alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(2)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(2)。前回からのつづき。
レビュー(2)以降はセットリストを追いながら、個人的な感想を書いていきたい。あくまで個人的な感想なので、当然違う見方もあると思う。その点はご容赦いただきたい。
【1曲目】『ひとつ』(2ndシングル、2008/03/05発売)
今回は『alan symphony 2010』と題しただけあって、いずれの曲もとにかくストリングス・アレンジが秀逸だった。
室内楽コンサートを聴きにきた気分にさせてくれるほど、舞台下手の、グランドピアノ、梶谷ストリングス組の演奏と、alanのよく通る力強く透明感のある歌声のアンサンブルが素晴らしかった。
今回の2ndライブでは、アンコールまでの部分は、一貫してストリングス・アレンジを中心としたバラード曲ばかりの構成だったが、それでもまったく飽きさせないほど、alanの歌唱力と声量、そして厚みのあるストリングス・アレンジに聴きほれた。

1曲目の『ひとつ』はワンコーラスめはストリングス中心のアレンジで、ツーコーラスめからは、舞台上手のバンド中心の伴奏に切り替わる。アクセントをきかせた聴き飽きないアレンジが絶妙。
しいて言えば、僕の席の位置が悪かったせいだと思われるが、全体を通してボーカルの音量を少し上げてほしかった。
【2曲目】『久遠の河』(9thシングル、2009/04/08発売)
【3曲目】『BALLAD~名もなき恋のうた~』(10thシングル、2009/09/02発売)
この2曲とも映画主題歌ということもあり、まさにストリングス中心のアレンジにぴったりの壮大なスケール感の歌唱だった。ただ緊張のせいか、前半、alanのロングトーンのピッチがやや安定しなかったように感じた。
それでも、伸びのある声と豊かな声量でしっかり聴かせてくれる、alanの安定した歌唱力はさすが。
ここでalanの最初のMC(おしゃべり)が入る。レビュー(1)でふれた、日本語の時制を無視した「皆さん会いたいですか!」の呼びかけである。
語学の基礎はあくまで文法。20歳を過ぎたalanが日本人との日常会話の中で、日本語文法の複雑な文法を習得することは絶対に不可能だ。日本語の問題はしつこく書かせて頂く。
次の曲の前に、舞台下手の梶谷ストリングスとピアノは退場。続く5曲は舞台上手のポップス・バンドの伴奏で歌われた。
【4曲目】『白いつばさ』(2ndアルバム『my life』より)
【5曲目】『月がわたし』(1stアルバム『Voice Of Earth』より)
【6曲目】『東京未明』(2ndシングル『ひとつ』C/W)
【7曲目】『ココニイル』(13thシングル『風に向かう花』C/W)
『ココニイル』の後、再びalanによる日本語のMC。主旨は、今回のライブは、alanの心と聴衆の心をつなぐ音楽を届けたいというもの。先ほど書いたように、日本語の文法は全くなっていないが、言いたいことは理解できた。
くり返しになるが、言いたいことを理解してくれるのは既存のalanファンだけであって、その日本語でこれから日本の芸能界でやっていけるという楽観は完全に誤りだ。
【8曲目】『我的月光』(中国語2ndアルバム『蘭色』より)

まさか中国語アルバム曲を歌うとは思わかったので、鳥肌が立った。何の問題もなくCDと同じクオリティの歌声を聴かせる歌唱力は、やはり素晴らしい。
この曲が収録されているalanの中国語2ndアルバムを聴きたい方は、左の画像をクリックして、HMVオンライン・ショップでどうぞ。
この曲の後、梶谷ストリングスと生ピアノが舞台下手にもどり、同時にalanが舞台中央で椅子に座って、二胡の演奏のセッティングを始めた。
セッティングが終わったところで、alanの日本語MC。主旨は、30年前の曲でも音楽は時を越えて素晴らしいというもの。
何を演奏するのかと思えば、ストリングスの伴奏にのせてalanが弾き始めた二胡は、『いい日旅立ち』のメロディーだった。
【9曲目】『いい日旅立ち』(13thシングル『風に向かう花』C/W)

ライブを通じてalanが二胡を演奏したのは、この『いい日旅立ち』一曲だけだったが、イントロ、間奏、アウトロすべて、alanの二胡演奏。彼女の歌声だけでなく二胡の繊細な音色まで堪能できる贅沢な一曲だった。
『いい日旅立ち』が収録されている『風に向かう花』は右のアマゾン・リンクのバージョンになる。
ただし、alanには大変申し訳ないが、個人的には鬼束ちひろ『いい日旅立ち・西へ』に勝る、この曲のカバーは存在しないと思う。
『いい日旅立ち』という曲の歌詞は、希望と絶望がないまぜになっている。
「日本のどこかに私を待っている人がいる」という歌詞は、夢や希望はかなうと信じる気持ちの比喩だ。文字どおりラブソングだと解釈するのは考えが浅い。信じるからこそ、旅立つ。その意味では希望がある。
しかし、旅立ったからといって、夢や希望がかなう保証はない。山口百恵のオリジナルの歌唱からは、かなわないかもしれないという諦めと希望の混じった複雑な感情が伝わってくる。
この希望と絶望のないまぜになった『いい日旅立ち』は、あえて感情を抑制して歌う必要がある。
ところがalanは歌唱技術でメロディーを美しく歌い切ってしまうので、alanの『いい日旅立ち』は、夢や希望がかなってしまうのだ。alanは山口百恵や鬼束ちひろのように、諦めや絶望を知らないので、仕方ないと言えば仕方ないのだが、鬼束ちひろが『いい日旅立ち・西へ』を歌ったのは、alanと同じ23歳のときだ。
いずれにせよ、alanの二胡と梶谷ストリングスのアンサンブルは、実に美しかった。今回のライブ『alan symphony 2010』が「一粒で何度でもおいしい」ライブであることに間違いない。
(つづく)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(2)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(3)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(4)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(5)」
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(6)」