ファンキー末吉さんに見えていないかもしれない日中交流

たまたまファンキー末吉さんのブログにあるこちらの記事「中国人による中国人のための中国人のコンサートin東京」を目にした。ツイッターのタイムラインで流れて来たためだ。

中国の伝統芸能である相声の德雲社が来日公演を行ったことは、ウェイボー(新浪微博)の段文凝さんのツイートで知っていた。

ファンキー末吉さんのこの記事は、20年前のアジアブームのとき、中国語圏で人気のアーティストは、どんどん海外進出しているのに、いまだに日本では、レコード会社の「演歌班」あつかいであることを嘆いていらっしゃる。この点は激しく同意。

ただ、今回の德雲社がキャパ5,000人の会場をほぼ中国人だけで満員にしたことが、日中交流の上でとてつもなく大きな一歩だと書いていらっしゃるが、この点は同意できない。

F4やジェイ・チョウ(周傑倫)などポップス系アーティストや、EXOなどの中国人メンバーがいる男性アイドルグループ、中国大陸の地下女性アイドルの動向が、すっぽり抜け落ちているからだ。

中国地下アイドルはやや極端な事例としても、台湾の男性アイドルグループ「F4」と、C-POP界で圧倒的な影響力をもつジェイ・チョウ(周傑倫)が、2008年来日してコンサートを開催している点に言及がないのは、かなり違和感がある。

また、中国、韓国、日本でいま大人気の韓国男性アイドルグループEXO(エクソ)には、ルハン(鹿晗:北京出身)、レイ(張藝興:湖南省出身)という2人の中国人メンバーがいる。

日本公演にも参加したことがあり、EXOの日本公演の会場は、東京ドームなどのクラスだ。

そして、極端な例と言った、中国地下アイドルについては、日本で女性アイドルグループ最大のイベントと言われている「@JAM EXPO 2017」に、中国・上海の地下アイドルグループ「idol school(偶像学園)」が初参加する。会場は横浜アリーナ。

「idol school(偶像学園)」はモーニング娘。の元メンバーで、いまは中国に帰国しているリンリンさん(錢琳)がプロデュースしている。

中国ではEXOや、中国大陸出身で言えば「蜜蜂少女隊」のような、K-POPスタイルのアイドルグループが絶大な人気だが、「idol school」は完全に日本式のアイドルグループで、かなりマイナーだ。

上海ローカルで非常にマイナーなので、逆に、@JAM EXPOに参加できるのだと思う。

上海の日本式女性アイドルグループといえば、SNH48だが、AKB48運営会社と2016/06に決裂した後、逆に中国で知名度が急上昇、事業を拡大して、共産党の下部組織・共産党青年団から「優秀青年」として表彰されるなど、党とのかかわりも出てきた。

そのため、AKB48と決裂している事実に加えて、SNH48は日本公演がやりづらくなっているのかもしれない。

女性アイドルグループを含む、アニメ、漫画、ゲーム、コスプレなど、二次元系の日中交流や、ジェイ・チョウ(周傑倫)のようなポップス系のアーティスト、EXOのようなアイドルグループは、もしかするとファンキー末吉さんの視界に入っていないのかもしれない。

つまり、音楽を通じた日中交流は、もはや「とてつもなく大きな一歩」といったような、大げさなものである必要性が、そもそもなくなっている。

たとえば、毎年、夏冬に開催されているコミケは、のべ入場者数50万人らしいが、たぶん中国人を数えれば数千人はいそうな気がする。

いま日本に留学しに来ている中国人の若者の多くが、日本のアニメや漫画がきっかけで日本語を勉強し始めているからだ。

ところで、德雲社の今回の来日公演のエピソードとして、ファンキー末吉さんは中国人スタッフが宣伝トラックを走らせたことを書かれている。

SNH48グループは去年の夏、AKB48と決裂後、2016/07開催の第三回総選挙の前に、同じように宣伝トラックを走らせている。

日本でCDを販売しているわけでもなく、日本のメディアで総選挙コンサートが放送されるわけでもないので、この宣伝トラックはほぼ無意味だ。

それでも日本のアイドルオタクに、AKB48に対抗して存在感を見せつけてくれるところがたくましい。

根っからのロッカーであるファンキー末吉さんには、こういうサブカルチャーの日中交流が、たぶん見えていないんだろうと思う。