松浦社長の時代遅れの著作権観。だからCDが売れないんですよ

昨日たまたま、明石家さんまと所ジョージが司会の『金プラ さんま&所世の中を動かしているのは誰だ会議』という番組を見ていたら、エイベックス社長の松浦勝人氏が出演していた。

CD市場が大幅に縮小したことについて、松浦勝人氏もやはり、インターネットでの違法ダウンロードや、中国などでの海賊版の横行が最大の原因であるかのように、しつこく繰り返していた。
CD市場の大幅な縮小が、単に音楽の聴取形態が多様化していることと、CDの主な購入層の人口減が主因であることに、レコード会社の社長自身が全く触れないのは、フェアではない。
仮に違法ダウンロードや海賊版の流通規模が、松浦勝人社長の言うように、そのままCD販売の機会損失になっていたとすれば、CDの売上はゼロになっているはずだ。
しかし実際には人気歌手のCDは数十万枚単位で売れるものがザラにある。自社が発売したCDが売れないとすれば、まず自社のプロデュース力やプロモーションに原因を求めるべきであって、違法ダウンロードや海賊版に矛先を向けても、CDの売上げ回復に全くつながらない。
その意味で、レコード会社社長である松浦勝人氏のああいった発言は、単なる責任転嫁と言える。
もっと言えば、もしYouTubeの違法動画、インターネット上の違法アップロード、海賊版を100%排除できていたとしたら、おそらく中国や台湾で、浜崎あゆみや大塚愛、安室奈美恵といった歌手のファンは、数えるほどしかいなかっただろう。
現実には、ネット上の違法動画や違法音楽ファイルが、エイベックスのようなレコード会社が宣伝費をかけなくても、リスナーが自発的に、無料で行ってくれる宣伝活動という一面も持っていることは否定できない。
音楽の権利保有者団体が、ファイル共有ソフトの開発者や、音楽ファイルを違法アップロードした一般リスナーを告訴し、前科者にすることで、レコード会社やアーティストが、違法な配信を阻止できたことによる売上増以上に、一般リスナーからの恐怖や憎悪の的になってしまうことの弊害を、彼らは考えたことがないのだろうか。
今の著作権法を改めて、違法アップロードした一般リスナーを前科者にするのではなく、そのリスナーが負担可能な金額の罰金を徴収して、権利者に配分する程度の罰則にとどめれば、レコード会社やアーティストは、一般リスナーから下手な恐怖や憎悪、あるいは膨大な印税収入に対する一般人の嫉妬というリスクを避けつつ、失った利益の一部を回収することができる。
著作権違反をどんどん厳罰化していくことで、逆に違法アップロードや海賊版はますます巧妙化・アンダーグラウンド化し、かつ、権利保有者団体に対する一般リスナーの憎悪(ルサンチマン)は大きくなり、結果として正規のCD購入はますます減るだけ、ということを、なぜレコード会社やアーティストは理解しないのだろうか。
ネット社会になることで、著作権管理を過剰に厳格化できるようになっている現実を見ずに、いつまでも今までどおり著作権管理をどんどん厳格化しさえすれば、レコード会社やアーティストの利益は守られる。
こういった全く間違った考え方を、エイベックスの松浦勝人社長でさえ持っているということに、あきれて物が言えなかった。
僕の言っていることが「とんでもない」とお思いになったら、ぜひ上に貼り付けておいたローレンス・レッシグ教授の『FREE CULTURE』という本を読んでいただきたい。
現代の著作権管理は、まるで土地を持っている人が、上空を通りすぎる飛行機から「通行料」を取るようなもので、明らかに過剰な権利主張であることが、とっても分かりやすく書かれている。