中国人も日本人もフツーの人はノンポリでしょ、というお話

今日、2010/10/07掲載の日経ビジネスオンラインの尖閣諸島問題に関する記事『日中関係は2005年以上に悪化する』がトンデモ記事であることは先に書いたとおりだ。
ところで、日経ビジネスオンラインの北京支局長曰く「中国で最も注目を集める日本人」としてこの記事に登場する、加藤嘉一氏が、中国と日本の関係についてマジメに考えすぎるあまり、悲観的になっていることがよくわかるブログ記事がある。
「Kinbricks Now」というブログに、今回の問題の発生以降、掲載された下記の3つの記事だ。
「反日感情燃えたぎってますか?中国のギャルに聞いてみた―中国人民は日中対立をどう見ているのか?<1>」2010/10/01
「ネット検閲を超えられない人たち=中国ツイッタークローンのつぶやきを読んでみた―中国人民は日中対立をどう見ているのか?<2>」2010/10/02
「荒れ狂う反日感情は恐怖でしたか?日本人留学生に聞いてみた―中国人民は日中対立をどう見ているのか?<3>」2010/10/07
特に<1>と<3>の、中国に住んでいる中国人ギャルと日本人留学生への取材を読めば、フツーの中国人や、中国で生活しているフツーの日本人にとって、今回の問題がどれほどの重要性しかないか、よくわかる。
僕は中国の検索サイト「百度」の、alan(四川省美人谷出身のエイベックス所属の美人女性歌手)ファンのための掲示板で、中国大陸のalanファンと中国語で交流している。
年齢層は20代から中学生と、日本のalanファンが30代中心なのと比べるとかなり若い。したがって上記のブロクの<1>に登場する中国人ギャルと同じく、ノンポリが多い。
というより、中国の若者がここまでノンポリであることに、僕は最初のころ驚いてしまった。(今はもう慣れましたが)
例えば、alanが日本でなかなかブレイクしないのは、日本語が下手な中国人で、日本人の間には根強い中国人蔑視の感情があるからだ、という政治的に敏感なことをストレートに書き込んだことがある。
その反応として、中には、「日本で油を売っていないで早く中国に帰ってきて、中国のレコード会社と契約すればいい」というものもあったが、数えるほどだった。
いちばん多かった反応は、「僕が(私が)alanが好きなのだからそれで十分だ。alan頑張れ!」という主旨のものだ。
逆に、あまり僕が日本と中国の不幸な過去の歴史などに触れると、「政治的に敏感な話題はあまり書かないようにしようよ」と返してくる人もいるくらいだ。
おそらくフツーの中国の若者の政治感覚は、この程度なのではないか。
今回の漁船衝突事件が、日中関係を2005年以上に悪化させるといった、加藤嘉一氏の考え方は、あまりにマジメすぎて、一流大学に通っているわけでもない、大多数のフツーの中国の若者にとっては、ちょっと引いてしまうような議論じゃないかと思うのだ。
というか、日本人も同じなのではないか。僕みたいに今回の尖閣諸島問題を、いっしょうけんめいブログ記事にするような、政治的な会社員は少数派だ。
たぶん尖閣諸島問題なんかよりも、プロ野球のトーナメント戦や、今度の連休はどこへ行くかとか、私的な生活の方がはるかに重要だという日本人が大多数に違いない。
たまたまテレビのニュースで尖閣諸島問題をやっていると、その時だけは「何言ってるんだよ中国は」とかつぶやくけれど、別に横浜中華街や神戸の南京街に嫌がらせに行くほど、中国人を恨んでいるわけでは決してない。単に無関心でノンポリなだけ。
中国も日本も大多数の国民がこんな感じで、プライベートなことを最優先に日常を送っているのだから、日中関係が悪化する原因があるとすれば、やや皮肉だが、まさに「日中関係は悪化するぞ!」と事大主義的に騒ぎ立てている当の「有識者」の存在ではないか、という気がしてくる。
実際、百度の掲示板では、政治的に敏感な議論を蒸し返せば蒸し返すほど、逆に論争が先鋭化して、ポツリポツリと、匿名で、強烈な反日の書込みが出てくる。
だからこそ、政府間の外交交渉の話と、市民レベルの交流の話は、峻別して語る必要があるのではないかと、最近、感じている次第である。