またまた日経ビジネスオンラインに中国に関するトンデモ記事

やっぱり日経ビジネスオンラインの北京支局長・坂田亮太郎氏は、ダメなようだ。
「北京・上海・広州のプロが厳選 中国トレンドウォッチ」という連載コラムの2010/11/12掲載分、『「ドララ」「剰女」「女性新基準」そして「シュアイ」~中国キャリアウーマンへの最高のホメ言葉とは』を読み始めて、いきなり冒頭で笑わせてもらった。
坂田氏のインタビューに答えているのは、2009年から北京に赴任しているという博報堂の横田武幸氏。
横田氏曰く、「以前働いていた東京と比べて改めて強く感じるのは、働いている女性の割合が非常に多いということです」
何を言っているの?まさか中華人民共和国が、共産主義のイデオロギーの上に建国されたことを知らないわけではあるまい。
ロシアも同じだが、イデオロギー上、共産主義である国の女性の就業率が、イデオロギーのない儒教国・日本より高いのは当たり前ではないか。
しかもこのインタビューの中で、驚くべきことに博報堂の横田武幸氏は、中国大陸の女性の就業率が高い原因として、このイデオロギーの問題にまったく触れていない。
少し前、僕が中国のマイクロブログ・サービス「新浪微博」で、世界経済フォーラムの発表した男女平等国家ランキングで、中国が61位、日本がはるか下の94位であることをつぶやいたことがあった。
そのとき、中国大陸のネット友達の一人は、はっきりと「例の文化大革命のせいだ」とコメントしてくれた。
もちろん文化大革命についてはネガティブなニュアンスなのだが、それでも女性の就業率の高さが、共産主義イデオロギーの「伝統」であることを、中国大陸の若者は知っている。
博報堂の横田武幸氏は、ごく初歩的な中国共産党の歴史的事実の重要性さえ、分かっていないらしい。
さらに横田氏は次のように語っている。
「剰女をネガティブに捉える必要もないと考えています。『女性の幸せは結婚して子供を授かること』という古い観念に縛られることなく、好きな仕事に打ち込み、必ずしも結婚しなくても良いという意識が中国人女性にも少しずつ広がっていると解釈できます」
「中国人女性にも」という言い方には、明らかに「中国人女性の考え方が、経済成長にともない、ようやく日本人女性に追いついて来ている」というニュアンスがある。
しかし、そもそも中華圏の女性は、結婚して出産しても働き続けるのが普通であり、むしろ日本社会の方が女性差別的である。博報堂の横田武幸氏の認識は明らかに間違っている。
ことほどさように、この2010/11/12掲載のインタビューは、日本社会の方が男女平等では中国より進んでいるという、大いなる誤解のもとに進んでいく。
ちなみに、「やっぱり女は強いねぇ」というのは、それぞれの国の実質的な性差別の強さにかかわらず、ほぼ万国共通で言われる冗談にすぎないが、それさえもこのインタビューでは、中国の経済発展の「結果」だと誤解されている。
読んでいて、ただただ恥ずかしいインタビューだ。
2009年に北京に赴任したばかりの中国についての「素人」である横田氏を、「北京・上海・広州のプロ」と題するコラムのゲストとして起用するとは、日経ビジネスオンライン・北京支局長の坂田亮太郎氏は、やはり「凹凸」である。