電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?

しつこいようだが、シャープのGALAPAGOSを始めとする電子書籍端末が、どうしたって日本では売れそうにないという話を、こりずに書いてみる。
今朝、通勤電車で何気なく上を見上げると、auの「biblio leaf」という3G/WiFi通信機能付きの電子ペーパー型電子書籍端末の広告があった。
これなら面倒なWiFi設定なしに、書籍コンテンツをダウンロードできるが、見た目はAmazonのKindle(キンドル)やソニーのリーダー(Reader)のような、モノクロの電子ペーパー端末である。
なるほどこれで、日本国内には「差別化」された電子書籍端末がそろっているというわけだ。
電子ペーパー型で通信機能のないソニーのリーダー(Reader)。電子ペーパー型で3G/WiFi通信機能つきのau(下請けメーカーはFoxconnらしい)のbiblio leaf。カラー液晶でWiFi通信機能だけがついたシャープのGALAPAGOS。
今日考えたいのは、電子書籍の利用シーンだ。
まず自動車を運転しながら、電子書籍を読むのはムリだ。地方都市で車が主な移動手段である人たちにとって、電子書籍は自宅でしか使えない。
では都市圏で電車・バスが主な移動手段である人たちはどうだろう。
まず割合の多い正規雇用者、非正規雇用者。
通勤電車の中で、紙の本や雑誌を呼んでいる会社員は、毎日観察すればすぐわかるが、かなりの少数派だ。大人でも携帯電話のゲーム、携帯ゲーム機で息ぬきしている人が多い。
女性の雇用者は、男性の雇用者より、電車で読書している人が多い気がするが、どうだろうか。
座席にすわっている雇用者らしきたちは、ほとんど眠っていると言っていい。
出張中の会社員が、仕事と、アフター5の飲み会の後、帰りついたビジネスホテルで、読書にふけるとは考えづらい。ほとんどはすぐに眠るだろう。
しいて言えば、海外出張のために、長時間飛行機に乗るときは、電子書籍端末は一つのヒマつぶしかもしれない。
電車通学をしている生徒や学生さんたちは、友だちとしゃべっているか、携帯電話でメールやSNSをしているか、本を読んでいても、週刊マンガか、教科書や参考書で勉強しているかで、一般書・雑誌を読んでいる人は少ない。
次に割合が多いのは、一日のほとんどの時間を家庭で過ごす、小さな子供、主婦、年金生活者だろうか。
これらの人は用事があって出かけるときは、電車、自動車、自転車、徒歩などだが、このうち電子書籍端末が使えるのは、電車に乗ったときだけだ。
ただ、お子さんを連れて電車に乗った主婦は、お子さんの相手がメインであって、電子書籍を読みふけるとは考えづらい。
年金生活者のうち、電子書籍端末を使いこなせるほどのIT知識のない方々は除外される。
以上のことから、日本全体を見まわしてみたとき、電子書籍端末が使われるシーンはとても限られることがわかる。
しかもそのうち、まとまった時間を電子書籍端末での読書にさけるのは、結局は自宅だけのような気がする。(頻繁に海外出張する会社員が多数派だとは思えない)
ただ、自宅で落ち着いて電子書籍を読むなら、わざわざ電子書籍端末を買い足さなくても、パソコンでいいわけだ。
しかし、すでに日本の一般家庭にかなり普及しているパソコンで、電子書籍がよく読まれているという話はまったく聞かない。僕個人もパソコンで電子書籍を読んだことはない。
パソコンを含む電子媒体は、長くても10ページくらいの読み物を読むためだけに使い、100ページ以上の本を読むのに、パソコンを使おうという気にならない。
なお、米国でKindleが売れているのは、電子書籍コンテンツが、紙の本よりかなり安く、すぐにKindle本体の購入費用を回収できるからと言われている。
他方、日本人の上述のような読書スタイルが単なる「習慣」であって、合理的な根拠がないなら、日本人が自宅で電子書籍を使いはじめるためには、いったいどんな啓蒙が必要だろうか。
というより、果たして日本人の読書習慣を変えられるような啓蒙など存在するのだろうか。
そんな啓蒙が成功するなら、そもそも出版業界は単行本の売上がどんどん減っていると嘆く必要などなかったのではないか。
ますます不可解な電子書籍端末ブーム(?)である。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/09/28)
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/12/14)
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」(2010/12/31)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「SHARP、GALAPAGOS(ガラパゴス)の哀れをもよおすテレビCM」(2011/02/01)
>>「著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う」(2011/02/02)