有休消化義務付けでも日本企業の働き方は絶対変わらない件

厚労省が労働時間の短縮を目的として、労基法を改正して、企業に有休消化を義務付けする検討を始めたようだが、罰則をつけてもどの企業も守らないだろう。

被雇用者が有休を消化しないのは、雇用者に対する遠慮ではなく、同僚である被雇用者に対する遠慮があるからだ。

日本社会における「空気の支配」は、権力者の支配ではなく、権力者ではない一般の人々がお互いを監視しあうピア・プレッシャーの支配だ。

なので、たとえ企業が従業員に対して有休を取得するように義務付けたとしても、形の上だけ有休申請して、自宅で仕事をするなどのルール回避が横行することは目に見えている。

しかも、企業が従業員に対して、有休計画を提出するように求める時点で、日本企業はそもそも職務分掌が明確でなく、ジョブ・ディスクリプションもなく、同じ仕事を複数人で共有する仕事のスタイルで、当面の仕事が管理職のその場その場の恣意的な意思決定で決まる企業がほとんどなのだから、有休の計画なんて立てられない。

なおかつ、日本企業では他人の分の仕事まで自分から積極的に引き受け、自分に属人的な仕事を増やすことで、職場で発言力を持ち、初めて出世できるという仕組みなので、出世への動機付けが強い社員ほど、自分から有休を取得することを拒否する。

自分から有休を取得することを拒否するタイプの社員が、結果として会社から高く評価され、昇給へのインセンティブ自体が変わらないのだから、たとえ法律が改正されても、日本企業の社員の働き方が変わるはずがない。

出世をあきらめることで、しっかり有休をとっていた社員は、相変わらず有休をとるだろう。そして出世のために有休をとらず、残業もいとわない社員は、相変わらず長時間労働を続けるだろう。

被雇用者(従業員、社員)の側に、長時間労働をする方が出世に不利になるという明確なインセンティブが新たに示されない限り、日本の会社員の働き方は変わらない。

日本の長時間労働を、法制度の改正で改善しようという議論は、ことあるごとに過去の政権でも蒸し返されてきたが、21世紀も14年目になった今でも、典型的な日本企業の働き方は全く変わらない。

変わらないどころか、非正規雇用による労働力の「使い捨て」が増え、そもそも正社員として有休をとるかとらないかの選択肢さえ得られない人々が増えている。

そうやって日本の少子高齢化はこのまま加速度的に進行し、ドルベースのGDPも減少し、ますます国際的な地位が低下するということになる。こういう日本の未来を変えることは、すでに既得権益を持っている今の日本の意思決定者には不可能だ。

静かに絶望しつつ平和な日本で暮らし続けるか、能力のある人は日本をさっさと脱出して海外で生活すればいい。