友人の陥ったカフカ的状況(5)

(つづき)

(注記:あまりに誤解が多いので注記しておくが、下記の内容はソリトンシステムズ社の「DME」という製品とは全く無関係である。くれぐれも誤解のないようお願いしたい)

友人の自宅に届いて、友人が受け取らずにスルーした内容証明郵便にあった弁護士の名前が、製品Dの導入業者であることをなぜ友人が確信したのか。それは、製品Dの導入業者がさらに友人の私生活に介入してきたからだ。

製品Dの導入業者は、友人が内容証明郵便を無視したことがわかると、またもや第三者を巻き込む卑怯なやり方を使ってきたらしい。

振り返ってみると、製品Dの導入業者が、友人が勤務先で製品Dに反対するのをやめさせるために使った最初の方法からしてすでに、友人の勤務先を巻き込むという卑怯な方法だった。

つまり、友人の勤務先の公式サイトの問い合わせ窓口に、友人の名前で苦情のメールを入れ、あたかも友人が「自作自演」で勤務先の内部に騒ぎを起こしたかのような濡れ衣を着せるという方法だ。

とてもよく考えられており、かつ非常に卑怯な方法である。

そしてその次には、友人の上司に直接、友人についての苦情を入れるという、やはり普通では考えられない方法をとった。

もしあなたの勤務先に製品を納入している業者が、あなたがその製品を不採用にするよう上司に進言したからという理由で、あなたの上司に直接、あなたのプライベートのブログをチクったとしたら、あなたはどう思うだろうか。

「信じられん!」と思うだろう。少なくともまともな企業の使う方法ではない。

そして製品Dの導入業者は、再び第三者を巻き込む方法で、友人の口封じをしようとした。今後は友人がブログの開設に使っていたレンタルサーバー業者を巻き込んできたのだ。

製品Dの導入業者は、友人の利用していたレンタルサーバー業者に、次のような主旨の連絡をしてきた。「友人のブログは製品Dに対する営業妨害である。したがって友人がブログをただちに削除しなければ、レンタルサーバー業者も営業妨害で訴える」という連絡だ。

その結果レンタルサーバー業者から、友人のところに、製品Dの導入業者からそのような連絡があったので、事実の確認をしたい、というメールが届いた。

レンタルサーバー業者は、仮に製品Dの導入業者がレンタルサーバー業者を営業妨害で訴えて損害賠償を請求してきた場合、その賠償金額を友人に請求せざるを得ないと書いてきたらしい。

しかし、そもそも友人の書いていたブログは、さまざまなネット上の記事や、製品Dの導入業者のニュースリリース、そして競合製品である製品Gの開発元のニュースリリース、IT業界の市場調査会社のレポートなど、客観的な証拠の積み重ねで、製品Dより製品Gが有利だと論証した内容である。

それを「営業妨害」だと主張すること自体に無理がある。

また、そもそも営業妨害は、製品Dの売上が伸びることによって損失を被る「企業」に対してしか成り立たない。

一人の私人に対して営業妨害だと言うためには、威力業務妨害など、直接、その企業の営業活動を妨げるような行為をしている必要がある。

例えば友人が、製品Dの導入業者に直接、「製品Dを販売しつづけたらおたくの社員の身に危険がおよぶぞ」という脅迫文を送る、などだ。そういった場合は私人についても営業妨害は成り立つだろう。

仮に、市場に存在する競合製品どうしを比較して、どちらが優れている、どちらが劣っているということをブログに書くこと自体が「営業妨害」になるなら、インターネット上の製品比較記事は、低い評価を下された製品の開発販売元企業にとって、すべて「営業妨害」になるはずだ。

しかし実際にはそんなことはない。

インターネット上のさまざまなメディアが、製品比較記事を大量に書いて、明らかに優劣をつけ、それを参考に製品選定をする一般読者がいる。

これはインターネット上で発言する人たちに、当然のこととして保証された言論の自由だし、情報収集のためにインターネットを利用する読者側にとっても、当然のこととして享受できる言論の自由だ。

ところが製品Dの導入業者は、友人の製品比較ブログに「営業妨害」というそもそも無理のあるレッテルを貼った上に、レンタルサーバー業者にも「営業妨害の幇助で損害賠償請求するぞ」という脅しをかけて来たのである。

常識的に考えて、ムチャクチャなやり方だ。

しかし友人には製品Dの導入業者と法廷で争う時間も、お金もない。やむを得ず友人はブログのすべての記事うち、製品Dと製品Gを比較した記事をすべて削除した。

その結果、ようやく製品Dの導入業者からの追求がなくなった。

製品Dの導入業者は、少なくとも日本語圏のインターネットから、製品Dに関するマイナス評価を、憲法にうたわれた言論の自由を「弾圧」することで、無くすことに成功したのだ。

逆に言えば、それくらいしなければ、日本市場で製品Dは製品Gに勝つことが難しかった、ということの証明になっている。

おそらく製品Dの導入業者も、製品Gとまともに競合すれば勝ち目がないことは分かっていたのだろう。

競合する製品Gについて、日本語の情報がほとんど存在しないあいだに、友人がブログに日本語で書いていた製品Gと製品Dの比較記事を、徹底的につぶす必要があったのだ。

だからこそ、製品Dの導入業者は、友人の勤務先や、レンタルサーバー業者をも巻き込むという、少なくともコンプライアンス上、大いに問題があると思われる方法を使って、友人のブログ記事を削除させた。

しかし、友人の製品評価が結局は正しかったことは、その後のじっさいの日本国内の同種の製品の市場動向が証明してくれた。

(つづく)