夏場の首都圏の計画停電はたぶん避けられない

この夏、首都圏で予想される電力供給不足の対処法が、はっきりしてきた。
ポイントはピーク時の電力消費が、東京電力の最大供給量を超えないようにすることであり、もともとピークでない時間帯は、無理して電力消費をおさえる必要がないということだ。
やはり、サマータイム制の導入のように、首都圏全体がいっしょに活動時間をシフトする施策には、ほとんど効果がないことが分かる。
サマータイムを導入しても、電力消費のピークがずれるだけで、特定の時間帯に集中している電力消費を分散化し、ピークを緩和する効果はない。
時差通勤よりもっとふみこんで、最近、報道されているように、工場を深夜や休日に稼動させるなどの施策でなければ、実質的な効果がないのは明らかだ。
石原都知事のように、コンビニの深夜営業をやめろというのは論外。逆に昼間の電力需要のピークを押し上げかねない。
むしろ、工場だけでなく、ホワイトカラーも深夜勤務が可能な業態は深夜に勤務時間をズラして、コンビニはそれに合わせて営業する方が、ピークの分散化に役立つ。もちろんコンビニの各店舗は照明を減らすなど、引きつづき節電努力をするのが前提だ。
こう考えると、鉄道会社が朝晩の混雑時に通常運転をして、昼間の運転を減らすのも、施策としては逆だということが分かる。
僕は個人的に、鉄道会社が電力供給の不足に乗じて、昼間の運行本数を減らし、コスト削減をやっているのだと考えている。
鉄道会社が事件や事故に乗じてコスト削減に走るのは、前例があるからだ。分かりやすいのは、サリン事件の後、駅構内のゴミ箱の大半が撤去されたこと。JR東日本は代わりに中身の見えるゴミ箱を導入したが、地下鉄はゴミ箱の数を減らしたままだ。
とはいえ、各企業が就業時間帯をずらさない限り、鉄道会社がラッシュ時の運転を減らすわけにはいかない。
各企業が最低限、時差通勤、できれば時限措置としてコアタイム自体を分散化したフレックスタイムを導入して、電力消費のピークを分散化させれば、それに応じて鉄道会社も運転本数を平準化できる。
では学校はどうかと言えば、大学はまだしも、子どもの安全を考えると、小中高で真夜中に登下校させるわけには行かず、学校の授業時間の分散化は不可能だろう。教員数も集合教育が前提なので、教師側の体制もムリがある。教職員組合も反対するに決まっている。
子供のいる家庭は子供の生活リズムを中心に回るので、家庭の電力需要のピーク分散化は難しい。そもそも日本の総電力消費のうち、家庭が占めるのは3割弱にすぎないので、家庭ではピークの分散化よりも、こまめな節電努力を続けるしかない。
電力需要のピーク分散化については、電力消費の多い順に、まずは製造業の生産現場、次にホワイトカラーの業務について、企業の組織的な対策が求められる。
でも、これも全く個人的な意見だが、たぶんできないだろう。
あと2か月間で、首都圏の企業全体に組織的な対策が広まるとはとても思えない。フレックスタイムの導入さえできない中小・中堅企業が山ほどあるのだから。
すると、さすがの東京電力でも、各企業に新しい勤務体系などの制度的な裏付けさえないまま、需要者の節電努力だけを期待して、計画停電を実施しない、などという無責任な決定はできなくなる。
おそらく首都圏の夏場の計画停電(輪番停電)は避けられない、ということを予言しておく。はずれることを祈りつつ。