東京第5検察審査会の議決プロセスには明らかに問題あり

やはり小沢一郎氏の強制起訴を決めた、東京第5検察審査会の議決プロセスは、とても公正とは言えないものだったようだ。
ニュースソースは以下の2つ。
『小沢氏法廷へ:政界と検察に激震/「真実はどこに」(その1) 議決は代表選当日』(毎日新聞 2010/10/05 東京朝刊)
『代表選当日の小沢氏審査、「議論煮詰まり」議決』(読売新聞 2010/10/06 03:06)
検察審査会は「起訴議決」を出す場合、検察官から意見聴取するよう義務付けられているが、この読売新聞の記事によれば、今回は東京地検特捜部の斎藤隆博副部長が次のように説明したという。
「元秘書らの供述だけでは、小沢氏と元秘書らとの共謀の成立を認めるのは難しい。有罪を取るには、慎重に証拠を検討することが必要です」(上記の読売新聞の記事から引用)
小沢一郎氏を有罪にするのが目的だという前提の説明となっており、検察審査会を構成する11人の一般市民向けの説明としては明らかに偏っている。
次に、検察審査会に法律的な助言をする審査補助員は、今回、吉田繁実弁護士がつとめているが、同じく検察審査員の11人に対して次のような内容を説明したという。
「暴力団内部の共謀の成否が争点となった判例や、犯罪の実行行為者でなくても謀議に参加すれば共犯として有罪になるなどと認定した1958年の最高裁大法廷判決を審査員に示し、『暴力団や政治家という違いは考えずに、上下関係で判断して下さい』と説明した。」(上記の読売新聞の記事から引用)
やはり、謀議に参加するだけで有罪になるという事例を引き合いに出し、小沢一郎氏を有罪にするのが目的だという前提で「助言」を行っている。しかも、暴力団と政治家の違いは考えないようにと、ダメ押しまでしている。
一般市民に対する法律の専門家の説明として、この2人の説明に偏りがないとはとても言えない。
そして上記の毎日新聞の記事には、この審査補助員の吉田繁実弁護士が次のように語ったとある。
「9月上旬に東京地検特捜部副部長から説明を受け、『特捜部が手がけた事件で、政治家案件。プレッシャーがあった』と振り返った。『「起訴すべきだ」という方針は、割と早い段階で決まった』とも明かした。」(上記の毎日新聞の記事から引用)
何と審査補助員である吉田繁実弁護士自身が、特捜部の政治的案件というプレッシャーがあったことと、起訴すべきとの方針が検察審査会の議決以前に決まっていたことを認めているのだ。
しかも今回申し立てをした本人が自身のブログで公表しているように、東京第5検察審査会に不起訴不当の申し立てをしたのは右翼団体の代表。とても一般市民の意見を反映しているとは言い難い。
さらに、検察審査会メンバーは選挙権をもつ国民からランダムに選ばれ、70歳以上は拒否できるので、実質20歳~69歳までの国民から任意に選出されることになる。
にもかかわらず、今回の東京第5検察審査会のメンバーの平均年齢が30.9歳というのは明らかにおかしい。20歳と69歳の中央値は44.5歳で、かつ日本の人口構成は団塊の世代の60歳前後が一番高い山になっている。
どなたか統計学の専門家は、現在の日本の人口構成の20歳~69歳から、ランダムに11人を抽出して平均年齢が30.9歳になる確率を計算してほしい。
こういった検察審査会が、一般市民の感覚で検察をチェックするための組織と言えるだろうか。
また、こういった検察審査会に強制力を持たせた2009/05の法改正は、司法制度改革の一環として、裁判員制度の導入とセットで行われたが、本当に国民の司法参加のための法改正だったのか。はなはだ疑問だ。