『alan concert 2014 阿蘭家族大集合』チケット販売における機会の不平等

2014/05/24(土)、3年ぶりに開催のalanのコンサートだが、チケット販売でavexがちょっとした問題を引き起こした。おそらくavex自体は問題だと認識しておらず、一部のファンが抽選に外れて感情的になっているだけだと認識している。

以下、何が問題なのかを詳細に説明する。

まず2014/03/14に公式Facebookで「チケット最速先行受付のご案内」が発表された。

「最速先行受付」かつ「申し込み多数の場合は抽選とさせていただきます」と書かれているので、avexが意図的に初回販売枚数を制限して、後日、二次、三次受付を行うと考えるのが普通だ。

そもそも800席規模のコンサートで、複数回抽選によるチケット販売を行うのは、チケットを完売させるための手法(ハングリーマーケティング)として一つの選択肢ではあるが、企業の社会的責任の観点から適切とは思えない。

これは今回のalanコンサートに限ったことではない。

最も公正な販売方法は次のようなものだ。

1公演あたり販売回数は1回。先着順ではなく抽選制にする場合は抽選も1回限り。当選者から辞退者が出た場合は、運営側で落選者から再度抽選を行い、キャンセル待ち当選として追加当選者に通知。

これで運営側も1公演あたりの募集コスト(チケット販売会社のシステム利用料等)を1回分に抑制でき、顧客も1回応募するだけでよい。運営も顧客も利点がある最善の方法である。

ただしチケットが完売しない可能性がある場合、今回avexが行ったように、顧客の「飢餓感」をあおるために意図的に複数回に分けて数量限定で発売する方法がある。中国大陸ではスマートフォンメーカー「小米」が採用したオンライン販売方法として有名だ。

筆者個人は、alanが日本での活動で一貫したマーケティング戦略として、「音楽に国境はない」や「alanファンは家族です」等、いわゆる理想論(きれいごと)のメッセージで訴求しているので、今回のハングリーマーケティングのような手法を取るのは、ファンに対する裏切り行為だと考えている。

百歩譲って、チケット販売の当落でファンを失望させたり喜ばせたり、また落選したファンに複数回申込みさせたり等、嗜虐的なマーケティングもやむを得ないとしても、今回は別の問題がある。

それは、1人あたり最大4枚まで購入できるという設定だ。この点は明らかに顧客を属人的な条件によって差別しており、許しがたい。

具体的には以下のような理由だ。

今回のチケットは入場時に身分証明書等による本人確認がないので、余分に購入したチケットを他者に譲渡することを、avex自身が黙認していることになる。

その結果、余分なチケットを相互に譲渡し合える顧客どうしが連携することで、1枚のみ必要としている顧客のチケットの入手確率を現実に低くすることができる。

あえて下品な言葉づかいで表現すれば、仲良しファン集団がつるんで「買い占め」に走ることで、1人で参加するファンの当選確率を下げることができる。

avexに悪意はなかったかもしれないが、1人あたり最大4枚まで購入でき、かつ各回の販売数量を制限することは、このような結果を生む。

実際、日本でも中国でも、複数枚当選して譲渡し合っているファンがおり、そのような譲渡し合える関係のないファンは、2次販売、3次販売に再応募せざるを得なくなっている。

合計800枚程度の少量の販売数であるにもかかわらず、1人4枚も購入を許すことで、集団で参加できるファンと、個人で参加するファンを、明らかに差別している。

ここからあえて皮肉を言わせていただくが、これこそ『alan concert 2014 阿蘭家族大集合』というコンサートの題名の真意である。「阿蘭家族」に入れない個人ファンは参加のハードルを上げるぞ、という意味だ。

alanファンは横のつながりを持つべきであり、4枚購入で当選したチケットを融通し合える関係を構築できないような孤立したファンは、その代償として、当選するまで何度でも応募せよ、という意味である。

そんな悪意は毛頭ないというなら、avexは販売方法を直ちに見直すべきだ。

参考までに、筆者がAKB48のチケット販売方式を知ってからまだ半年しか経たないが、チケット販売に限定して言えば、avexの今回の方式よりはるかに良心的である。

(1)まず、AKB48は東京ドームや国立競技場規模のコンサートでさえ、入場時に本人確認があるので、チケットの譲渡や転売はほぼ不可能である。

(2)次に、辞退者が出た場合の再抽選は運営側が実施し、キャンセル待ち当選を出すので、顧客側が2回、3回と応募する必要がない。

(3)また、1人で複数枚購入する場合は「ファミリー・カップル枠」等としてチケットを譲渡できる相手が制限されており、無関係の他者への譲渡は不可能である。

以上のような制度設計になっているので、抽選によって顧客に与えられる機会は平等である。

その代わりAKB48の運営は、事前に「遠方枠」「会員枠」などで顧客の当選確率に区別をつけているが、この区別自体は公開されており、「会員」になる方法も公開されているため、機会の平等は確保されている。

今回のavexのalanチケット販売のように、顧客の個人的な状況・環境によって機会の不平等が生じるような制度設計にはなっていない。

以上

追記:
当然筆者はAKB48運営を全肯定しているわけではない。CDを握手券の付録に貶めている点や、ファンから金銭を搾取する自己啓発セミナー的な巧妙さなど、AKB48運営の非難すべき問題点は多数ある。この記事ではチケット販売に限定してavexの問題点を指摘しているにすぎない。したがって「AKB48もヒドい」等、筆者がすでに認識している問題点の議論は別の機会にしてほしい。