深夜時間帯アニメ作品の多様性

TVアニメ『侵略!?イカ娘』のオリジナル・サウンドトラック2のジャケットが面白い理由が分からない人がいるといけないので、比較画像をアップしておく。
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要は1990年代にカリスマ的な人気を誇ったロックグループ、ニルヴァーナの大ヒットアルバムのジャケットのパロディでした、というわけだ。
ところで『侵略イカ娘』というTVアニメだが、単なる「スクール水着少女萌え」作品だと完全無視していたが、実際見てみると意外に良かった。
24分間に3つのエピソードからなるという、番組フォーマットとしては『サザエさん』と同じで、脚本の内容も実は『サザエさん』なみに平凡な笑いに満ちている。
深夜時間帯に放送されているアニメを、生まれて初めて、ここ半年くらい集中して見ているが、ほとんどの作品には男性視聴者をひきつけるための「釣り」要素として、エッチな場面が散りばめられている。女性の水着姿や入浴シーン、なぜか途中で半裸になる変身シーンなどだ。
『イカ娘』もオープニングに、主人公のイカ娘の水着シーンはあるが、本編で「釣り」としてのエッチな場面が出てくることはほとんどない。
『イカ娘』の物語はよくある貴種流離譚のコメディ版だ。異界人が突然、人間のごく普通の日常生活に放り込まれ、あたふたしながら人間たちとの親交を深めていくという、心温まるな物語である。
当然、深夜時間帯のアニメということで、オタク向けの設定や引用は随所に散りばめられている。例えばイカ娘に「百合萌え」している女子の登場人物など。
それらをはぎ取ると、NHK教育テレビ(ETV)で放送してもいいのではないか、というくらい、『イカ娘』はほのぼのしたエピソードばかりだ。
些細なことからいがみ合ってしまった友だちどうしが、実はお互いのことを大事に思っていることに気づく、とか、平凡な日常の風景に自然の美しさや小さな冒険を見つける幸福とか、意外に普遍的なテーマが『イカ娘』のエピソードの背骨になっている。
もちろんイカ娘という可愛らしいキャラクター設定の妙もあるが、この作品の本質は何よりも脚本の良さにある。40男が不覚にも泣いてしまうエピソードもある。
「スクール水着少女萌え」という外見のせいで、この『侵略イカ娘』という作品が、深夜時間帯アニメファンのものだけになっているのは、かなり惜しい気がする。
ところで、深夜時間帯アニメのファンにとって、この種の「癒し系」作品が必須であるということは、他の深夜時間帯アニメを見ると分かる。
戦闘シーンで大量の血が噴き出すような「グロ」作品や、他人を身体的・心理的に虐待することを好むキャラクター、神経症のキャラクターなどが登場する「メンタル系」物語など、とにかく「精神衛生上悪い」作品が多い。
最近ではアニメ版『ブラックロックシューター』や、『未来日記』。その他『魔法少女まどかマギカ』や『輪るピングドラム』も後半になるほど神経症的な物語になった。
そういうものばかり見ていると『日常』や『イカ娘』、『けいおん!』『らきすた』『キルミーベイベー』といった「癒し系」アニメ作品を見ずにはいられなくなるのだ。
癒し系作品とは別に、『TIGER&BUNNY』や『輪廻のラグランジェ』など、友情というテーマを軸に視聴者を引きこむ「元気系」アニメ作品もある。その他、ほぼ純然たる「エロ」アニメもある。
今の日本のアニメは、そうした多様な性格をもつアニメ作品群がお互いを補完する一つの大きな体系を形成することで成り立っている。海外での日本のアニメ作品受容も、個別作品というよりは、その体系全体が受容されていると思われる。
ところが、深夜時間帯のアニメを見たことがない人は、一部の「エロ系」作品のせいで先入観をもち、多様なアニメ作品の全体を否定し、最初から見ようとしない。それが個人的には非常にもったいないなぁと思う。
少しでも興味を持たれた方は、バンダイチャンネルで、月額1,000円でほとんどの作品が見放題になっているし、第1話限定で無料という作品も多数あるので、ご覧になってはいかがだろうか。
『侵略!?イカ娘』第1話(視聴無料)