銅メダル英語で実務はできない

日経ビジネスオンラインの新連載「英語は道具:銅メダル英語を目指せ」、最初は着眼点が面白いなぁと思って読み始めたけれど、だんだんあやしくなってきた。
最新の2010/11/05付けの記事「銅メダル英語でここまでしゃべれる コミュニケーションの決め手は語学力だけではない」によれば、100点満点の試験で20点しか取れなくても、語学力以前の対人コミュニケーション能力があれば、英語によるコミュニケーションは成立する、という主旨だ。
たしかにこう書けば英語の苦手なサラリーマンに、はかない希望を持たせることはできるが、これが日経ビジネスオンラインの連載であり、最終的には仕事の現場で英語を使えるようになることを目標としている読者が大半であることを考えれば、やや誠実さを欠くコラムのように思える。
というのは、語学力以前のコミュニケーション能力が高ければ、英語そのものが多少下手くそでも、英語で外国人と意思疎通ができるのは本当だ。
ただし、この第3回のコラムに出てくるような、日常のさほど重要性のないおしゃべりレベルの意思疎通に限られる。
商談で細かい発注仕様をつめたりといった、内容に正確性が求められる意思疎通の場面では、当然のことながら20点の英語では全然ダメなのである。
もしかするとこの連載の筆者は、「そういう重要な場面は、本職の通訳に頼ればいい」と言い始めるかもしれないが、もしそうなら、最初から英語の勉強に時間をムダに費やす必要はない。
はっきり言ってしまえば、仕事で使える英語を最終目標にする限り、銅メダル英語ではダメなのは初めから明らかなのだ。
銅メダル英語でも構わないという気休めを言って、読者の会社員のみなさんに英語学習の動機づけをしようというのは結構なことだ。
しかし結果的には、「やっぱり仕事に使えるレベルにはならなかった」と、今まで読者のみなさんが何度も味わってきた失望を、もう一度味わわせるだけに終るだろう。
実務に使える英語という意味では、まともな英文メールを書けるようになることの方が優先順位は高いだろう。米国人にしか通用しないような、フランク過ぎる英文メールではなく、という意味だ。
英会話で実務をやるのは、それをクリアしてからの話であって、ビジネス英語は、外国人と仲良くなるための20点英語とは、まったく別物なのである。
さあ、この連載コラム、これからどういう展開になるか。たぶん突っ込みどころ満載になるのではないかと、楽しみだ。