(つづき)
(注記:あまりに誤解が多いので注記しておくが、下記の内容はソリトンシステムズ社の「DME」という製品とは全く無関係である。くれぐれも誤解のないようお願いしたい)
友人の予想どおり製品Dの導入業者は追撃を仕掛けてきた。
すでに製品Dの導入業者は友人の自宅住所やプライベートの携帯電話などの個人情報を、どこからどうやってか入手していたので、友人の自宅に内容証明郵便が届いたのだ。
その内容証明郵便は友人が不在の間に届いたので、不在通知だけが投函されていた。不在通知には弁護士事務所と差出人名が書かれてあったので、友人はさっそくインターネットで検索してみた。
すると企業法務を担当している弁護士であることがわかったので、おそらく製品Dの導入業者の顧問弁護士だろうと推測できた。
友人はプライベートで弁護士のお世話になるような面倒なことを抱えていなかった。なので、突然弁護士から、しかも企業法務の弁護士から内容証明郵便が届くということは、製品Dの導入業者しか考えられなかった。
友人はその内容証明郵便の不在通知を放置することにしたらしい。内容証明郵便は受け取ってしまうと法的に有効になってしまうことを、友人は知っていたようだ。なのでその郵便を無効にするために、あえて不在通知を放置した。
その後、内容証明郵便は再配達されてくることはなかったが、これで管理職T氏と製品Dの導入業者の密接な関係が「証明」されたと、友人は確証したらしい。
なぜか。
最初に会社の広報担当者に呼び出された後、友人は管理職T氏とその上司に呼び出された。
そして管理職T氏とその上司に対して、「製品Dの導入業者が個人のブログの内容に不満があるのであれば、そのブログの作者に直接抗議すればよい」と反論していたからだ。
この友人の反論と、その後に製品Dの導入業者がとった内容証明郵便を送るという行為が、不思議なほど一致している。
友人が反論した席には、友人と管理職T氏とその上司の3人しかいかなったのに、その直後、導入業者がとった行動は友人の反論に一致している。
ということは、管理職T氏がふたたび製品Dの導入業者に、友人を呼び出した結果をリークしたとしか考えられない。というより、そう考えるといちばん納得がいく。
おそらく製品Dについて導入業者と打合せがあったとき、管理職T氏は雑談っぽく業者に、「例の反対している社員が『ブログに不満があるなら、会社に抗議せずにブログの作者に直接抗議すべきだろう』なんて反論をしてきたんだよ」と話したに違いない。
その結果が、製品Dの導入業者から友人に届いた内容証明郵便の不在通知だ。
重要なことは、管理職T氏が導入業者に社内事情をリークしなければ、導入業者は社内で反対しているのが友人だと特定することもできなかったし、そのブログの作者イコール友人だと特定することもできなかったということだ。
そしてさらに重要なことは、導入業者がいったいどうやって友人の自宅住所やプライベートの携帯電話番号などの個人情報を入手したのかということだ。
友人は、その導入業者と勤務先で名刺交換さえしていないらしい。面識もなかったらしい。
にもかかわらずその導入業者が友人の個人情報を入手するには、友人の勤務先での作業中に何らかの不正な手段を使うしかないはずだ。
管理職T氏は社内の秘密を業務目的外で、その導入業者に意図的に漏えいしている。そして導入業者は、業務に必要のない友人の自宅住所などの個人情報を不正な手段で入手している可能性が非常に高い。友人はそう判断している。
管理職T氏も導入業者も、どちらも業務に無関係な情報を意図的に漏えいしたり、不正な手段で入手したりしている。そうでなければ、友人の自宅にまで、導入業者からの執拗な追撃が始まるはずがない。
ただ、友人の想定外だったのは、製品Dの導入業者の追撃が、それだけでは止まらなかったことだ。
製品Dの導入業者は顧問弁護士と思われる人物を使って、さらに執拗に友人の私生活に介入してくることになる。
その結果友人は、その弁護士が間違いなく製品Dの導入業者の顧問弁護士であること、内容証明郵便を送ってきていたのがその導入業者であることの、間接的な「証拠」をつかむことになる。
(つづく)