GALAPAGOSの失敗、シャープがようやく認める

この「愛と苦悩の日記」に「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」というエッセーを書いたのは、2010/09/28だ。
そのシャープがようやく、失敗を認めたらしい。
「電子書籍端末GALAPAGOSがAndroid 2.3端末に変身!」(2011/07/14 15:19 ASCII.jp)
以下、僕の単なる想像だが、シャープ社内の液晶デバイス開発陣は、液晶テレビ「AQUOS」や亀山の世界ブランド化の成功体験で、社内の政治力学において、営業部門より不当に強い発言力を持ってしまったに違いない。
ところが、液晶テレビがコモディティー化することで値崩れが進み、利益が出なくなった。
その打開策として、開発陣がプロダクト・アウトの発想で、利益率の高い小型液晶を、利益が出る価格で売り出すために開発したのが、電子書籍専用端末のGALAPAGOSだったのではないか。
たまたまアップル社のiPadの登場に合わせて、米アマゾンのキンドル、ソニーのReaderなど、電子書籍を読むためのタブレット型端末が普及し始めたので、それに便乗した。
ただ、汎用的なAndroidタブレットとして販売すると、汎用性のあるiPadとの差別化ができないので、あくまで流通経路の限定された電子書籍や動画コンテンツ専用端末の位置づけとした。
シャープの営業部門は、もしかすると次のように考えたのかもしれない。
日本では米国と異なり、書籍の流通が閉鎖的で、再販制度で書籍の価格が維持されている。そのため、コンテンツをそのまま電子化しても、米アマゾンのキンドルのように、コンテンツの価格を下げないと端末が売れない、ということは起こらないはずだ。
むしろ電子化されることによる検索性の向上や、何千冊もの本を持ち歩けるという利便性を、そのまま端末価格に付加価値として上乗せできると考えたのだろう。
というより、そういう理屈で、シャープの営業部門は、なんとか名誉挽回したい液晶デバイスの開発陣にねじ伏せられたのだろう。
結果は大失敗。iPadは日本では電子書籍端末として売れたのではなく、Twitter(ツイッター)などのソーシャルメディアや、ゲーム、さまざまなアプリを楽しむための端末として売れたのだ。
結局、日本でも米国同様、電子コンテンツが紙のコンテンツより安くなり、消費者が端末の購入代金を、電子コンテンツを購入することで「償却」できるようにならないと、本格的に電子書籍端末は普及しない。
あるいは、iPadやAndroidタブレットのような、汎用性のある端末に、たまたま電子書籍リーダーが入っている、という状態でなければ、誰も電子書籍など読まない。
成功体験に溺れたシャープの液晶デバイスの開発陣には、そういった「当たり前の理屈」が見えなくなっていたのかもしれない。
今回、GALAPAGOSが汎用的なAndroid 2.3タブレットとして使えるようになったことで、シャープはGALAPAGOSを、すでにコモディティー化したAndroidタブレットに対して価格競争力のある、相当安い価格に下げざるを得ないはずだ。
例えば、エイサーの「ICONIA TAB」は、すでにAndroidのバージョンが3.0になっており、価格は実売で35,000円からとなっている。シャープがこの価格でGALAPAGOSを売れば、生産ラインをより人件費の安い国に移さない限り、間違いなく赤字だろう。
シャープさん。ご愁傷さまでした。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。