愛と苦悩のコロナ闘病記 その3 感染経路

感染経路

陽性の通知をうけてからずっと考えていたのは、というより今でも考えているのは、いったいどこで感染したのか、ということだ。

本当にわからない。

以下、できるだけ筆者以外のプライバシー侵害がないようにぼかして書く。

筆者は先述のとおり昨年クリスマス前からずっと在宅勤務で、一度も出勤していない。

新型コロナの日本での流行が始まって以降、出勤日以外は公共交通機関を利用せず、最寄りの駅にすら立ち寄っていない。

徹底して人ごみを避け、コンビニ、スーパー、ドラッグストアなど生活必需品を売る店以外のありとあらゆる業種の店には一度も行っていない。もちろん飲食店にも行っていない。散髪も風呂の鏡とにらめっこしながらヘアーカッターで自分で済ませている。

ただ、そうしているとほぼ家にとじこもったきりになるため、毎日近所の公園の周辺、人の少ない住宅街の間を縫ってぐるりと散歩して帰って来る。その間、誰と話すこともない。

ただ、妻の方は動き回らざるを得ない事情があった。

筆者から見て義理にあたるご高齢の親族について、さまざまな手続きで複数の役所を何度も訪れるなど多忙を極めていた。そのたびに自宅と実家を往復すると交通費だけでもかなりの金額になるため、年末年始、妻は実家に帰ったままだった。

つまり発症2週間以上前から、筆者は妻とさえ会っていない。妻の他に同居人はいない。

そして1月9日、妻のある親族の方の葬祭があった。親族にはご高齢の方が多く、このコロナ禍で集まることができないため、筆者と妻の2人だけで立ち会うことになった。

この1月9日、筆者はじつに1年ぶりに東京23区の外に出たのである。公共交通機関に乗ったのは年末最後の出社日から約3週間ぶり。

葬祭の後、妻と二人で公共交通機関で帰宅し、その翌々日が発症日となる。

読者の中には、なら普通に考えて奥さんが感染源では?という人もいるだろう。ところが保健所に濃厚接触者認定をうけた妻は、PCR検査の結果、陰性だった。

これで妻から感染したという線は消える。

すると残るは1月9日の筆者の行動だけになる。1年ぶりに東京23区を出たというのが、年末年始どころか過去1年間を通じてもっともリスクの高い行動だ。

筆者が自宅を出た時点で妻は実家にいるため、筆者の単独行動になる。

まず自宅から徒歩2分ほどにあるバス停から都バスに乗る。車内は年明け間もない土曜日の午後のせいか乗客は少ない。一人掛けの座席にすわり、両脇に乗客がいない状態で約20分、目的のバス停で降車する。

そこで隣県までのびる快速鉄道に乗り、約20分後に目的地で下車した。

そこから葬祭の会場までバスをつかう方法もあったが、冬にしては天気が良く、正午の太陽が心地よく降りそそいでいたし、公共交通機関はできるだけ避けたかったこともあり、Googleマップで調べた経路を20分弱歩くことにした。

途中、葬祭にかかる時間のことを考え、このあたりで昼食をとっておいた方がよさそうだと思い、Mのマークのハンバーガーチェーン店に入った。外食というハイリスクな行動も1年ぶりだ。

ただ店内の人ごみは避け、誰もいない窓際のテーブルにすわり、10分ほどで「マクポセット」を半分以上余らせて店を出た。(食品ロス

その後、幅の広い車道の両側に何もない風景が広がるなか、正午ごろの日差しをうけつつゆっくり散歩をして会場に到着。実家から別経路でやってきた妻と2週間ぶりで再会した。つづいて葬儀社の担当者が1名で到着。

葬祭で他の家の参列者と顔を合わせることはない。あまり参列者のいなさそうな閑散とした施設内で、妻と2人で立ったまま一連の葬祭をすませた。葬儀社の担当者は少し離れて見守っていた。

葬儀社の担当者が筆者が歩いてきた道を車で送ってもらえるとのことで、妻と2人でミニバンに乗車した。妻が助手席、筆者は2列目の座席。運転席の後ろ、2列目、3列目の座席があるはずの位置は、棺桶を置くステンレス製の台になっている。

その葬儀社の担当者は妻と雑談をしていたが、筆者はとくに話すこともなく無言のまま駅に到着した。

そして妻と2人で筆者が来た道をそのまま自宅までもどった。

この間、筆者から半径2メートル以内で、筆者とまともな会話をした人物は妻以外におらず、筆者の視野にいる人はすべてマスクをつけていた。

帰宅後、自宅には筆者と妻しかいない。

さて、このように過ぎた1月9日、筆者が感染したのはどのタイミングでしょうか。

わかるかっ!!!

となると接触感染しかありえず、しいて言えばMのマークのチェーン店だけが候補になる。この日、家の外でマスクを外した唯一の場所だからだ。

ただ、筆者は入店時、食事前の2回、店内のアルコールで手指消毒をしているし、この店で接触感染が起こっていたとすれば、とっくにクラスターが発生しているはずだ。

1月9日以降も濃厚接触者は妻だけで、妻は後日の検査で陰性。1月8日以前、年末年始のあいだ筆者はほぼ引きこもり状態で誰とも会話していない。

1月9日の行動に感染源がなかったとすると、1月8日以前に筆者が訪れたコンビニ、スーパーに感染源があったことになるが、こちらもクラスター発生のニュースはない。

筆者は今まで「どこから感染したか分からない」というブログやツイートをいくつも目にしてきたが、どうやら本当だったようだ。

これだけ首都圏で感染者が増えたとはいえ、まだ蔓延状態とは言えず、近所にちょっと外出するだけで感染するわけではない。それでも「三密」「5つの場面」を避けても、感染するときは感染するということだ。

これ以上の科学的な分析は感染症の専門家の皆さんにお任せするとして、筆者のような市中感染のケースが存在するので、会社や店舗を開業したまま、市民側の行動だけを規制しても、感染拡大を抑える効果が出ないのは当然という気がする。(あくまで素人である筆者の見解です