alanの新譜『Love Song』について中国人ファンの鋭いコメント

alanの中国帰国後、はじめてのアルバム『Love Song』について、率直な感想を中国ツイッター(新浪微博)に書き込んでみた。
先日の記事をすべて伝える中国語力は僕にはないので、各曲について感想を短く書いただけだ。それでも、いくつかおもしろい反応があった。
とある中国人alanファンは、中国で民族色を押し出している歌手の中では、alanの歌唱力はごく普通のレベルだと書いてきた。
今回の『Love Song』の冒頭のイントロや、いくつかの曲に入っているチベット・フェイクでも分かるように、明らかにもalanは帰国後も、日本デビュー曲『明日への讃歌』のようにチベット民族色を鮮明にしている。
韓紅などチベット民謡の達人と比べると、alanの歌唱力はごく普通のレベルだというのはおそらく本当なのだろう。
さらにこのファンは、alanの鋭く細い声質がポップスに不向きだと書いている。たしかに倍音成分が多く、高く鋭く響くalanの声質は普通のポップスのアレンジではやや浮いてしまう。
チベット民族色を前面に押し出す点では、薩頂頂という強烈な個性をもつアーティストが、すでに欧州でも一定の評価をされている。
薩頂頂のように、本物か偽物かは別として、世界中の誰もが「チベット風」と認識できる、とてもわかりやすいチベット民族色のアーティストがいたのでは、alanはチベット民族路線においても非常に不利だ。
このファンは、新しい事務所の楽華娯楽のプロデュースが失敗すれば、alanは文工団の目立たない一チベット民謡歌手になってしまうかもしれない、とまで書いていた。そして「伯楽」こそが重要なのだと。
文工団とは、「百度百科」によれば「文芸工作団。中国共産党の指導のもと、中国の工農紅軍宣伝隊の伝統を受け継ぎ、歌唱、舞踏、演劇などさまざまな形式で宣伝活動を展開する、総合的な文芸団体」とある。
要するに共産党のプロパガンダ・アーティスト集団だ。alanは解放軍芸術学院卒業だけに、なるほどありえないことではない。中国のalanファンが、そこまで現実的で冷徹な分析をしているところからも、alanの微妙な位置づけがうかがえる。
さて、今回のアルバムの中で、中国人と日本人で評価が最も分かれそうなのは『以愛相宜』かもしれない。
僕の個人的な感想として、中国の時代劇ドラマの主題歌みたいで、何がいいのか分からないと書いたら、かなりの反論があった。あの中国風のメロディーが良いのだ等々。
ただ、春節晩会を思い出させて、あまり好きじゃないというコメントもあった。
中国の若者の中でも、毎年恒例の長時間にわたる春節晩会は、マンネリだしダサくて見てられないという人と、中国人にとって欠かせない風物詩と見る人がいるらしい。たぶん日本における紅白歌合戦よりも、アンチ派が多いのではないか。
また、『以愛相宜』について思わずほくそ笑んでしまったのは、ああいう種類の曲は中国人は好きにはならなくても、嫌いになることはない、「保険」だ、というコメントだ。
「保険」という表現があまりにピッタリすぎて面白かった。たしかに中国人なら誰もが受け入れられるメロディーの曲を1曲入れておくというのは、楽華娯楽としても「保険」の意図があったに違いない。
他にもいくつかコメントはあったが、いずれにせよ中国人のalanファンは妙な「盲信」に陥ることなく、はっきり賛否を書いてくれるので、個人的にはとても参考になった。