高杉良『金融腐蝕列島(上)(下)』
■高杉良『金融腐蝕列島(上)(下)』(講談社文庫)を読み終えた。主人公の竹中が総会屋対策や不良債権の回収業務を担当することで、日本金融業界の闇の世界に巻き込まれる。登場人物の人間関係に一貫した流れはあるが、オムニバス的に「悪のショーケース」といった様相を呈する。 フィクションには違いないが、むしろドキュメントとして読めた。銀行員のようなリスクの高い仕事は高給でなきゃやってられないのかもしれない。つくづくシステムエンジニアは平和な仕事である。不良債権というバブルの負の遺産を一掃するのがいかに困難か、暗澹たる気分が残った。 ちなみに佐高信の解説によれば、この小説の主人公とたまたま同名の現大臣、「一 続きを読む 高杉良『金融腐蝕列島(上)(下)』