サマータイムは原発を維持したい経産省のプロパガンダと思いたくなる

東京電力管内で電力供給不足が懸念される夏に向けて、マスコミがまたバカげた「サマータイム」キャンペーンを始めている。
サマータイムにどういう節電効果があるのか、具体的な説明もないまま、きわめて無責任なキャンペーンだ。
東京電力管内でいっせいにサマータイムを導入しても、電力消費ピークの「分散」効果がないのは当たり前。やるなら「時差出勤」、つまり企業ごとに標準勤務時間帯をズラす方式でなければ、まったく意味がない。
今朝のテレビ朝日『やじうまテレビ!』はとくに意味不明。サマータイムが導入された企業の男性社員が、早めに帰宅することで、保育園に子どもを迎えにいき、夕食も作れるようになったと、笑顔で語っていた。
まるでサマータイムの導入で、はからずもワークライフ・バランスが実現された、的な、お気楽なレポートだが、サマータイムが終われば元にもどるだけのこと。
小学生でもウソだと分かるこんなレポートを、よく制作できるものだ。テレビ局のディレクターは視聴者の想像以上に劣化している。
また、サマータイムをすでに導入している企業として、ユニ・チャームが紹介されていた。営業担当など、社外と接する機会の多い社員をのぞき、約8割の社員に適用しているらしいが、これもきわめて不親切なレポートだ。
全社員の8割が内勤など、ふつうに考えてあり得ない。支店や工場をすべて除いた、港区三田の本社事務所だけ、という意味だろう。
さらに、インタビューに答えていたユニ・チャーム女性社員の「サマータイム礼賛」を見てうんざりした。すでに東京電力管内で電力消費のピークを平準化するという、大前提が忘れられている。
上述のように、万が一、東電管内のほとんどの企業がいっせいにサマータイムを導入すると、一日の電力消費の折れ線グラフ全体が左へシフトするだけで、「ピークの分散化」にまったく役に立たない。
こういうキャンペーンをマスコミが展開すると、何ごとも「横並び」意識の強い日本の経営者が、業界ごとにいっせいにサマータイムを導入し、フタを開けてみたら、全業種がサマータイム導入、なんてことになりそうなので、個人的にはとても心配だ。
また、1時間ずらすだけで、本当にピークの分散化になるのかも、かなりあやしい。
やるべき仕事がなくても、1時間くらい会社でだらだら残業する会社員は、日本に無数に存在する。いや、日本の会社員のほとんどが、1時間くらいは仕事が終わっても会社に残ってだらだら過ごしている。
この日本的サラリーマンの習慣が、サマータイム導入で突然変わるとは思えない。たった1時間ずらすくらいで、電力消費のピーク分散化の効果など出るはずがない。
このサマータイムをめぐるお祭り騒ぎを、いったい誰が煽っているのか知らないが、もしかすると次のようなシナリオかもしれない。
つまり、本当は、東電の電力供給には余裕があるが、それを正直に発表すると、原発不要論が噴き上がる。
そこで、サマータイムも含めた「人員動員型」の節電を、マスコミを巻き込んで大々的に呼びかけ、「サマータイム導入など、首都圏のみなさんのご協力のおかげで、なんとか今年の夏は乗り切れました」というふうに持って行きたいのではないか。
そうとでも考えなければ、東電管内で、たった1時間ずらすだけのサマータイムを導入する合理的な根拠が、一つも見つからないのだが。
今回の大震災で、視聴者よりスポンサー第一という民放の姿勢は、イヤというほど分かったはずではないか。視聴者までテレビのお祭り騒ぎに踊らされないようにと願うばかりだ。