野次馬レベルのIT系オンライン媒体

iPhone4Sが登場して、iPhoneの旧機種も基本ソフトをiOS5に更新できるようになり、Androidも通称「アイスクリーム・サンドイッチ」とよばれるバージョン4が登場し、NTTドコモから韓国サムスン製の端末がまもなく発売されるという。

他方では、三菱重工など、日本国内の軍事産業にかかわる企業が、外部からネットワーク攻撃にあい、外務省までウイルス感染の被害にあうという事件が報道されている。
スマートフォンの最新基本ソフトと、今までなかった日本の政府機関を狙ったネットワーク攻撃(サイバー攻撃)がこれだけ話題になっている。
にもかかわらず、どのIT系オンラインメディアも、企業で最新基本ソフトを搭載したスマートフォンを業務利用する場合、セキュリティ上どういう点が問題になるかを全く取り上げないのは、どういうことだろうか。
Android 4を搭載した、サムスンのGalaxy Nexusで顔認識によるユーザ認証ができるなんてことは、企業のスマートフォン・ユーザにとっては、はっきり言ってどうでもいいことだ。
いままで業務利用上、iPhoneに対してAndroidが決定的に劣っていたのは、端末内のデータを基本ソフトのレベルで保護する機能だった。そしてうわさによれば、Android 4ではそれが可能になったらしい。
業務利用を想定している読者がいちばん知りたいのは、まさにその点に違いないのに、IT系のオンラインメディアはこの点を通りすがりにサラッと触れる程度で、ほぼ無視している状態だ。
たぶんIT系のオンライン媒体に記事を書いている記者の多くが、フリーランスで、ある程度の規模の企業でスマートフォンがどのように使われるか、分かっていないからだろう。
以前、日経ITProに「Dropboxを業務に活用しよう!」という、企業の機密保護上、重大な欠陥のあるトンデモ記事があり、この「愛と苦悩の日記」で批判したことがある。
そのレベルの記者が相変わらず記事を書いているものだから、おそらく企業ユーザにとってAndroid 4の最重要の機能を、あっさり見落としているのだろう。
企業向けのIT系オンラインメディアが、企業内IT関係者の需要にこたえられないなら、そんなメディアに価値はない。せめて日経BP系くらいは、まともな企業向け記事を書ける記者を確保してほしいものなのだが…。
企業における情報端末は、スティーブ・ジョブズのような哲学的・審美的で華々しい使われ方をされているわけでは決してない。もっと実務的に、個人情報や機密情報の漏えいをどのように防止できるかといった、地味な機能が期待されているのだ。
*なお、この記事を書いたあと、ITPro ACTIVEというサイトにiPhoneとAndroid端末の業務利用についてのセキュリティ記事を見つけた。ただし無料会員登録が必要。
『iPhoneやAndroid端末も対象とするIT機器管理アプライアンス装置』 (2011/10/14 ITPro ACTIVE)