関越道バス事故の原因が中国的なるものなら、JR西日本脱線事故の原因は日本的なるものである

Business Media誠に、窪田順生という人物のやや問題のある記事を見つけたのでコメントする。
『窪田順生の時事日想:「関越道バス事故」と「中国の観光バス事故」の共通点』 (2012/05/08 08:02 Business Media 誠)
窪田順生氏は、関越道バス事故の1週間前に中国で起きた観光バス事故を引きあいに出し、関越道バス事故の運転手が中国出身であることにふれる。そして以下のように書く。

「日本人のモノサシではかるから『異常』にみえるだけで、中国国内で観光ビジネスをしている者と思えば、さして驚くことでもない」
「日本では安全面で『アウト』のことが、中国では『セーフ』としてスルーされることが多い」
「元警視庁通訳捜査官の坂東忠信氏の『日本が中国の「自治区」になる』(産経新聞出版)によると、『日本に滞在する残留孤児関係者のほぼ九割が偽物』らしい」
「第二、第三の『河野化山』たちに『日本の安全ルール』をきっちりと叩き込む仕組みをつくるべきではないか」

この記事の何が問題かといえば、言うまでもなく、運転手の安全意識の低さという問題を、ほぼ全面的に、運転手が中国人だから、としている点だ。
ある人物が何かの事件や事故を起こしたとき、その原因が生まれつきの属性にあると論じるのは、純然たる差別である。
たとえば、事件や事故の当事者が、極貧の家庭で教育水準が低かったり、沖縄人だったり、日本に住んでいるイラン人だったり、「てんかん」だったり、広汎性発達障害だったり等々、「ふつうの日本人」と違った生まれつきの属性を持っていると、それが主因だと論じる人間が必ず出てくる。
窪田順生という人物も、その一人だ。
自身がちょっとした中国通であることを誇示しつつ、関越道バス事故の主因が、中国人に「『日本の安全ルール』をきっちり叩き込む仕組みを」つくってこなかったことだと断定している。
これが、「日本は在日外国人に積極的な同化政策を進めるべきだ」という、日本の移民政策に対する提言であればまだ傾聴に値するが、氏の議論はそうではない。
窪田順生なる人物は、例えばJR西日本の脱線事故についても、運転手が日本人であることが主因だと主張できるだろうか。「日勤教育」などの「日本的」企業体質が主因だと主張できるだろうか。
もしも窪田順生なる人物が、「日勤教育」なる「日本的なるもの」は事故原因にならず、「安全意識の低さ」という「中国的なるもの」は事故原因になると考えるなら、それは差別以外の何ものでもない。
こういうナイーブすぎる差別意識には、ただ唖然とするばかりだ。