alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(5)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(5)。前回からのつづき。
【18曲目】『Swear』(11thシングル。2009/11/04発売)

次の『Swear』もアップチューン。会場全体が右手を左右にふってノリノリの状態。『symphony』のというライブのタイトルにふさわしい、アンコール前の部分の、じっくり聴かせる演出と、アンコール後のアゲアゲ感満載のメリハリの効かせ方。
alanのように日本デビューまだ3年の新人でも、しっかりとエンターテインメント性のあるライブを作れるのは、さすがエイベックス!といった感じ。
某レコード会社の、ファンの組織票だけでオリコン音楽DVDデイリーチャートが2位になった中堅女性歌手のライブのグダグダ感とは大きな違いだ。
『Swear』の後、再びalanの日本語MC。「頭のときは緊張あったけど、だんだんなくなってきた」。日本語の「頭」という単語の用法がややおかしいが、alanの日本語を訂正し始めるとキリがないので、次。
アンコールでのサプライズは、何と14thシングル(?)にあたる新曲の初披露だった。
【19曲目】『名もなき種』(14thシングル(?)初披露)
これを公式サイトの発表に先んじて、生で聴けるだけでも、今回の2ndライブに行った意味があったというものだ。
この曲はバラードだが、もし菊池一仁氏の作曲なら、菊池作品としては初めての8分の6拍子ではないか。しかも最後のリフレインには2段階の転調があり、否応なしに盛り上がる壮大なスケール。
歌詞のテーマも、地球の生きとし生けるものへの愛を体現した素晴らしい曲になっていた。既存のalanファンには、間違いなく愛される名作になるに違いない。
ただ、新しいファン層の開拓には、全くつながらないだろう。
つづいて、再びalanの日本語によるMC。言いたい思いがたくさんあることは分かるが、何しろ日本語力が不足しているので、辛うじて理解できたのは次のような内容。
「私たちはalan家族。皆さんが辛いことがあれば、alan家族がよりどころになるし、私も辛いことがあれば、alan家族がよりどころになります」
ただし個人的には、最近この「alan家族」という表現に辟易している。
日本社会の文脈では、「家族」は馴れ合い、甘やかし合いの場だからだ。そのせいで、例えば「alan家族」がalanの下手な日本語を「alan語」として許容し、彼女が日本で長く活躍する可能性を逆に阻害するおそれがある。
また話が脱線した。とにかく「alan家族」を主旨とするMCの後、いよいよライブの最後の曲となる。
【20曲目】『懐かしい未来~longing future~』(3rdシングル。2008/07/02発売)
作曲は菊池一仁氏だが、坂本龍一がプロデュースをしており、NHKのエコ番組『SAVE THE FUTURE』のテーマになっている。
同番組は今秋にも放送予定があるので、最近もNHKを朝からずっと見ていると、毎定時前に「エコ・チャンネル」キャンペーンでalanがこの曲をBGMに登場する。ほんの2秒ほど。

この曲はメロディーが簡単で歌いやすい。今回ライブでは、みんなで歌いましょうという演出で、サビのリフレインはCDより1回余分に、しかも、観客に斉唱してもらおうという親切心から、わざわざ会場にガイド・ボーカルまで流れた。
狙いとしては、ここで観客が全員サビを斉唱して、大盛況のうちに終了。だったのだろうが、少なくとも1階後方で歌っている観客はほぼゼロだった。
当然、初めてalanのライブに来た観客もいるわけだ。それに『懐かしい未来』の歌詞を暗記していないファンもいる。
ガイドボーカルを会場に流すより、舞台下手の先ほどのスクリーンに歌詞を映し出す方が、斉唱してくれる観客はもっと増えたはず。
「alan家族」に対するalanスタッフの「甘え」が出たのかもしれない。「alan家族」なら『懐かしい未来』のサビの歌詞くらい、一字一句間違えずに覚えているはずだという「甘え」が。
アンコール直後のアップチューンと、この『懐かしい未来』では、観客は全員立ち上がった。1階席前方の観客がぽつぽつと立ち上がると、それにしたがって後方の席の観客も立ち上がるといった感じ。
アンコール直後のアップチューンが終わったあと、alanがMCで「皆さんお疲れですから、座って下さい」と言ってくれたのは、alanの素の優しさがにじみ出ていて良かった。客席には、alanの両親くらいの年齢の観客も、ぽつぽつと見うけられたからだ。
alan自身は、まだ自分がアンコールが始まってから終演まで、観客が立ち上がったまま聴くような歌手ではないことを、謙虚にわきまえている。
終演時に、コアなファンが、そうでない観客にスタンディング・オベーションを強制するほど、排他的なファン集団ができてしまっている、ビクターの某中堅女性歌手とは大きな違いだ。
alanはその謙虚さを忘れず、コアな「alan家族」の優しさに甘えることなく、日本語の勉強も、ダンスの勉強も続けてほしい。そうすれば、上述の某女性歌手のように、排他的なファン集団に甘え続けた結果、鳴かず飛ばずのまま活動を続けることはないだろう。
alanがブレイクするのに必要なのは、既存のコアな「alan家族」の甘やかしと溺愛から、距離を置くことである。そうしないとファン層もこれ以上、決して広がらない。
ラストの『懐かしい未来』の後は、alanが改めてバンドメンバーを紹介し、紹介されたメンバーが順に、舞台からはけていく。
最後はalanが一人で舞台に残り、上手から、中央、下手と順に、1階、2階それぞれの観客にていねいにあいさつをし、下手へ退場してライブは終了。終了時間は21:20で、およそ2時間10分のライブだった。
最後、alanが舞台からはけるとき、何となく歯切れが悪かったのは、たぶん伝えたい気持ちはあるのに、日本語できれいにシメられなかったからだろう。くり返しになるが、次回のライブのときは、スタッフはMCの最小限の台本は準備しておくべきだ。
(つづく)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(2)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(3)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(4)」
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「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(6)」