月別アーカイブ: 2001年2月

日本タオル業者のセーフガード申請は間違い

■やはり日本のタオル生産者を中心とした中国製輸入繊維製品に対するセーフガード申請は間違っている。安価な労働力を求めて日本の地場のタオルメーカーが中国に進出、日本製の高性能な機械が稼働する工場が『ニュースステーション』で報道されていた。その工場で働く中国人の女工さん曰く「中国企業の工場より給与も福利厚生もいいんです」。
日本企業が国内産ではコスト競争に勝てないと中国に進出すれば、中国の生活水準向上や経済成長にも寄与する。中国の生活水準が高まれば、日本製品に対する需要も拡大し、日本経済も恩恵を受ける。
セーフガードを申請した日本の繊維業界関係者は「われわれはゴールキーパーのないゲームをしているのです」と訴えているが、そのキーパーとはいったい何を守るキーパーなのだろうか。「経営努力が水の泡になってしまうんです」と言うが、では中国に進出しているあの地場タオルメーカーは何なのか。(と『ニュースステーション』の演出意図にずっぽりハマってしまっている僕)

櫻井よしこ氏と米倉教授の対談

■先日、櫻井よしこ氏と一橋の米倉教授の対談を生で聴く機会があった。櫻井氏のメッセージは明解で、日本が国家として自立するには憲法を改正して自衛隊を正規の軍隊にしなければならないということ。教育問題については、戦後のゆとり重視・個性を伸ばす教育は完全な失敗で、小・中学生までは詰め込み教育、高校生になって初めて創造性を育てる教育が必要だということ。
それに対して学生時代左翼だった米倉教授は「聴講者の中には『今日はたいへんな右翼のオバサンが来たぞとお思いの方もいらっしゃるでしょうが』」と思い切った論評をしたが、自衛隊の合法化については文民統治を明文化する観点から米倉氏も賛成のようだ。
聴講者から民間産業と軍隊が協同で技術開発を進めることの副作用(兵器開発への加担)について質問が出たが、櫻井・米倉両氏の回答は「わたしたちは軍という言葉に変なアレルギーがある」と冴えない。両氏の共通点は世界を国家対国家の政治力学の場と見る点である。世界をそう見る限り「国家としての自立=軍隊を持つこと」という結論に達するのは当然だ。
一部の左翼や女性団体が平和を求めてきたのは、国民国家という既成の枠組み以外の観点から世界を構成できないかというalternativeの模索の過程だったはずでは?両氏の議論にはこの観点が欠けている。
結局、米倉氏はglobalizationを国家対国家の経済戦争(戦争という言葉が穏当でなければ「競争」)としてしか認識できていない。日本に構造改革が必要なのは確かだが、それは経済戦争に勝つためではなく、少数者の既得権を解除して最大多数の幸福を実現するためではなかったか。米倉氏まで櫻井氏に扇動されたようで、後味の悪い講演会だった。

今日、駅ビルのイタリア料理屋でボンゴレロッソとシーザーサラダを食べていたら

■今日、駅ビルのイタリア料理屋でボンゴレロッソとシーザーサラダを食べていたら、有線のBGMに聞き覚えのあるピコピコ音。Orchestral Manouveures in the Darkの「Enola Gay」だ。次にかかった曲がFranky Goes to Hollywoodの「Relax」。この懐かしさは涙ものだ。その次がまたすごくて「Do YouReally Want To Hurt Me?」「Karma Chameleon」とCulture Clubの2連発。パスタはすでに食べ終わっていたのに、しばらくお冷やを飲みながら聴き入ってしまった。レストランやデパートでBGMに夢中になる人なんてあまりいないだろうが、意外なところで意外な出逢いがあるのだから、一概に「騒音公害」とは片づけられない。

LOVE PSYCHEDELICOのファーストアルバム

■LOVE PSYCHEDELICOの1stアルバムはなかなか良い。英語と日本語がごちゃまぜになった歌詞はSouthern All Starsの発明であって、決してLOVE PSYCHEDELICOの2人の発明ではない。しかしKUMIの気だるいボーカルの発音はより本物の英語っぽく、POPSに必要な表層的カッコよさを効率よく実現している。
お気に入りのアーティストとして2人ともLed Zeppelinを挙げているが1曲目の『LADY MADONNA』はThe Doorsのようで、文字どおりPSYCHEDELICだ。おそらく他のすべての曲も1960~70年代のいずれかのアーティストに必ず対応物を見つけることができるだろう。
あの時代のアルバムを聴いたのと同じような音楽体験をもう一度別の形で反復したい。LOVE PSYCHEDELICOのアルバムは独創性を追求した結果というよりむしろ、過去に体験した音楽の快楽を反復するための道具という気がする。それはPOPSとしては「成功」と考えていいだろう。確かに僕はもう一度Led Zeppelinの『Physical Graffiti』を聴いてみたい。ただし『Physical Graffiti』以外の手段で。

高尾慶子『イギリス人はおかしい』

■近々生まれて初めてロンドンに行く予定なので文春文庫『イギリス人はおかしい』高尾慶子・著を読んだ。異国の地を踏む前にロンドンを讃えた本を読むのではなく、ロンドンをけなした本を読むというのは正しい選択だと思う。ロンドンに到着したときに幻滅するよりは「意外にいいじゃん」と思いたい。おそらくロンドンは効率の悪いイライラさせられる都市に違いないのだが、それを補ってあまりある美しさがあるはずなのだ。英国についてビートルズとダイアナ妃のイメージしかない方は必読の書だ。