Chinese Writer 9には完全に失望

今日は、高電社「Chinese Writer 9」にがっかりしたというお話し。

パソコン用の中国語ユーティリティーといえば、高電社「Chinese Writer」が事実上の独占状態で、ネットでも良い評価が多い。
なので、ほかの中国語関連ソフト、たとえば辞書ソフトや、中国語入力ソフトを使っていて、いよいよ満足できなくなったら最後の最後は「Chinese Writer」だと考えていた。
今までの筆者の中国語環境は以下のとおり。ちなみに筆者は、中国語の読み書きは中級程度で、たまに中国人と間違えられるレベルだが、会話と聞き取りはほとんどできない。
Googleピンイン入力
・講談社「日中辞典」付属のCD-ROM
・Google Chromeの拡張機能
 ―Mouseover Dictionary Framework
 ―中英辞典(CC-CEDICT)
これらの組合せで、中国版ツイッターの「新浪微博」や、掲示板サイト百度貼吧で、あくまで文字ベースで、中国大陸のネット友だちと交流してきた。
そして、自分が作文した中国語が正しいかどうかは、Googleで中国語サイトに同じような表現があるかどうか、いちいち検索して確かめている。
ただ、どうしても中国語の同義語どうしのニュアンスの違いが、日中辞典だけでは分かりづらいので、中日辞典が欲しくなってきた。
いよいよ「Chinese Writer」が必要だと「決意」して最新版を購入した。「決意」という単語をつかったのは、独占状態のソフトだけあって、それなりの「決意」が必要な価格だからだ。
「Chinese Writer」には小学館の中日・日中辞典、大修館書店の中日大辞典、中国語新語ビジネス用語辞典電子版、日経BP社の日中パソコン用語辞典改訂版が収録されており、例文の全文検索もできるので、要件を満たすだろうと期待していた。
しかし、実際に使ってみて、がっかりした。完全にがっかりだ。
まず、Chinese Writerの独自の中国語IMEは、まったく不要。
Googleピンイン入力や、その他、中国の各種ポータルサイトからも、使い勝手のいい中国語IMEが無料で入手できるので、全く必要ない。
たとえばChinese Writer 9の製品紹介サイトでは、「镕」や「妳」は他社ソフトでは入力できないとされているが、ご覧のようにGoogleピンインで問題なく入力できる。
手書き入力も、たとえばQQのIMEの拡張機能で入手できる。またこれらのIMEはソーシャル辞書と連携するので、新語が自動的に辞書に追加される。
文字コードの問題についても、Windows自体の多言語対応や、Unicode(UTF-8)の普及のおかげで、いちいちGBやBIGなどの文字コードを変換する必要はほぼなくなっている。
また、Chinese Writerには機械翻訳の機能がついているが、これについても、ある程度の精度しか望めない以上、Goole、エキサイトなどのポータルサイトが提供する翻訳機能で十分だろう。
そもそも機械翻訳に頼る必要がある人は、中国語が入門レベルか、上級レベルかの両極端に分かれる。僕のように中途半端な中国語力しかない人間は、初めから辞書を引き引き自力で翻訳するしかない。
入門レベルの人なら、機械翻訳の精度が高いかどうかも分からないだろうし、上級レベルの人なら、省力化のためだけに機械翻訳を使うので、精度が低くても気にならないだろう。
すると、Chinese Writerに含まれる機能の中で、利用価値があるのは、中国語の音声合成機能、それをiPodに転送する機能、ビジネスレターのひな形、フォントなど、マイナーな機能だけになる。

いやいや、小学館の中日・日中辞典などの中国語辞書を検索できるだけでも、2万円の価値はあるじゃないか、という反論が聞こえてきそうだ。
しかし、そもそも小学館の中日・日中辞典、中日大辞典の例文には、ほとんどピンインが付いておらず、学習用途に向かない。
これは電子版だけではなく紙の辞書も含めて、小学館の中日・日中辞典が、講談社の中日・日中辞典に決定的に劣っている点だ。
しかもChinese Writerでは、せっかく複数の中国語辞書が入っているのに、例文については複数の辞書にまたがって全文検索する機能がない。この例文横断検索ができないのでは、同じソフトの中に複数辞書が収録されている意味はほとんどない。
さらに、Chinese Writer 9は2011/03/08現在の最新バージョンだが、実際には2007年に開発されており、最新OSやMicrosoft Officeなどの使い勝手と比べると、明らかに見劣りする。
高電社という中小ソフトハウスが開発している製品なので、使い勝手に開発工数をさけないというのが正直なところだろう。
そういうわけで、僕はChinese Writer 9に2万円の価値はなかったと判断し、4割引にしてAmazon.co.jpのマーケットプレイスで売り払った。
そのかわりに、講談社から発売されているCD-ROM版の中日辞典を購入した。これで僕のパソコンには講談社の中日辞典・日中辞典の両方が入っている。

実は講談社の中日辞典のCD-ROM版が発売されていることを知らなかったのだ。しかもこのCD-ROM版は、同じ講談社の日中辞典付属CD-ROMと異なり、インターネット経由で語彙を無料で更新できる。
ちなみにAmazon.co.jpで講談社の日中辞典(CD-ROM付き)と中日辞典CD-ROM版を買うと、計12,285円。一方「Chinese Writer 9」は23,100円である。
最初からこうすればよかったと、今はただただ後悔している。