東芝製SSD THNSNF128GCSSのS.M.A.R.T.値がおかしなことになっている件(10)

同一PCに異なるメーカーのSSDを接続して、東芝製SSDのS.M.A.R.T.値だけが日々寿命が短くなる方向に変化していくことを検証しているが、この連載も10回目になった。

WMI(Windows Management Instrumentation)のWin32_DiskDrive命令を発行すると、なぜか東芝製SSDだけが、寿命が短くなる方向にS.M.A.R.T.値が変化していくという、東芝製SSDの不具合を検証する実験だ。

おさらいしておくと、Win32_DiskDriveはディスクへの読み書きを実行する命令ではなく、単にそのパソコンに接続されている物理ドライブを列挙するだけの命令のため、ディスクの寿命を縮めるのはおかしい。

あくまで検証なので、PowerShellというWindowsのバッチ処理をするプログラミング言語を使って、普通の状態では起こりえないような、毎秒数十回という頻度でWin32_DiskDrive命令を発行している。

PCに接続した東芝製SSDは途中から2台に増やしたのだが、THNSNJ128GCSUの方は1週間以上つづけてもAD値(東芝製SSDのS.M.A.R.T.値のうち残り寿命を示す値)が2しか減らない。これなら致命的な不具合にはならないだろうとみなして、別の目的で流用することにした。

残りの東芝製SSD THNSNF128GCSSの方は、順調にAD値が減りつづけている。つまり、実際にはSSDは「すり減っていない」にもかかわらず、S.M.A.R.T.値の不具合のせいで寿命が短くなっているように「見える」。

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検証開始20日で初期値の200が160まで減った。東芝製SSDのウェブサイトのサポート情報によれば、AD値が100を切ると東芝製ディスクユーティリティーが入っているパソコンの場合、ディスクを交換するよう警告が表示され、東芝としては交換しなければ品質保証はできないということらしい。

なのでこのペースで行けば、あと30日で交換が必要な状態まで、この東芝製SSDのS.M.A.R.T.値を減らすことができる。

少なくともディスクドライブ列挙の命令で寿命が短くなるように見えるという「不具合」のあるSSDについては、東芝は製品回収(リコール)をすべきだろうと、個人的には考えている。

もちろん、東芝がそうしないことは分かっている。

電子デバイス事業は今の東芝にとって業績回復の切り札、唯一の2ケタ営業利益率を誇る優良事業だ。その事業でわざわざ損失を発生させるようなリコールをする余裕は今の同社にはない。

それでも日本のあちこちで使われている東芝製パソコンの一部には、東芝製SSDが入っていて、そのうち一部の型名は、上述のように余命を示す数値がSSDの実際の余命とは無関係に減っていく。

最後にSanDisk製、Crucial(Micron)製のSSDでは、まったく同じ条件、つまり同時にWin32_DiskDrive命令を毎秒数十回発行しても、検証開始時点からS.M.A.R.T.値全体が「温度」を除いてまったく変化していないこと示しておく。

↓SanDisk製のSSDはシステムドライブ(C:ドライブ)なので、読み書きが頻繁に発生する。それでもS.M.A.R.T.値に変化はない。
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↓Curcial製のSSDは、ダウンロード先ドライブ件、動画編集用データの保存ドライブとして使っているので、こちらも大きなサイズの動画データの読み書きが発生する。それでも余命を示すAD値「97」は、検証開始時点から変化はない。
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↓問題の東芝製SSDには、データの読み書きはまったく行っていない。この検証のためだけに購入して、アイドル状態でSATA接続してあるだけである。それでもAD値が200から160まで減りつづけている。
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いま試されているのは、歴史ある大企業としての「良心」が同社の従業員に残っているかどうか、かもしれない。

(偉そうなことを書いてすみません。筆者にこんなことを書く権利がまったくないことは分かっています)