愛と苦悩のコロナ闘病記 その5 入所先決定

5日目:入所先決定、即、入所

入所先の連絡

翌朝、発症日を0日目とした5日目、1月16日午前10時に保健所から電話があった。3回目はまた別の保健師さんで、別の電話番号からだ。

宿泊療養の入所先ホテルが決まり、午後から入所して下さいと。

ことの順調さに驚いた。PCR検査からここまで、日単位の遅れがまったくない。1人目の保健師さんの約束どおり、1月14日の明後日、1月16日に入所先が決まった。

これだけ順調だったのは、都と区の調整機能がまだ完全に破綻する前だったからかもしれない。

入所先は自宅から比較的近く、この点にもほっとした。迎えの車は14時50分に自宅の最寄りの場所につけてくれるとのこと。保健所の調整能力は、やっぱり神。

それまでに荷物の最終チェックをする。

東京都ウェブサイトの「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養について」ページで、入所先に決まったホテルのチェックリストとリーフレットを読み、必要な物を確認する。

ビジネスホテルのシングルルームからタオル類をなくし、ベッドメイキングと掃除のサービスをなくし、外出する自由をはく奪すれば療養施設になる。(施設によって備品は違うのでリーフレットをよく確認しましょう

電気ケトル、ドライヤー、紙コップ、シャンプー、リンス、ボディーシャンプーは備え付けがある。小型冷蔵庫もある。

余計なものを持っていくより、タオルと衣類を余裕をもって持参した方が快適な療養生活を送れる。バスタブで洗濯できないことはないが、ビジネスホテルには物干しの場所や器具がない。備品のハンガーも数本しかなく、たくさんの衣類を一度に干すことができない。

スマホやパソコンの充電のためのケーブル、充電器はもちろん必須。

気分転換に甘いものがあった行った方がいいとネットにアドバイスがあったが、筆者の施設では弁当に毎回ちょっとしたデザートが付いており、結果的に必要なかった。

とりあえず中型のスーツケースとリュックサックに荷物をまとめ、あとは午後に車が来るまで待つだけとなった。

解熱剤のカロナールを飲み始めたものの、いったん37度台まで下がった体温はまだ38度前後をうろついている。

これから5日ぶりに歩かなければいけないこともあり、体をならすために布団をたたみ、椅子に座ってスマホで時間をつぶす。

まだ体は重く、久しぶりに座る姿勢になったため頭が少しふらついた。立ち上がって部屋の中を歩き回り体を慣らす。解熱剤のおかげで昨日までよりはるかに体は軽かった。

予定時刻の1時間ほど前に迎えの車の運転手から電話が入り、車を停める場所の確認があった。

最初は適当にマンションの真下でいいと思っていたが、たまたま同じマンションの住人に見つかって管理会社にクレームを入れられないとも限らない。

例えば同じエレベーターに乗り合わせ、そのまま迎えの車に乗りこむところを目撃されると、勘のいい人は宿泊療養の迎えだと知って「なぜ感染者にエレベーターを使わせるのか!こっちが感染したらどうするんだ!」と管理会社に通報されかねない。

そういうわけで、100メートルほど離れたところに停めてもらうことにした。車種と色を教えてもらい、この日は筆者のほかにも同乗者がいることを伝えられた。

入所

時間になって所定の場所で待っていると、電話で伝えられた色の車種が筆者の前で停まる。運転手は運転席に座ったままサイドドアを開いて乗るようにうながす。運転手と感染者は、たとえマスクをしていても対面で話すわけにはいかない。

外観はふつうのミニバンで、タクシーのようにひと目で識別できるようなところはどこにもない。これなら別にあやしまれることもなかったと思った。同乗の感染者の方は3列目の運転席側シートに座っており、筆者は2列目の助手席側に座る。

運転席と後部座席は全面透明のビニールで仕切られ、ビニールは天井まできっちり目張りされている。目の前から顔に空気が強く吹き付けてくるのは、運転席へ後部座席から空気が逆流するのを防ぐためらしかった。

15分ほどで施設前に着いた。同じようなミニバンが先にホテルの入口に横付けされており、運転手どうしで片手を軽くあげてあいさつをしていた。

そのミニバンが走り去ると、警備員が歩道の歩行者を止めている間に筆者の乗ったミニバンがホテル入口に横付けし、筆者ともう1人の感染者の方が降りる。

いつもは玄関ホールらしき部分が、降車した時点ですでにレッドゾーンの扱いになる。

スタッフは玄関ホールの外で感染者を誘導し、玄関ホール内にスタッフはいない。

ホールに入ったところのホワイトボードに書かれた指示どおり、長机にずらりとならんだ封筒から自分の名前のあるものを取る。カードキーが封筒に貼り付けられていて、その部屋番号へエレベーターで昇る。

エレベーターもレッドゾーンで患者しか乗ることができない。ただ、自分がレッドゾーンを歩いているということ以外、出張でビジネスホテルにチェックインするのと大きな差はない。

部屋に入ってから封筒を開けると、小池都知事の励ましのメッセージの紙がいちばん上にあり、療養中の細かい注意事項が印刷された左肩ホッチキスどめの書類が出てくる。

新型コロナの基礎知識といった書類や、こころの電話相談の書類、体調のセルフチェックシート、そして毎日の体温、血中酸素飽和度、脈拍数を記録するためのクラウドシステムのマニュアルが入っている。すべてA4のモノクロコピーというシンプルさ。

このクラウドシステムについては、後ほど詳述する。