愛と苦悩のコロナ闘病記 その4 宿泊療養の誤解

4日目:宿泊療養についての誤解

薬は処方どおりに

保健所とのやりとりの他は何も書いていないが、基本的に一日中布団の中で38度台の熱と体のだるさ、いつ来るかわからない新型コロナの症状に対する不安にふるえていた。

いちばんイヤだったのが不安感だった。「恐怖」は相手がはっきりしているけれど、「不安」はどんな相手がやって来るかわからないこと自体の「不安」で、つかみどころがない。

筆者の体温は新型コロナの症状としてはそれほど高くないが、風呂に入ると悪化するかもしれないので、全身汗だくでひたすら発熱に耐えていた。

自室から出るのはトイレだけ。トイレ以外で自室のドアを開けるのは妻が差し入れる食事を受け取るときだけ。ふつうの食事は胃に重すぎ、三食ともおかゆやバナナ、各種ゼリー飲料でしのいだ。

自室は窓が一面しかなく換気が悪い。家庭内感染を起こさないよう1日1回は窓を全開にし、外に向かって扇風機を強で1分間ほど運転して強制換気していた。(実際はこの程度の換気では不十分

そして発症日を0日とした4日目、1月15日14時半ごろ、保健所から体調確認の連絡があった。1回目とは別の男性のように聞こえた。体温は38度前半でずっと変わりがないことを伝えると、解熱剤は飲んでいますか?との質問。

「あえて飲んでいません」と答えた瞬間、会話の雰囲気ががらりと変わる。

処方されているんですよね。

なぜ飲まないのですか。

飲まない理由は何かあるのでしょうか。

お医者さんからの指示でしょうか。

・・・やってしまったと思った。

医者から処方された解熱剤を飲まないというのは、きわめて危険な素人判断なのだ。

質問攻めにあったのは、そんなことをしていると宿泊療養もできなくなりますよ、という筆者のためを思ってのアドバイスだった。

処方された薬がカロナール300であることを告げると、処方どおりに飲んで下さいとのこと。

また、宿泊療養について、最近は東京都からの調整完了の電話が、夜10時など深夜帯に保健所に入るため、当日の朝に連絡して、その日の午後に入所ということが増えています、荷物の準備をお願いしますとのことだった。

保健所のみなさんが深夜まで仕事をしなければならないのは、東京都の方でも宿泊療養施設の調整が過負荷になっているためらしい。

解熱剤はちゃんと飲みますと、自分の身勝手を反省しつつ、平身低頭で電話を切った。

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保健師さんのアドバイスどおり解熱剤を飲んでみると、2回飲んだあたりで37度台前半まで一気に体温が下がり、体もかなり楽になった。薬を飲まず全身汗だくでひたすら耐えていたのは何だったのだろう。

「宿泊療養」についての誤解

そのときふと保健師さんの言っていた、そんなことでは宿泊療養できませんよ、という言葉が引っ掛かりはじめた。

筆者の理解では、重症や中等症の患者は入院療養、その次に状態の悪い軽症患者が宿泊療養、さらに軽症なら自宅療養と、症状の順に入院療養>宿泊療養>自宅療養となるはずだった。

(なお、新型コロナにおける重症、中等症、軽症の定義は、今一度厚労省のホームページでご確認ください。たとえば、全身の筋肉の激痛に悶絶する状態でも、40度近い熱にうなされる状態でも、死にそうなほど息苦しくても、酸素吸入が必要なければ軽症)

しかし宿泊療養のこの理解は間違っていたのだ。

じっさいには、軽症者のうち症状がすでに安定している感染者しか宿泊療養できない

東京都の「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養について」というページで、各ホテルごとの「チェックリスト」のPDFファイルを開くと、どのホテルにも「体調が安定していない方は、宿泊療養ができません」と書いてある。

宿泊療養先のホテルに医師はおらず看護師のみで、急に容体が変わるおそれのある患者を受け入れることはできない。

筆者のように体温はまだ38度台だが解熱剤を飲めば安定し、他に目立つ症状がない状態なら入所の候補になるということだろう。

宿泊療養のもう一つの要素は、家庭内感染の防止のようだった。あとで分かったのだが、妻は保健師さんにこの点をかなり強くお願いしていたらしい。かりに筆者が一人暮らしなら自宅療養になっていたはずだ。

そんなふうに宿泊療養について布団の中でスマホで調べつつも、自宅待機中にやるべきことは決まっている。

解熱剤を飲んで布団の中で大汗をかきながらひたすらじっとしていること。そして、こまめに体温と血中酸素飽和度を測り、自分で自分の経過観察をすることしかない。

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