SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?

シャープの電子書籍端末「GALAPAGOS」だが、年末にこんな記事を見つけていた。ここまで来るとお笑いネタの領域だ。いくら関西地盤の企業といっても、冗談が過ぎるという感じがする。
『ガラパゴス、インドの電子教科書に シャープが実用化へ』(朝日新聞 2010/12/31)
日本でGALAPAGOS(ガラパゴス)が売れるわけがないということを、発売してから学習されたのだろうか。インドで電子教科書の閲覧用端末として実用化する方針を固めたらしい。
それだけでなく、将来的にはアフリカで教育環境の整備されていない遠隔地に、ネット中継で授業を配信する端末としても事業展開を狙っているという。
まず言えるのは、日本で販売されているような、コンテンツ配信元を限定した囲い込み型のビジネスモデルのままで、グローバルにIT人材を供給しているインドの高等教育機関に通用するのか、ということ。
さすがにシャープも日本仕様そのままでインドで展開するはずはない。クローズドなコンテンツ配信機能を解除した、オープンな電子書籍端末として売りだすだろう。
仮にそうだとすると、次の問題が出てくる。それは、インドの高等教育機関に売り込むほどGALAPAGOS(ガラパゴス)に価格競争力があるのか、ということ。
シャープはGALAPAGOS(ガラパゴス)ともっともらしい製品名を付けているが、所詮は、静電容量式タッチパネルと、大容量バッテリー、省電力型CPUを搭載した、Android OSタブレットに過ぎない。
中国で品質の悪いAndroid OSタブレットが大量に出回っているように、Android OSタブレットという製品そのものが、あっという間に陳腐化し、コモディティー化するのは目に見えている。
中国や台湾のメーカーが、GALAPAGOS(ガラパゴス)同等の性能を持つ端末を、さらに安く供給するようになるのは時間の問題だ。
そのとき、インドでGALAPAGOS(ガラパゴス)に価格競争力以外のどんな競争力があるのか。SHARPというブランド自体に、サムソンやLGに負けないグローバルな競争力があるということだろうか。よく分からない。
さらに、アフリカで教育環境の整備されていない遠隔地のための、情報端末として展開するという計画にいたっては、全く成功を見込める根拠が分からない。
この計画を実現するには、まず通信インフラの整備が必要だが、商社を介さずに、アフリカの携帯電話事業者と直接合弁でもするつもりなのだろうか。
また、遠隔地の学校での利用ということは、現地での事業展開はアフリカ諸国の政府と共同で行う公共事業になるはずだ。
しかし、温暖化ガス削減や生物多様性のグローバルな会議でも見られたように、アフリカ諸国の政府の支持を取り付けることに成功しているのは、今や中国である。
日本のマスメディアは中国のアフリカ諸国に対する支援を、現地住民の意向を無視し、資源の既得権益だけを目的とした非民主的なやり方だと非難している。
ただ、民主的な支援というキレイごとを実現するには、まずアフリカ諸国が民主化されるのを待つしかなくなる。
中国が日本をしのぐ影響力をすでに持っているアフリカ諸国に対して、シャープが民間レベルの努力だけで、GALAPAGOSの事業展開をするつもりだとすれば、かなりの平和ボケとしか言いようがない。
将来への投資ということで、赤字覚悟でボランティア的に事業展開するならまだ理解できるが、そうなると、そこまでしてGALAPAGOSをアフリカに展開することに対して、株主が理解を示すかという話になってくる。
とにかくシャープのGALAPAGOS(ガラパゴス)については、出てくる報道がことごとく夢物語のような内容ばかりだ。
思えばSHARPは、1980年代前半に、IBMのPC/ATに先行して、オールRAMの「クリーン設計」というパソコンを家庭用に販売していた。しかしそれを世界規格にするだけのグローバルな戦略と実行力はなく、今では単なる「語り草」にしかなっていない。
今回のGALAPAGOSはパソコンの事例よりもひどい。なぜなら、Androidタブレットは、すでにGoogleが国際標準を作り、ハードウェアとしてもほぼ陳腐化しているからだ。
いってみれば、すでにPC/AT機が普及しつつある中で、クリーン設計のMZシリーズのパソコンを売り出すようなもので、新たな国際標準を創出できないことは初めから分かっている。
ますます理解に苦しむSHARPのGALAPAGOS(ガラパゴス)販売戦略からは、当分、目が離せそうにない。
*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」
>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」