自分の誤りに気づこうとしない人は、その失敗を静かに見とどけてあげよう

民間企業に限らず、さまざまな組織には、組織の目的や利益より、自分の利益やプライドを優先する人が、一定の割合で、かならず存在する。
民間企業であれば、企業の利害関係者、つまり、顧客、株主、従業員などの利益を優先させるのは当然だ。
ところが、組織での名誉や地位を失うのを恐れるあまり、自分の利益やプライドを優先させるという誤りを犯している人は、どんな民間企業にも必ず存在する。
そういう人に、「あなたは組織の利益より自己の利益を優先していますよ」と、事実を伝えても、感情的になるだけで、決して考えを改めることはない。
自分の考えを改めること自体、自分のプライドを否定することになるからだ。
したがって、往々にしてそういう人は、何か失敗をして初めて、自分が組織の利益より、自己の利益や名誉を優先していたことに気づく。
もちろんその時には、もう手遅れだ。
なぜそういう人は必ず失敗をするのか。それは、組織内の信頼を少しずつ失っていくからだ。
周囲の人々は、うわべはその人の意見を受け入れるが、行動ではその人の意見を裏切るようになる。
この状況は、重要なシグナルだが、そういう人はこのシグナルを見逃す。
すると、その人が主張していることと、じっさいにその組織で実行されることの食い違いが、どんどん大きくなっていく。
その人は、当然、自分の主張を意地でも実行させようとするが、すでに信頼を失っているため、正常でない手段を使わざるを得なくなる。
たとえば、以下の様な手段だ。
(1)組織の外の力を利用して圧力をかける。
(2)有無を言わさず恫喝する。
(3)特定の個人を攻撃する。
(4)周囲の人々どうしが対立するように仕向ける。
(5)周囲の人々どうしが直接コミュニケーションをとる手段を奪う。
(6)周囲の人々を分断するため、組織の「タテ割り」を強化する。
だが、そうやっても、ますます信頼を失うだけで、最終的にはその人の主張が全く実行されない状態になり、その人は失敗する。
くり返しになるが、そういう人は失敗するまで、自分が組織の利益より、自分の利益を優先していたことに気づかない。そのため、ほぼ必然的に失敗する。
なので、もし周囲にそういう人がいる場合は、少しずつ周囲の信頼を失い、失敗に向かって転げ落ちていくようすを、静かに見とどけてあげよう。
それが、自分で気づこうとしない人間に対する、優しさであり、寛容である。