alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(3)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(3)。前回からのつづき。
9曲目の『いい日旅立ち』が終わると、再びalanによるMC(曲間のおしゃべり)。つたない日本語でも、四川大地震の後も私の故郷は美しいままだという主旨は、何とか理解できた。日本語の説明内容が中国語のチャリティーソング『四川依然美麗』に引っ張られているのは、alanの日本語の語彙が不足しているからだろう。
そして、alanファンにはおなじみのチベット民謡。
【10曲目】『青蔵高原』(チベット民謡)
この曲では、alanはいつも天までとどくチベット・フェイクを聴かせてくれるのだが、今回のライブでは、重厚なストリングス・アレンジとピアノ伴奏で歌われたので、本当にクラシック・コンサートのような極上の歌唱だった。ライブ中盤でalanの声が完全に安定していたこともあり、完璧な歌唱だ。
【11曲目】『My Heart Will Go On』(セリーヌ・ディオンのカバー)
『青蔵高原』に続いてMC無しで歌われたのは、意外にも映画『タイタニック』の主題歌。alan自身、セリーヌ・ディオンがお気に入りのアーティストだと語っているので、選曲に不思議はない。
やはりストリングス伴奏にのせた歌唱だったが、この曲が特にボーカルの音量が足りず、せっかくの歌声が伴奏に埋もれてしまっていたのが残念。
そして、正直に言うと、alanにはまだR&Bフェイクは難しいのではないかと感じた。
R&Bを米国のR&B歌手のように歌えているかどうかは、経過音としてのブルーノートの音程で、はっきり聴き分けることができる。残念ながらalanはR&Bフェイクをまだちゃんと歌えていない。alanのフェイクはどうしてもチベット民謡の音階に引きずられている。
さて、ここでalanは衣装替えのために、いったん舞台を降りる。

その間、梶谷ストリングスとピアノが、間奏曲を演奏した。このインストゥルメンタルの曲名が分からなかった。
間奏曲が終わり、衣装替えに時間がかかっているせいか少し間があり、静まりかえった客席に、1階客席後方にあるコントロール・ブースから発せられたキューが丸聞こえ。
そのキューをきっかけに、梶谷ストリングスとピアノが演奏を始め、alanが淡いピンク(だと思う)の、タイトなロングドレスで現れる。
【12曲目】『明日への讃歌』(1stシングル。2007/11/21発売)
alanのデビューシングル『明日への讃歌』だが、今回のライブはCDと全く違うアレンジだった。記憶が不正確だが、ヴァースとAメロが入れ替わっていたはずだ。
聴きなれたはずの曲が、重厚なストリングスと新しいアレンジで、全く別の曲かと思うほど新鮮に聴こえ、正直、驚いた。途中からはバンドも伴奏に加わり、ドラムスも入ったポップスへ。最後は再びストリングスとピアノだけの伴奏に。
曲中で次々とアレンジが変わり、もちろんalanのチベット・フェイクも、一筋の光のようにどこまでも透明に延びていく。やはりこの『明日への讃歌』は、alanにとっての古典(クラシック)だ。

【13曲目】『my life』(2ndアルバム『my life』より)
次の曲『my life』では、舞台下手の天上からスクリーンが降りてきて、そこに日本語歌詞が映し出されながら、alanが歌うという演出。
残念ながらこの演出のせいで、ワンコーラスめの「忘れないで私の声」を「忘れないで私のこと」と間違えたのがバレてしまったが(苦笑)。
この曲の歌詞は、alanの思いを古内東子が日本語に作詞したものなので、alanにとって特別なものだから、わざわざスクリーンに投影する演出になったのだろうか。
ただ、この『my life』は中国語の歌詞で歌ってこそ、alanの本当の感情が入った鳥肌ものの歌唱になる。なぜなら日本語詞では「母親」の優しさがテーマになっているが、中国語詞では、alanが本来書きたかった「父親」の大きな愛がテーマになっているからだ。
今回のライブでは、日本語詞で歌われたにもかかわらず、alanは中国語版にしか録音されていない最後のR&Bフェイクを歌った。曲の末尾の歌詞、「言おう」の直前に、今回のライブでalanが入れたR&Bフェイクは、中国語2ndアルバム『蘭色』収録の中国語版『my life』にしか録音されていないものなのだ。
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また、今回のライブで初めて知って驚いたのは、この曲『my life』の間奏で聞こえてくるロングトーンのメロディーが、alan自身がファルセットで歌っていたものだったのだという事だ。僕はてっきりシンセサイザーだと思っていた。
alanのファルセットは、地声のチベット・フェイクと全く違い、倍音成分の少ない澄んだ声だということが、ライブでよく分かった。alanの表現力の幅ははかり知れない。
(つづく)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(2)」
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