mixi(ミクシィ)を言論統制だと非難したことのおわび

ユーザー名は忘れたが(忘れたほうがいい)、ツイッター上で、ある人のリツイートからあるユーザーへ、そのユーザーのリツイートから別のユーザーへとわたり歩いているうちに、Amazon.co.jpのブックレビューが不当に削除されていると糾弾するブログを見つけた。
人のふり見てわがふり直せということで、ふと僕自身、ミクシィが利用者の書き込みを恣意的に削除している事実を糾弾していることを考え直すきっかけになった。
どうやらAmazon.co.jpのブックレビューの恣意的な削除は、政治的党派性にもとづいているらしい。愛国主義的すぎたり、共産主義的すぎたりする内容を、システムの不具合のせいにしつつ、しれっと削除しているようだ。
一方、ミクシィの恣意的な削除は、東京都の青少年健全育成条例にもとづいている。東京都知事から目をつけられそうな内容は削除して、削除した理由については一切ノーコメントである。
これらのことを僕がどう考え直したのかと言えば、Amazon.co.jpやミクシィのような、ただの民間企業に対して「利用者の言論の自由を認めろ」というのは、もしかすると的はずれな要求かもしれない、ということだ。
こうした言論統制が国家によるものであれば、国家は近代法上、国民から私的な暴力を取り上げる代わりに、警察や軍隊などのかたりで暴力を合法的に行使できるので、当然、僕らに「言論の自由を認めろ」と糾弾する権利はある。
主権者である日本国民には、主権者から国家に対する命令である憲法の中で、言論の自由が認められているからだ。憲法という命令に従わなければいけない国家が、憲法に反するのは矛盾している。
一方、Amazon.co.jpやミクシィのような企業と利用者の間では、まったく事情が違ってくる。そもそもAmazon.co.jpやミクシィは、利用者が利用規約に合意している前提でサイトを運営しているからだ。
たとえばAmazon.co.jpの利用規約の「レビュー、コメント、コミュニケーション、その他のコンテンツ」欄には、次のように明記されている。
「Amazon.co.jp は、いかなる行為またはコンテンツも監視し編集または削除する権利を保有しますが、義務はありません。」
なので、Amazon.co.jpの利用者はレビューを削除されたからといって、同社に抗議する権利はない。気に入らなければAmazon.co.jp以外のサービスを利用しなさい、というだけの話である。
レビューを削除されたことに対して、Amazon.co.jpにそのレビューを編集(たとえば復活)する義務を負わせるかのような行動をとることは、Amazon.co.jpを利用しながら利用規約に違反していることになる。
つまり、Amazon.co.jpのサポートにしつこく電話をして、削除されたレビューを復活させろと言い続けることは、逆にAmazon.co.jpに民事訴訟で損害賠償請求されたり、脅迫として警察に通報されるおそれがある。
ミクシィの利用規約にも「第20条 弊社の削除権限」という条項がわざわざもうけられている。引用すると長くなるので、実際に下記のリンクからお読み頂きたい。
mixi利用規約
この利用規約の内容をじっくり読んで、僕は反省することしきりである。
ミクシィは東京都から「この書き込みは東京都の青少年健全育成条例に違反してますよ」と指摘されれば、この利用規約の第20条にしたがって堂々と削除できるのだ。
そして僕はこの利用規約に同意した上でミクシィを使っている。だから、仮に自分の書き込みが東京都の恣意的な規準で条例違反と見なされ、削除されたからといって、ミクシィに抗議するのはとんでもないスジ違いなのである。
抗議するなら東京都だし、気に入らなければ他のサービスを使え、というだけの、きわめてシンプルな話である。
過去の「愛と苦悩の日記」の記事は反省の意味をこめて、あえてそのままにしておくが、ここでミクシィに対して言論弾圧などと見当違いな抗議をしたことを、皆さまおよびミクシィにお詫びしたい。
ごめんなさい。
えっ?でもAmazon.co.jpもミクシィも、日本の法律に従わなければいけない以上、憲法で保障されている言論の自由を制限しちゃいけないでしょ?
という意見が聞こえてきそうだが、日本国憲法の第21条で禁止されている検閲は、行政機関が主体の場合に限るという最高裁の判例があるらしい。なので、Amazon.co.jpやミクシィが利用者の書き込みを削除しても、それは憲法違反ではない。
いやいや、Amazon.co.jpやミクシィのような企業も、社会的責任として利用者の言論の自由は最大限に尊重すべきでしょ?
という意見も聞こえてきそうだが、基本的に企業の法令遵守や社会貢献活動は、あくまで経済合理性の範囲内でおこなわれる。会社自体がつぶれたのでは、法令遵守も社会貢献もクソもないからだ。
企業といえども社会的責任を果たすべきという意見は、その社会的責任とは何か、企業がなすべき善とは何かなどなど、議論する価値はあるが、Amazon.co.jpやミクシィくらい有名な企業なら、利用者の書き込みを恣意的に削除するな!という主張は無条件に正しいとは言えない。
今回は、Amazon.co.jpのブックレビュー削除を批判している右寄りな皆さんを反面教師として、大切なことを学ばせて頂きました。感謝いたします。