203頁)。
でもさすがにこの調子で下巻まで読もうとは思わない。こうなったら次は成島柳北『柳橋新誌』か。どんどん時代を遡っているような気がして明治二十年代からこちらへ戻って来られなくなりそうなのだが。「橋、柳を以って名と為して一株の柳を植えず。旧地誌に云う、其の柳原の末に在るを以ってなづくなりと。而して橋の東南に一橋有り、傍に老柳一樹有り。人呼んで故柳橋と為す。或ひと云く、其の橋柳有れば即ち往昔の柳橋にして、今の柳橋は即ち後に架して其の名を奪う者と。其の説地誌と齬すなり」(『柳橋新誌』冒頭)。まあ四方田犬彦の『月島物語』とあまり変わらないかもしれない。