東京電力の技術者は最初から「メルトダウン」を知っていた?

福島第一原発一号機の核燃料が、少なくとも圧力容器内で完全に溶けて、容器の底にたまった状態だということはわかった。
その外側の格納容器にまで溶け出しているかどうか、まだはっきりと分かってないけど、その可能性は高いらしい。
となると、一号機で最初に水素爆発が起こった原因を、あらためて考えてみたくなる。
反原発ジャーナリストの広瀬隆氏の民主党向けのレクチャー動画が、ビデオニュース・ドットコムのサイトに上がっているので、話半分にご覧いただきたい。
「福島原発巨大事故 今何が必要か」(2011/05/10 ビデオニュース・ドットコム)
個人的に広瀬隆氏はいまいち信用できないのだが、氏の説によれば、最初の地震の衝撃で圧力容器に直結する配管の一部がすでに破損し、高圧になっている圧力容器から、その外側の格納容器へ大量の気体が漏れた。

それにより格納容器の圧力も高まり、その外側の原子炉建屋にも気体が漏れ、そこに含まれていた水素が酸素と結びついて爆発した、とのこと。
たしかにこう考えれば、その後、圧力容器に一生懸命注水しても、水位が上がったり下がったりで安定しなかったことが説明できる。
こんなことを考えつつ、ふと、東京電力にいる原子力技術者は、本当に2011/03/11の地震以降、ある意味、あれほどカッコの悪い試行錯誤をしなければいけないほど、無能だろうか?と考えた。
どういうことかといえば、彼らは水素爆発が起こった時点で、圧力容器内で核燃料の大半が溶解して、容器の底にたまっており、それによって皮肉にも、逆に水蒸気爆発の危険性がなくなったことに気づいていたのではないか。
だからこそ、「安心して」圧力容器内に、海水なり、真水なりを、どんどん注入する作業を進められたのではないか。
もし水蒸気爆発の危険性が残っていることを知っていたら、その危険を冒してまで、大量の水を圧力容器にどんどん注入しただろうか。東京電力の原子力技術者たちは、そこまでバカだろうか?
もしこの僕の疑念が本当だと仮定すると、東京電力は当初から「メルトダウン」が起こっている前提で、その事実が少しずつ明らかになっていくような台本を準備した上で、今までの2か月間、政府への対応や、日々の記者会見をこなしてきたのではないか。
あるいは、「メルトダウン」が起こっている可能性が高いことを、東京電力のごく少数の人間だけは把握した上で、同社の他部署に対しても、その事実が少しずつ明らかになっていくかのような情報操作を行っていたのではないか。
年間被ばく線量の上限20ミリシーベルトが何を意味しているか、まったく分かっていない文科相や、大阪府の南の端の熊取で、のんびり研究生活を送っている原子力研究者に比べれば、僕は、東京電力の原子力技術の中枢をになっている人たちは、はるかに頭がよくて、狡猾だと思う。
だって彼らは、利益が相反するさまざまな集団が対立するなかを、巧妙にすりぬけつつ、これまで数十年にわたって原発を推進し、設計寿命が切れた原子炉の運転を延長する決定さえやり遂げてきたのだ。
そういう対外的な情報操作に長けた人たちが、今までの2か月間、本当に手探りで福島第一原発の状況に対処するほど無策だったとは、とても思えないのだが。
これって、考えすぎだろうか。