TPPについて、日経ビジネスのクズ記事とGIGAZINEの優良記事

日経ビジネスオンラインのTPP擁護記事がひどすぎる。
『「農業の守り方を間違った」元農水次官の告白』第1回 高木勇樹・元農林水産事務次官(日経ビジネスオンライン 『TPP亡国論のウソ』 2011/11/07)
『本当に重要なのはTPPに加入した後の戦略 TPPは亡国の政策か救国の政策か』(日経ビジネスオンライン 『小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論』 2011/11/07)
今日掲載されたこの2つのTPP擁護論、読者コメントを見ると痛烈な批判が目立つ。日経BP社は、今の時代の読者がマスメディアだけでなく、インターネットからもさまざまな情報を得られることの、本当のインパクトをほとんど理解していない。
前者『元農水次官の告白』にいたっては、TPP擁護論について、元農水官僚にインタビューするという、編集部の意図が見え見えの構成だ。
日経ビジネスオンラインの編集部は、次のように読者をバカにしているのである。
”TPP反対派の読者は、TPPにもっとも激しく反対しているのは農水官僚だと思っているに違いない。であれば元農水官僚にTPP擁護論を語らせれば、読者もTPPに賛成するようになるはずだ”
というぐあいに。日経ビジネスオンラインの読者もバカにされたものだ。こんな見えすいたやり口であっさり騙されるほど、ネット時代の読者はバカではない。
その証拠に、これら日経ビジネスオンラインの「クズ記事」と、次のGIGAZINEの良質な記事を読み比べてみるとよい。GIGAZINEのこれらの記事は、誰もが参照できる資料に語らせるという、よりフェアな方法でTPPのウラに隠れている米国の意図をあぶり出している。
日経ビジネスオンラインの編集部よりも、はるかに頭のいいやり方だし、読者に新しいインターネット上の資料を示すことで、議論をよりオープンな方向へ導いている。見えすいたやり口で読者の意見をTPP擁護の方向へ誘導しようなどという、姑息な手段はとっていない。
『アメリカで「TPP」を推進して米政府を操る黒幕たちの正体』(GIGAZINE 2011/11/04 22:16:48)
『TPPは全世界で反対されている、自由貿易ではなく公正貿易が必要』(GIGAZINE 2011/11/05 17:25:40)
これらのGIGAZINEの記事をざっと見てみよう。
前者は米国政府自身が作成しているウェブサイトを紹介し、米国政府が国内向けにTPPのメリットをいかに具体的に説明しているか、その資料をありのままに示すことに徹している。
そして後半では、日本で言う経団連にあたるTPP推進の圧力団体のウェブサイトを、その参加企業のリストとともに紹介することに徹している。
これら米国のウェブサイトを紹介することで、GIGAZINE編集部は、日本政府がいかにまずいやり方で意思決定しようとしているかをあぶり出している。
つまり日本政府は、日本国民に対して、これら米国のウェブサイトに相当するようなきめ細かい情報提供をまったくおこなわないまま、首相の「政治判断」という単なる独断で国の行方を決めようとしている。そういう日本政府のバカさ加減をあぶり出している。
さらに後者の記事、『TPPは全世界で反対されている、自由貿易ではなく公正貿易が必要』では、TPP反対論が米国内にも存在することを暴露し、さらに網羅的なTPP反対論の一覧表を示している。
そして記事の最後に、外交交渉とはどういうものかを、コンパクトかつ明解に示している。例えば次のように。

「TPPについて、賛成とか反対とかは問題ではなく、実は問題となっているのはただ一点、『今から交渉する余地は本当にまだ残されているのか』という点のみです」(同GIGAZINEの記事より引用)
「質問する中身自体が既に問題の本質を突いた答えになっており、あとは相手がどのように回答しても問題なくさらに先へ話を進められるように持っていく、これが『交渉』です。(中略)『交渉』と『話し合い』は違うのです」(同GIGAZINE)
「TPPに関する議論はほとんどが問題の範囲を農業などに『矮小化』することと、『TPPに賛成か反対か』という極端な選択肢に集約されています。(中略)これもまた『交渉』の一パターンであり、今の日本は上から下までこの『交渉』にうまくのせられ、既に操られてしまっている、というわけです」(同GIGAZINE)

つまり、日経ビジネスオンラインのように、「TPPに賛成か反対か」という選択肢を前提にし、まして読者をTPP賛成へ誘導するような記事を書いてしまうこと自体が、すでに日本がTPPの「交渉」において、主導権を失っており、ただあやつられているということの何よりの証拠である。
GIGAZINEの記事はここまで議論を詰めているのだ。
日経ビジネスオンラインとGIGAZINEの、どちらがまっとうな社会人の読むべき良質なウェブサイトか、言うまでもないだろう。