そんなに甘くないかもしれない同業他社との関係について

今日は、世の中そんなに甘くないというお話。ある大企業Aが、システム開発子会社aを持っていたとする(資本関係があるという意味だ)。

そのシステム開発子会社aが、親会社のAと同業の中堅B社から、比較的大きな情報システム導入案件を受注したとする(a社とB社の間に資本関係は一切ないとする)。

そしてB社がa社を選定した理由が、a社がA社に同様のシステムを導入して成功したことだと仮定しよう。

この場合a社は、B社案件に成功しても失敗しても、親会社Aの連結利益に貢献できる。そのため、a社はB社案件を何としても受注する理由がある、というお話。

まず、a社がB社案件に成功した場合。当然a社は順当に利益をあげ、B社とも良好な関係を築け、親会社A社の連結利益にも貢献できる。

一方、a社がB社案件に失敗した場合。短期的にa社は損益が悪化するが、A社とB社の規模の違いから致命的な損失にはならない。

しかも、同様のシステム導入について、同じa社が、A社では成功したのに、B社では失敗したという事実を第三者が知った場合、ふつうはa社ではなくB社に原因があると考えるだろう。

つまり、a社はB社案件に失敗することで、同じ業界の中でB社に対するA社の評判を高めることができる。

a社がA社以外の企業にも同様のシステムを導入し、複数の成功事例を持っている場合は、なおさらB社の社会的評価は落ちる。

これによって、A社とB社が本業で競合したとき、a社は結果として親会社A社により有利な状況を作り出し、長期的にA社の連結利益に貢献できる。

以上のように、a社は以下の2つの条件が満たされる限り、B社案件には成功しても失敗しても、親会社A社の連結利益に貢献できることになる。

(1)親会社のA社とB社が同業であること。
(2)A社とB社に導入したシステムが同様のシステムであること。

こういう状況がじっさいに起こった場合、B社の立場に立てば、他のシステム開発業者ではなく、a社を選択することによって、より大きなリスクを負うことになる。

成功すればA社とa社のグループの社会的評価を高め、A社との競争において不利な状況になるリスクがあるし、失敗すれば投資対効果を得られないだけでなく、自社の社会的評価を落とす。

B社が十分に賢明で、このようなリスクを認識できれば、a社を選ばないだろう。

しかしB社が十分に賢明でなく、このようなリスクを認識できないとすれば、その理由はいくつか考えられる。

一つは、B社が自社の社会的評価を過大評価しているからかもしれない。
また、システム導入の成功について楽観的過ぎるからかもしれない。
さらに、a社の損得抜きの善意を信じ過ぎているからかもしれない。

ただ、なかなか自分自身の状況を客観視することは難しいことも事実だ。